日本新聞: 「軽症でもつらい」けん怠感と吐き気トイレで涙… 40代女性

「初はじめて経験けいけんするけん怠けんたい感かんと吐き気はきけで、トイレに行いくのもつらくて、涙なみだが出でました」

こう話はなすのは千葉ちば県けんに住すむ40代だいの女性じょせいです。

家族かぞく全員ぜんいんが1週間しゅうかんのうちに次々つぎつぎと新型しんがたコロナウイルスに感染かんせん。女性じょせいも自宅じたくで療養りょうようしていましたが、症状しょうじょうが悪化あっかしてホテルに移うつりました。

「軽症けいしょうでもこんなにつらいことを知しって欲ほしい」と、療養りょうよう中ちゅうのホテルから話はなしを聞きかせてくれました。

家族かぞく4人にん 1週間しゅうかんのうちにバタバタと

女性じょせいは、夫おっとと高校生こうこうせいの長女ちょうじょ、中学生ちゅうがくせいの長男ちょうなんの4人にん家族かぞく。

7月つきに長女ちょうじょの高校こうこうでクラスターが発生はっせいしその後そのご、1週間しゅうかんのうちに家族かぞく全員ぜんいんが次々つぎつぎと感染かんせんしたといいます。

経過けいかはこうでした。

・7月つき23日にち　長女ちょうじょ　のどに違和感いわかん

・7月つき24日にち　長女ちょうじょ　37度ど5分ぶんの熱ねつ

・7月つき26日にち　長男ちょうなん　鼻水はなみずが出で始はじめる

・7月つき27日にち　長男ちょうなん　全身ぜんしんの関節かんせつに強つよい痛いたみ 38度ど7分ぶんの熱ねつ

　　　　　　長女ちょうじょ　感染かんせん確認かくにん

・7月つき28日にち　女性じょせいと夫おっと　せきや熱ねつの症状しょうじょうが出で始はじめる

・7月つき30日にち　女性じょせいと夫おっとと長男ちょうなん　感染かんせん判明はんめい

女性じょせい

「長女ちょうじょがはじめに体からだがかなりつらいと訴うったえたと思おもったら、その後そのごあっという間あっというまに家族かぞく全員ぜんいんに広ひろがった感かんじでした。長男ちょうなんは『体からだが痛いたい、頭あたまがおかしくなる』と言いい、泣き叫なきさけび方かたが尋常じんじょうではありませんでした。私わたしも夫おっとも乾かわいたせきが出でたと思おもったら熱ねつが出でてきて、みんな急激きゅうげきに具合ぐあいが悪わるくなっていきました」

いろいろ対策たいさく行いっても、家庭かてい内ない感染かんせんは防ふせげず

最初さいしょに症状しょうじょうが出でた長女ちょうじょとは食事しょくじやトイレを別べつにし、共用きょうようの洗面せんめん台だいやドアノブをこまめに消毒しょうどくするなどしていましたが、家いえの中なかでの感染かんせんを防ふせぐことはできなかったといいます。

女性じょせい

「子こどもたちに食事しょくじを運はこぶときにはマスクを二に重じゅうにしたり、お風呂ふろも、感染かんせんした長女ちょうじょに最後さいごに入はいってもらったりと、できる限かぎりの対策たいさくをしました。　家庭かてい内ないの感染かんせんは気きをつければ防ふせげると思おもっていたんですが、1週間しゅうかんにバタバタと4人にんに症状しょうじょうが出でてしまいました。長女ちょうじょの隔離かくりを始はじめる前まえにすでに長男ちょうなんが感染かんせんしていたのかもしれず、対策たいさくが追おいつかない、ものすごい感染かんせん力りょくに驚おどろきました。家庭かてい内ない感染かんせんを防ふせぐのは本当ほんとうに難むずかしいと思おもいます」

吐き気はきけ、けん怠けんたい感かん… トイレに行いくのも涙なみだ

家族かぞく4人にんとも軽症けいしょうと判断はんだんされ自宅じたく療養りょうようを続つづけていましたが、女性じょせいの症状しょうじょうは悪化あっかしていきました。

吐き気はきけやけん怠けんたい感かんが強つよくなり布団ふとんから出でられなくなったといいます。

熱ねつも38度ど6分ふんまで上あがりました。

女性じょせい

「味覚みかくや嗅覚きゅうかくに異変いへんはなかったのですが、なぜか吐き気はきけがひどく、何なにも食たべられなくなりました。ずっと気持きもちが悪わるい状態じょうたいでした。トイレに駆け込かけこんでえずくんですけれども、トイレに行いくのさえもつらくて涙なみだが出でました。けん怠けんたい感かんは、50年ねん近ちかく生いきてきて初はじめて経験けいけんするだるさで、こんなに動うごけないのかというくらい、起き上おきあがるのもままならない状態じょうたいでした。最初さいしょの2日にちくらいは休やすんでいる仕事しごとのことなど考かんがえていましたが、もうその倦怠けんたい感かんと吐き気はきけとでそれどころじゃなくなり、全然ぜんぜん何なにも考かんがえられなくなってしまいました」

「症状しょうじょう検索けんさくしても出でてこない」募つのる不安ふあん

自宅じたく療養りょうよう中ちゅう、女性じょせいは吐き気はきけの症状しょうじょうが感染かんせんの影響えいきょうによるものかどうか分わからず不安ふあんを募つのらせました。

持病じびょうがない女性じょせいはふだん診みてもらっているかかりつけ医いがおらず、自宅じたくから医師いしに相談そうだんすることもできなかったといいます。

女性じょせい

「自宅じたく療養りょうよう中ちゅうは保健所ほけんじょの職員しょくいんと電話でんわで話はなすことしかできず、職員しょくいんも吐き気はきけのことはよく分わからないようでした。インターネットで検索けんさくしても吐き気はきけの症状しょうじょうについて詳くわしく書かかれたものは見みつからず、なにか違ちがう病気びょうきなのかしら、なにか併発へいはつしちゃってるのかしらと思おもい、本当ほんとうに病院びょういんに行いきたかった、医師いしに診みてもらいたかったです。家族かぞくはみんな徐々じょじょに回復かいふくしているのに自分じぶんだけがどんどん悪化あっかしていく。一生いっしょうこのままだったらどうしようと、先さきが見みえないのがすごくつらかったです。母親ははおやとしてずっと寝ねているわけにもいかないという焦あせりもあり、不安ふあんでしかたありませんでした」

自宅じたく療養りょうよう中ちゅうは、どこにも頼たよれずつらかった

症状しょうじょうの悪化あっかを保健所ほけんじょに相談そうだんし、女性じょせいは8月つき6日にちから看護かんご師しが常駐じょうちゅうしているホテルに移うつって療養りょうようすることになりました。

ホテルに到着とうちゃくして医師いしに症状しょうじょうを伝つたえたところ「消化しょうか器きに不調ふちょうを訴うったえるケースもある」と説明せつめいを受うけようやく安心あんしんできたといいます。

女性じょせい

「初はじめて医師いしに相談そうだんできて、同おなじ症状しょうじょうの人ひともいるという情報じょうほうを聞きき、ようやくほっとしました。そんなに特異とくいな症状しょうじょうではなかったんだという安心あんしん感かんでした。自宅じたく療養りょうよう中ちゅう、どこにも頼たよれず悪化あっかしていくことがとてもつらかったので、自宅じたく療養りょうよう中ちゅうの患者かんじゃも医師いしに相談そうだんできる仕組しくみを早はやく整ととのえてほしいと思おもいます」

『感染かんせんしても軽かるく済すむ』と思おもっている人ひとへ

1週間しゅうかんのホテル療養りょうようを経へて回復かいふくし、自宅じたくに戻もどることになった女性じょせい。

今回こんかい、「軽症けいしょうでもこんなにつらいことを多おおくの人ひとに知しって欲ほしい」と自分じぶんの経験けいけんを話はなしてくれました。

女性じょせい

「私わたしも感染かんせんする前まえは『かかってもそんなにたいしたことないだろう』と、どこかで根拠こんきょなく思おもっていたところがあったのですが、軽症けいしょうでも本当ほんとうにつらかった。高校生こうこうせいの娘むすめもかなりきつかったそうで、二度にどとかかりたくないと言いっていました。私わたしと同おなじように『自分じぶんは感染かんせんしても軽かるく済すむ』と思おもっている人ひとは考え直かんがえなおしてほしい」