この中では学校を休校にする判断は各自治体が保健所に相談して検討するというこれまでの方針を確認したうえで、全国の新規感染者が急速に増加している中でも地域一斉の休校は、社会活動全体を止めるときにとるべき措置で、慎重に検討する必要があるとしています。
その理由として学校は学習する機会の保障だけでなく、子どもたちの居場所やセーフティーネットとして福祉的な役割も担っていることを挙げ、特に小中学校については一斉休校は避けるべきと強調しています。
また高校については緊急事態宣言の対象地域では時差登校やオンライン学習を組み合わせて学習の継続に取り組むよう求めています。
感染対策についても触れ、3密の回避やマスクの着用、手洗いなどの基本的な対策が変異株にも有効だとしたうえで、子どもや同居の家族に症状がある場合には登校させないことを徹底するなど家庭の協力が欠かせないとしています。
そのうえで、夏休み明けの新学期の対応について「国から全国一斉の臨時休校を要請することは考えていない。地域一斉の臨時休校については、学びの保障や心身への影響などを考慮し、慎重な検討が必要だ」と述べました。 一方、学校での感染拡大の予防策として「感染状況は地域で異なり、自治体で劇的に増えたり、医療体制など考慮する指標がある。保健所などと相談し、学級や学年の単位など必要な範囲で臨時休校を行うことは考えられる」と述べました。 また、教員へのワクチン接種について「教員の安全を確保し、児童生徒への感染を防ぐことが不可欠だ」と述べ、希望者にはできるだけ早く接種を済ませるよう呼びかけるとともに、接種を行う自治体などに対して協力を求めました。
東京 渋谷区の笹塚小学校では今月30日から新学期が始まるのを前に教員がこれまで行ってきた感染対策の確認をしています。 校舎の入り口には500人余りの児童が登校する際、発熱していないかチェックするためサーモグラフィーカメラを設置していて、教員たちは正常に作動するか点検しました。
さらに、音楽の授業では感染リスクを減らすため口で吹く鍵盤ハーモニカに代えて、吹かずに鍵盤の練習ができる電子キーボードを用意しました。
このほか休まざるを得なくなった児童には担任の教員が毎日連絡し、休んでいる間に誕生日を迎えた児童にお祝いのメッセージを送るなど心のケアにも努めてきました。
およそ1か月前の7月20日までの1週間の3450人と比べて6倍余りに増えています。
杉並区南荻窪にある「たむら医院」では18日も診察が始まると大人だけでなく母親と一緒に訪れた子どもなどがPCR検査などを受けていました。 診療所によりますと先月中旬以降、新型コロナウイルスに感染した疑いがある子どもの受診が増えているということです。 先月19日から8月6日までの間に337人にPCR検査などを行った結果99人が陽性になり、このうち23人が子どもでした。 感染が確認された23人の子どもは全員自宅療養で入院はしませんでした。 しかし、子どもでも高熱となるケースが相次いでいるといいます。 また、これまでは、子どもの感染は家庭内で親から感染するケースがほとんどでした。 しかし最近では子どもが感染したあとに同居する母親が発症するなど、子どもから大人に感染したとみられるケースが出ているということです。 またこの診療所では保健所のフォローが追いついていないため新型コロナウイルスに感染し自宅で療養する患者についてオンライン診療を行っています。 この中には家族全員が感染して自宅療養を続けるケースが相次いでいます。 このうち、父親と母親が感染した小学5年生の男の子は、今月4日に陽性が確認され38度台の発熱や頭痛が続きました。 現在は熱は下がりましたが、2週間たった今もせきが続いているといいます。 また、別の家族では39歳の父親が酸素飽和度が下がり息苦しさを訴え医師が電話でやり取りをしながら中等症の患者向けの薬を処方していました。
時田理事は発熱などの症状で受診した子どもにPCR検査と抗原検査を行っています。 子どもの感染状況を詳しく把握するために抗原検査の簡易キットでの検査で陽性となった場合のウイルス量について分析しています。 この検査では簡易キットの線が色濃く出た場合、ウイルスの量が多いとみられます。 ことし1月から18日までの105人分の検査結果をみるとウイルス量が多いと推定される患者は15人いました。 このうち10人は今月陽性と確認されたということでウイルス量の多い子どもが増えているとみています。 時田理事は「今までは子どもは感染してもウイルス量が少なく周囲に感染することはあまりなかったがこれから子どもどうしや子どもから大人への感染が起こる可能性があるのではないかと思う。その原因はデルタ株の感染拡大だとみている」と分析しています。 時田理事は感染を広げないために、抗原検査の簡易キットを使った検査を積極的に進めて、早期発見に努めることも大切だとしています。 そのうえで、まもなく学校が再開されることについては「学校が始まった後、2、3週間の状況を注視する必要があるが学校現場でも感染が増えることを前提として対応しなければいけないと思う。保健所や医療機関と相談し、感染した子どもが出た場合の対応をあらかじめ決めておく必要がある。学校を休校すると、子どもの心身への弊害も大きいので感染対策をしっかりしながら学校生活を営んでほしい」と話していました。
このあと、萩生田大臣は記者団に対し「菅総理大臣から、子どもの居場所はしっかりと守り、冷静に対応できる体制を作るよう指示があった」と述べました。 そしてすでに高校に配布している抗原検査キットを、幼稚園や小中学校にも配布し、迅速に感染者の特定につなげることや、校内で感染者が出た場合に備えて、学校の対応を記したガイドラインを示すことを確認したと明らかにしました。 ガイドラインでは、保健所の業務量が多く、濃厚接触者が特定されないケースに対応できるよう、感染者が出た場合にPCR検査を受診する対象者の範囲や児童や生徒の出席停止の期間などを示したいとしています。
萩生田文科相「全国一斉の臨時休校の要請 考えていない」
渋谷区の小学校では新学期に向け対策
20歳未満の感染確認 1か月で約6倍に
診療所では子どもの受診が増加
「学校でも感染が増えることを前提に」
政府 学校で感染者出た場合のガイドライン提示へ
西村経済再生相「抗原検査キット活用を」
河野規制改革相「教職員への早期の接種を」