日本新闻: 【データで見る】アストラゼネカのワクチン血栓症のリスクは?

公的こうてきな予防よぼう接種せっしゅに追加ついかされたアストラゼネカの新型しんがたコロナウイルスワクチンは、23日にちから一部いちぶの自治体じちたいで接種せっしゅが始はじまりました。

このワクチン、接種せっしゅしたあと極きわめてまれに血栓けっせん症しょうが起おきるリスクがあると報告ほうこくされていますが、実情じつじょうはどうなのでしょうか？

きょうから接種せっしゅ開始かいし＜大阪おおさか＞

大阪おおさか中央ちゅうおう区くの「城見しろみホール」では医師いしや看護かんご師しなどのスタッフ50人にん体制たいせいで運営うんえいされ、事前じぜんに予約よやくした人ひとたちが3つのブースに分わかれて医師いしの問診もんしんを受うけたあと看護かんご師しから接種せっしゅを受うけました。

この会場かいじょうでは1日にち当あたり540人にんを対象たいしょうに来月らいげつ5日にちまで毎日まいにち、接種せっしゅを行おこなうということですが、今週こんしゅう分ぶんの予約よやく枠わくは埋うまり、来週らいしゅうについては23日にちから予約よやくの受け付うけつけを始はじめています。

大阪おおさか市しは来週らいしゅうから市内しないに2か所かしょ目めの集団しゅうだん接種せっしゅの会場かいじょうを設もうけて、接種せっしゅ体制たいせいを強化きょうかすることにしています。

接種せっしゅを受うけた64歳さいの女性じょせいは「夫おっとはすでに接種せっしゅを済すませていたが、自分じぶんは予約よやくが取とれなかった。接種せっしゅができて安心あんしんしました」と話はなしていました。

また、49歳さいの男性だんせいは「アストラゼネカのワクチンにネガティブな情報じょうほうもあるが、国くにが承認しょうにんしていて他たの国くにでも使つかわれているので特とくに不安ふあんはなかった。とにかく早はやく打うちたかったです」と話はなしていました。

都道とどう府県ふけんに少すくなくとも1か所かしょ接種せっしゅ場所ばしょの設置せっち求もとめる

アストラゼネカのワクチンは今月こんげつ3日にち、公的こうてきな予防よぼう接種せっしゅに追加ついかされ、厚生こうせい労働ろうどう省しょうは都道とどう府県ふけんに対にたいして少すくなくとも1か所かしょは接種せっしゅ場所ばしょを設もうけるよう求もとめています。

ワクチンは今月こんげつ16日にちから順次じゅんじ、都道とどう府県ふけんに配送はいそうしていて、厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと23日にちから大阪おおさか市しのほか埼玉さいたま県けん川口かわぐち市しなど一部いちぶの自治体じちたいで接種せっしゅが始はじまっているということです。

アストラゼネカのワクチンは極きわめてまれに血栓けっせんが生しょうじるリスクがあるとされていることなどから、海外かいがいの接種せっしゅ事例じれいなどをもとに原則げんそく、40歳さい未満みまんには接種せっしゅしないことになっていて

▽ほかのワクチンの成分せいぶんにアレルギーがある人ひとや

▽海外かいがいですでにアストラゼネカのワクチンの接種せっしゅを1回かい受うけた人ひとなどが

対象たいしょうになるということです。

一方いっぽう、厚生こうせい労働ろうどう省しょうの研究けんきゅう班はんは21日にちから接種せっしゅ後ごの副ふく反応はんのうを調しらべる調査ちょうさも始はじめていて、データを定期ていき的てきに公表こうひょうすることにしています。

血栓けっせん症しょうのリスクその実情じつじょうとは？

アストラゼネカのワクチンは有効ゆうこう性せいが認みとめられる一方いっぽう、極きわめてまれに血栓けっせん症しょうが起おきるリスクがあると報告ほうこくされています。

血栓けっせん症しょうとは血管けっかんに血栓けっせん、血液けつえきの固かたまりが詰つまる病気びょうきのことですが、一体いったいどれだけの人ひとがなったのか、血栓けっせん症しょうに関にかんする情報じょうほうをまとめました。

1. 血栓けっせん症しょうになった人ひとイギリスでは…？

アストラゼネカのワクチンは2021年ねん1月つきからイギリスなどで接種せっしゅが始はじまりました。イギリスの規制きせい当局とうきょくの報告ほうこくによりますと、2021年ねん8月つき11日にちまでにイギリス国内こくないでこのワクチンを少すくなくとも1回かい接種せっしゅした2480万まん人にんのうち、血小板けっしょうばんの減少げんしょうを伴ともなう血栓けっせん症しょうになった人ひとは412人にんで、このうち73人にんが死亡しぼうしたということです。

頻度ひんどとしては接種せっしゅ100万まん回かい当あたり14.9件けんとされ、多おおくが1回かい目めの接種せっしゅのあとに起おきているということです。

2. 年齢ねんれい層そう別べつ血栓けっせんの頻度ひんどは？

血栓けっせんが起おきる頻度ひんどは

▽18歳さいから49歳さいでは100万まん回かいの接種せっしゅ当あたり20.2件けん

▽50歳さい以上いじょうでは100万まん回かいの接種せっしゅ当あたり11件けんで

若わかい世代せだいのほうが頻度ひんどが高たかいということです。

現在げんざい、イギリスでは40歳さい以上いじょうをアストラゼネカのワクチンの対象たいしょうにしています。

3. 血栓けっせんが詰つまる場所ばしょ脳のう静脈じょうみゃくのケースが多おおい

日本にっぽん脳卒中のうそっちゅう学会がっかいと日本にっぽん血栓けっせん止血しけつ学会がっかいは、アストラゼネカのワクチン接種せっしゅ後ごに起おきる血栓けっせん症しょうについて医師いし向むけの手引てびきをまとめています。

それによりますと、アストラゼネカのワクチンと血栓けっせん症しょうの関係かんけいはまだはっきりとは解明かいめいされていませんが、血小板けっしょうばんの減少げんしょうを伴ともなうことなどから抗体こうたいが関係かんけいしているのではという指摘してきもあるということです。

血栓けっせんが詰つまる場所ばしょは脳のうや心臓しんぞう、足あしの血管けっかんなどさまざまで、海外かいがいからの報告ほうこくでは脳のう静脈じょうみゃくが詰つまるケースが多おおいということです。

4. どう気付きづく？検査けんさする際さいの症状しょうじょう

血栓けっせん症しょうを疑うたがって検査けんさする際さいの症状しょうじょうとして挙あげられているのは、次つぎのとおりです。

▽意識いしき障害しょうがい

▽顔かおの片側かたがわのまひ

▽言語げんご障害しょうがい

▽視覚しかく障害しょうがい

▽重おもい頭痛ずつうや腹痛はらいたが続つづくこと

▽脚あしや胸むねの痛いたみなど

5. どう気付きづく？医療いりょう機関きかん受診じゅしんの目安めやす

また、日本にっぽん脳卒中のうそっちゅう学会がっかいでコロナ対策たいさくのチームの座長ざちょうを務つとめる杏林きょうりん大学だいがくの平野ひらの照之てるゆき教授きょうじゅによりますと、医療いりょう機関きかんを受診じゅしんする目安めやすは次つぎのような症状しょうじょうがある場合ばあいだということです。

▽重おもい頭痛ずつうや腹痛はらいた、胸むねの痛いたみなどが出でてきて

▽痛いたみが何なん時間じかんや何なん日にちも続つづく場合ばあいなど

このほか

▽吐き気はきけ

▽ひきつけやけいれんなどの症状しょうじょうがある場合ばあいも

受診じゅしんが必要ひつようだということです（接種せっしゅの4日にち後ごから1か月かげつまでの間ま）。

ただ、頭痛ずつうや吐き気はきけなどは血栓けっせん症しょう以外いがいでも起おこることがあり、血栓けっせん症しょうの場合ばあいは接種せっしゅから3日にち以内いないに何なんらかの症状しょうじょうが出でることは考かんがえにくいということです。

手引てびきでは治療ちりょう法ほうについてもまとめられていて、平野ひらの教授きょうじゅによりますと、脳卒中のうそっちゅうの専門せんもん病院びょういんなどを中心ちゅうしんに周知しゅうちされ適切てきせつな治療ちりょうを行おこなう体制たいせいが整備せいびされているということです。

6. 専門せんもん家か「血栓けっせん症しょうかなり頻度ひんど低ひくい予防よぼうする利益りえきが上回うわまわる」

ワクチンに詳くわしい東京とうきょう医科いか大学だいがくの濱田はまだ篤郎とくろう特とく任にん教授きょうじゅは「アストラゼネカのワクチン接種せっしゅ後ごの血栓けっせん症しょうはかなり頻度ひんどが低ひくく、年齢ねんれい層そうを限定げんていすれば新型しんがたコロナを予防よぼうする利益りえきのほうが上回うわまわると考かんがえられる。感染かんせん状況じょうきょうを考かんがえるとワクチンが接種せっしゅできていない40代だい、50代だいに迅速じんそくに接種せっしゅを進すすめる必要ひつようがあるが、ファイザーやモデルナのワクチンは流通りゅうつうが滞とどこおっている面めんもあるので、アストラゼネカのワクチンを3つ目めの選択肢せんたくしとして追加ついかすることは意義いぎがある」と話はなしています。