大リーグ2年目を迎えた山本投手は、来月18日に東京で行われるカブスとの開幕戦で先発する予定で、今永昇太投手と投げ合うことになっています。
アリゾナ州のドジャースのキャンプ地では20日から大リーグのオープン戦が始まり、ドジャースの山本投手はカブスとの試合で今シーズン初めて実戦のマウンドに立ちました。
山本投手は1回、先頭バッターを得意のスプリットで空振り三振としたあと、2本のヒットを許して2アウト一塁三塁のピンチを背負いました。
しかし、5番バッターから151.7キロのカットボールで空振り三振を奪い、立ち上がりのピンチを無失点で切り抜けました。
2回は先頭バッターをショートゴロ、2人目をセンターライナーとテンポよく2アウトを取りましたが、3人目のバッターにレフト前ヒットを打たれたところでマウンドを降りました。
山本投手は1回と3分の2イニングで27球を投げて、ヒット3本を打たれながらも奪った三振は2つで無失点でした。
また、この日のストレートの最速は155.4キロで、開幕に向けた調整の順調さをうかがわせる内容でした。
ベンチでは佐々木朗希投手も試合の様子を見守りましたが、カブスは若手中心のメンバーで鈴木誠也選手は出場せず、日本選手どうしの対決はありませんでした。
山本由伸 “2月の状態としてはかなりいい”
今シーズン初めてオープン戦で実戦登板を果たした山本投手は「オープン戦だが、練習気分ではなくしっかり試合という気持ちで登板した。狙ったところに決められなかったボールも何球かあったが、フォームのまとまりがよく、プロ野球時代も含めて、2月の状態としてはかなりいい方だと思う」と状態のよさを強調しました。
この日の変化球では「いちばんよかった」というカットボールについては「決めることができれば、ほかのボールにもいい影響が出ると思う」と手応えを口にし「少しずつイニングも増えていくと思うし、公式戦に向けて少しずつステップアップしていけたらと思う」と次の登板を見据えていました。
東京で行われる開幕戦で、カブスの今永投手と投げ合うことになったことについては「喜んでくださる方もたくさんいると思うので、すごく楽しみだ」と開幕を心待ちにしている様子でした。
1万人超のファン 開場前には長い列
今シーズン、大リーグのオープン戦初戦となった20日のドジャースとカブスとの試合は平日にもかかわらず1万人を超えるファンが訪れ、開場前にはゲートに長い列ができました。
ドジャースファンの男性は「ファンにとっては待ちに待った日で、とても興奮しています。佐々木朗希投手も獲得してオフはすばらしい補強だったのでことしもワールドシリーズに行ってくれると思います」と期待を寄せていました。
また、去年のオープン戦も見に来たというロサンゼルス在住の日本人女性は「この日をずっと待っていました。去年以上にワクワクが止まりません。日本を代表する選手が3人も集まったのでとても期待しています」と日本選手3人の活躍を楽しみにしている様子でした。
大谷翔平は出場せずバッティング練習などで調整
ドジャースとカブスのオープン戦初戦となった20日、大谷翔平選手は試合には出場せず壁当てや室内でのバッティング練習で調整しました。
おととし受けた右ひじの手術の影響で昨シーズン、バッターに専念した大谷選手は、“投打の二刀流”の復帰に向けてアリゾナ州でのキャンプではすでにブルペンでの投球練習を2回行っています。
大谷選手はこれまで大リーグではセットポジションで投げてきましたが、このキャンプではキャッチャーに正対した状態から振りかぶらずに投球動作に入るノーワインドアップを試しています。
練習後、取材に応じた大谷選手はフォームの変化について「常に変化を求めたいので。大リーグではこれまでセットポジションで投げているが、自分の中で変化を求めたのでそのひとつだ」と述べさらなる進化を目指す考えを示しました。
そして、2日前に行った2回目のブルペンでの投球練習を振り返り、「引き続きいい強度では投げられたので、次回のブルペンでもう少し、ワンステップ強度をあげれたらいいかなと思う」と述べました。
さらに、オープン戦では登板しない予定になっていることについては「前回の手術の時もそういう感じでやっているので初めてではない。焦ることなくどこで投げるかというフィーリングが大事だと思ってる。やるべきことをしっかりこなしていければスケジュールどおりのプランで投げられると思う」と述べ、二刀流復帰に向けた手応えを口にしました。
大谷翔平 選手 一問一答
大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手が、報道陣の取材に応じキャンプでのここまでの調整について手応えを語りました。
大谷選手が取材に応じるのは、このキャンプ2回目で、バッターとしては「感覚的にはもう試合に出られる」状態だと話したほか、ブルペンでのピッチング練習を「ワンステップ強度を上げたい」と述べるなど、“投打の二刀流”の復活に向けて順調な調整ぶりを明かしました。
そして、来年、行われるWBC=ワールドベースボールクラシックに向けても意欲をのぞかせました。
《アメリカメディア》
Q.2回目となったブルペンを振り返ってどうだったか。
A.前回もそうですね。引き続きいい強度では投げられたので、次回のブルペンでもう少し、ワンステップ強度を上げられたらいいんじゃないかなと思います。
Q.ブルペンの際にデータや映像をよく見ているが、特にチェックしているポイントは。
A.ボールとのフィーリングというか、自分が投げてる感覚と、フィードバックをもらった時のデータがどういうふうに一致してるかっていうのが大事かなと思うので。今のところはいい感じで来てますし、さっきも言いましたけど、もうワンステップ上げた時にまたデータがどういうふうにブレるのかなっていうのをチェックしていきたいなと思ってます。
Q.ブルペンではノーワインドアップのフォームで投げているが。
A.なんでしょうね。常にそうですけど、変化を求めていきたいなと思ってるので、その中でここ、大リーグに来てからセットで投げてますけど。自分の中で常に変化、バッティングもそうですけど、変化を求めたいなとは思っているので、その中のひとつかなと思います。
Q.試合でもノーワインドアップにする予定なのか。
A.今のところはその予定では考えてますけど。さっき言いましたけど、またなんて言うんですかね、強度が上がった時にどういう反応が来るのかによって決めたいなとは思ってます。
Q.オープン戦での登板予定がなく、打者との対戦がない状態で心配はないのか。
A.前回の手術の時もそういう感じでは一応やっているので。そういう意味では初めてではないっていうのは、ある程度復帰するうえで自分の心の中で余裕が持てる要因かなと思うので。あんまり焦ることなく、しっかりとまずはどこで投げるかっていう自分のフィーリングが大事かなと思います。
Q.ブルペンや実戦形式のピッチング練習などでは意識を何か変えるのか。
A.そうですね、あんまり変わることはなくて、自分の中でブルペンもライブBP(実戦形式の練習)も、試合もあまり。やっぱりさっきも言いましたけど、フィーリングがいちばん大事だと思っているので。やるべきことっていうのをしっかりこなしていければいいスケジュールどおりのプランで投げられるんじゃないかなと思います。
Q.佐々木朗希投手の初の実戦形式の登板の際に何かアドバイスは。
A.特にこれというアドバイスはしてないですし。本当に前も言いましたけど、楽しんでくれればいいかなと思うので。昨日も見ましたけど、順調に調整はできているんじゃないかなと、僕の目から見てはそう思っているので。あとは本人のフィーリングがどうかっていうのがちょっと本人にしかわからないところなので。そこはどこでやるにしてもしっかり自分の中のフィーリングがまずは大事になってくるので、必ず調整っていうのは彼自身できるんじゃないかなと思います。
Q.ロボット審判が導入されることについて、どう感じている?
A.まだちょっと試してはないので、どうなのかっていうのは答えれないですけど。やってみて、打者目線から、投手目線から実感できると思うので、どういう風に感じるのかっていうのを楽しみにはしてます。
《日本メディア》
Q.ロバーツ監督が1番バッターとして起用すると言っていた。去年と同じ打順となることの受け止めは。
A.まだあんまり特に話してはいないので。プランはプランでしかないというか、その時の。去年も1番を打つ予定ではなかったですし、変わった時に別に気にすることなく、どこに入っても基本的には自分のバッティングっていうのができればいいんじゃないかなと思ってます。
Q.この間のブルペンで投げていたツーシームがこれまでより沈むようになっていて軌道が違っていた。偶然の産物なのか、それともある程度軌道は狙っているのか。
A.シンカー系に関しては、やっぱスポットによって縦成分、横成分の変化が多少やっぱ変わってくるので。どちらかというとメカニクス(技術面)もそうですけど、どこを狙ってというか、どこのロケーションにボールがいってるかによって多少変わってはくる。前回のブルペンに関しては、比較的ストライクゾーンの下の位置に集まっていたので、基本的には縦変化の方が強かったかなと感じてます。
Q.先日、日本代表の井端監督が来ていたが、WBCへの意欲は、来年も出たいという気持ちが強いか。
A.そうですね、今のところWBCというよりは、ほんとに今年のシーズンに集中するということを目標にというか、ずっと考えてやってきたので。その先に選んでいただけるならそれは光栄なことですし、まずはいちばんやらなきゃいけないことっていうのは、今年のシーズンにしっかり照準を当てて結果を出すっていうことじゃないかなと思ってます。
Q.変化を求めていくということだが、練習の面では、逆に変化がないというコーチの声もある。自分なりに変えていることはあるか。また、監督は2月の末や3月初めぐらいに試合に出るのではと言っているが、自分の中では何パーセントぐらい仕上がっているのか。
A.調整の方法というか、全体のボリュームを考えた時にそこまで。なんて言うんですかね、ボリューム自体を変えることはないので。やること自体はそこまで変わらないですけど、意識的にここをこういうふうに変えたいなっていうのはもちろんありますし。さっきも室内でちょっとトラジェクトアーク(バッティング用のマシーン)打ってきましたけども。実戦でもいけそうな感じではあったので、慎重にはちょっとなってますけど、感覚的にはもう試合に出られる感じかなと思います。
Q.ヤクルトのつば九郎の担当スタッフが亡くなられた。
A.実際に直接会ったことはもちろんないので。ただ小さい頃から見てますし。代表的なマスコットとして人気はあったと思うので、非常に残念ですけど感謝してます。
Q.日本代表の時にいじられるなど絡みもあったと思うが。
A.“つば九郎”はそうですね。