大谷翔平選手の専属通訳だった水原一平被告は大谷選手の口座から1700万ドル近くを不正に送金したなどとして、銀行詐欺の罪とうその納税申告をした罪でアメリカの検察から起訴されています。
検察は23日、水原元通訳の量刑について、4年9か月の禁錮刑と禁錮刑後3年間の監督指導に加え大谷選手に対しておよそ1697万ドル、日本円にして26億円余りの賠償金の支払い、それに、日本の国税庁にあたるIRS=内国歳入疔に対しておよそ115万ドル、日本円にして1億8000万円の支払いを求めるとする文書を裁判所に提出しました。
この文書の中で検察は、水原元通訳が大谷選手のデビットカードを利用して野球カードの購入など個人的な支出に多額を費やしていたことや、違法な賭博に勝った際も金をみずからの口座に送金させていたと指摘し、こうした行いはギャンブル依存症ではなく、水原元通訳の「強欲」によるものだとしています。
そのうえで「大谷氏は全くの被害者であり、被告の行いによって苦しみ、この先も苦しみ、被害を受けることになる。このような裏切りと強欲は量刑ガイドラインの範囲内で相当期間の禁固刑に値する」としています。
ただ、水原元通訳は検察との司法取引に応じ去年6月に行われた罪状認否で起訴内容を認めたことから検察が求めた刑の長さは大幅に軽減された形です。
量刑は来月6日に言い渡される予定です。
米検察 水原元通訳と銀行オペレーターの通話音声ファイル提出
アメリカの検察は今回、裁判所に対して、水原元通訳と銀行の電話オペレーターとの通話の音声ファイルを証拠として提出しました。
音声ファイルは3分46秒の長さで、はじめに銀行の電話オペレーターが「名前を教えてください」と尋ねると水原元通訳が「大谷翔平です」と答えています。
そして、用件をきかれると「オンライン・バンキングにログインしようとすると、現在利用できません、電話で問い合わせてくださいと表示されます」と話しています。
このあと携帯電話の番号の下4桁の数字を確認され、2段階認証のパスワードを受け取って本人確認を済ませる様子が録音されています。
その後、送金の理由を聞かれると「車のローンです」と答え、送金先との関係については「友人です。何度も会ったことがあります」と話しています。
検察が23日に裁判所に提出した量刑に関する文書などでは、水原元通訳は2021年9月に大谷選手の銀行口座に不正にアクセスできるようなったあと、口座に登録されていた電話番号をみずからの番号に変更し、違法な賭博の胴元に送金する際、銀行による電話確認を大谷選手になりすまして行っていたと指摘されています。