国が
再生可能エネルギー拡大の
柱に
位置づけている
洋上風力発電について、
経済産業省は
建設コストの
上昇が
今後の
拡大の
妨げに
なるおそれが
あるとして、
次回の
公募からコストの
上昇分の
一部を
電力価格に
上乗せできるよう
制度を
変更する
方針を
決めました。
12月にまとまった国の新しいエネルギー基本計画の案では、2040年度に再生可能エネルギーが最大の電源になると位置づけられていて、洋上風力発電はその柱として期待されています。
しかし、洋上風力は設置にかかるコストが大きいうえ、最近の資材価格の高騰で発電を開始しても採算が合わなくなる可能性があると指摘されていました。
こうした中、経済産業省は国が指定した海域で行われる次回の事業者の公募から建設コストの上昇分の一部を電力の買い取り価格に上乗せできるよう制度を変更する方針を決めました。
具体的には、企業物価指数などの上昇率をもとに価格に反映させる考えで、今回の対応によって公募に応じる事業者を増やし、洋上風力の拡大を後押ししたいとしています。
資材価格の高騰で採算とりにくく
洋上風力発電をめぐっては、脱炭素に向けた取り組みの一環として、世界で開発が進む一方、資材価格の高騰で開発コストが上昇し、採算がとりにくくなっています。
経済産業省によりますと、アメリカでは事業から撤退する動きが相次いでいるほか、日本の発電事業者の「JERA」も12月、イギリスの「bp」との間で効率化のため風力発電事業を統合すると発表しました。
JERAの矢島聡常務はこの時の会見で「資材が相当上がってきていて、当初もくろんでいた採算性が難しくなってきている」と話していました。
経済産業省によりますと、国内における洋上風力の開発コストは2018年と比べて去年は40%程度上昇したということです。
大手電力会社で作る電気事業連合会の林欣吾会長は、1月の会見で「インフレやサプライチェーンの先細りで洋上風力発電はビジネスとして非常に厳しい状況だ。行政に対して投資環境の改善や資金的に後押しする制度を求めていきたい」と話していました。