Báo tiếng Nhật: 「震源から離れていても動いた断層」熊本地震で230か所確認

5年ねん前まえに起おきた一連いちれんの熊本くまもと地震じしんでは、地震じしんを引き起ひきおこした活かつ断層だんそうから10キロ前後ぜんご離はなれた場所ばしょでも断層だんそうが動うごき、地表ちひょうに段差だんさやずれが確認かくにんされたのは合あわせておよそ230か所かしょにのぼりました。

誘発ゆうはつされて動うごくことから「おつきあい断層だんそう」とも言いわれるこの現象げんしょうはその後そのごの内陸ないりく地震じしんでも相次あいついで確認かくにんされていることがわかり、専門せんもん家かは「主要しゅような活かつ断層だんそうでは真上まうえに限かぎらず、広ひろい範囲はんいで建物たてもの被害ひがいなどのリスクがあることを理解りかいしておく必要ひつようがある」と指摘してきしています。

一連いちれんの熊本くまもと地震じしんでは「日にち奈久ひさ断層だんそう帯たい」と「布田ぬのだ川がわ断層だんそう帯たい」のそれぞれ一部いちぶがずれ動うごいたと考かんがえられていますがこの断層だんそう帯たいから5キロ余あまり離はなれた熊本くまもと市内しないや15キロ余あまり離はなれた阿蘇山あそさんの北西ほくせいなどでも地表ちひょうの段差だんさやずれが相次あいついで見みつかりました。

数すうセンチ単位たんいの地形ちけい変化へんかを捉とらえることができる人工じんこう衛星えいせいのデータを国土こくど地理ちり院いんが解析かいせきしたところ、ずれ動うごいた断層だんそうは長ながさが数すう百ひゃくメートル前後ぜんごのものも含ふくめ、合あわせておよそ230にのぼることがわかりました。

こうした断層だんそうは、地震じしんを引き起ひきおこした断層だんそうに誘発ゆうはつされるように動うごくことから「誘発ゆうはつ性せい地表ちひょう地震じしん断層だんそう」、通称つうしょう「おつきあい断層だんそう」とも呼よばれています。

「おつきあい断層だんそう」は、熊本くまもと地震じしんの2年ねん後ごに発生はっせいした大阪おおさか府ふ北部ほくぶの地震じしんや北海道ほっかいどう胆振いぶり東部とうぶの地震じしんでも確認かくにんされているということです。

国土こくど地理ちり院いんの藤原ふじわら智さとし測地そくち部長ぶちょうは「断層だんそう一ひとつ一ひとつがそれぞれ地震じしんを引き起ひきおこすと考かんがえられてきたが、必かならずしもそうではないことがわかってきた。活かつ断層だんそうの多様たような動うごきを理解りかいするうえで研究けんきゅうを進すすめる必要ひつようがある」と話はなしています。

活かつ断層だんそうに詳くわしい東北とうほく大学だいがくの遠田えんだ晋すすむ次じ教授きょうじゅは動うごいた断層だんそうのずれがそれほど大おおきくなくても真上まうえに建物たてものがあれば深刻しんこくな被害ひがいになるおそれもあるとして「活かつ断層だんそうの真上まうえだけでなく、広ひろくその周辺しゅうへんにリスクがあることを理解りかいしておくことが重要じゅうようだ」と指摘してきしています。

熊本くまもと地震じしん以降いこうも各地かくちで「おつきあい断層だんそう」確認かくにん相次あいつぐ

最新さいしんの技術ぎじゅつを活用かつようすることで「おつきあい断層だんそう」の存在そんざいは、その後そのごに起おきた内陸ないりく地震じしんでも確認かくにんされました。

国土こくど地理ちり院いんの解析かいせきでは、2018年ねん6月つきに起おきた大阪おおさか府ふ北部ほくぶの地震じしんで、震源しんげんから北西ほくせいへ3キロほど離はなれた「有馬ありま高槻たかつき断層だんそう帯たい」の一部いちぶがおよそ5キロにわたり、数すうセンチほど上下じょうげや横よこにずれた痕跡こんせきが確認かくにんされたということです。

「有馬ありま高槻たかつき断層だんそう帯たい」は主要しゅよう活かつ断層だんそう帯たいにも認定にんていされています。

また、同おなじ年としの9月つきに起おきた北海道ほっかいどう胆振いぶり東部とうぶの地震じしんでは、震源しんげんの西側にしがわ、10キロ前後ぜんごの場所ばしょに断続だんぞく的てきに10キロ余あまりにわたって上下じょうげのずれが確認かくにんされました。

ずれは最大さいだいで10センチほどで、これまで活かつ断層だんそうとして確認かくにんされていなかった場所ばしょだということです。

国土こくど地理ちり院いんの藤原ふじわら智さとし測地そくち部長ぶちょうによりますと、「おつきあい」で断層だんそうが動うごく詳くわしいメカニズムはまだわかっていないものの、地震じしんを引き起ひきおこした活かつ断層だんそうからの地震動じしんどうや、地下ちかにかかる力ちからの変化へんかによって誘発ゆうはつされて動うごいたと考かんがえられるということです。

また、大阪おおさか府ふ北部ほくぶの地震じしんのようにすでに知しられている活かつ断層だんそうが動うごかされる場合ばあいもあれば、北海道ほっかいどうの地震じしんのように知しられていない断層だんそうが動うごかされることもあり、さらに研究けんきゅうが必要ひつようだとしています。

230もの断層だんそうの動うごきは宇宙うちゅうから明あきらかに

熊本くまもと地震じしんの際さい、誘発ゆうはつされてずれ動うごいた多数たすうの断層だんそうの存在そんざいを明あきらかにしたのは、最新さいしんの技術ぎじゅつを搭載とうさいした人工じんこう衛星えいせいです。

特とくに、地球ちきゅう観測かんそく衛星えいせい「だいち2号ごう」に搭載とうさいされている「合成ごうせい開口かいこうレーダー」は、衛星えいせいからマイクロ波はを発射はっしゃし地球ちきゅうから跳ね返はねかえる反射はんしゃ波はを受信じゅしんすることで詳細しょうさいな地形ちけいを把握はあくすることができます。

これまでも「おつきあい」で動うごく断層だんそうの存在そんざいは確認かくにんされていたものの、地震じしんの前後ぜんごのデータを比較ひかくすることで地上ちじょうでの調査ちょうさが難むずかしい山奥やまおくや目視もくしでは見逃みのがされがちなわずかな地形ちけいの変化へんかも数すうセンチの精度せいどでつかめるようになったということです。

都市とし部ぶでは深刻しんこくな被害ひがいのおそれも

ゴルフ場じょうのコースに波なみを打うつように出現しゅつげんした地面じめんの盛り上もりあがり。

駐車ちゅうしゃ場じょうに現あらわれた無数むすうの亀裂きれつやひび割ひびわれ。

斜ななめに大おおきく割われた川かわの護岸ごがん。

これらはいずれも一連いちれんの熊本くまもと地震じしんでずれ動うごいた「誘発ゆうはつ性せい地表ちひょう地震じしん断層だんそう」によって起おきた被害ひがいです。

地震じしん直後ちょくごから現地げんち調査ちょうさを続つづけている東北とうほく大学だいがくの遠田えんだ晋すすむ次じ教授きょうじゅは、都市とし部ぶでは「より深刻しんこくな被害ひがいにつながるおそれがある」と指摘してきしています。

その証拠しょうことして示しめしたのが熊本くまもと市し東ひがし区くの住宅じゅうたく街がいで確認かくにんされた断層だんそうです。

2度どにわたる大だい地震じしんで誘発ゆうはつされてずれ動うごき、道路どうろを横切よこぎるように一いち本ほんの亀裂きれつが確認かくにんされました。

亀裂きれつの延長えんちょう線せん上じょうにはコンサルタント会社かいしゃの建物たてものがあり、地震じしん直後ちょくごに遠田えんだ教授きょうじゅが撮影さつえいした写真しゃしんには壁かべに複数ふくすうの亀裂きれつが確認かくにんできます。

会社かいしゃを経営けいえいする男性だんせいによりますと、亀裂きれつは室内しつないの床とこや天井てんじょうにまで及および、建物たてもの全体ぜんたいもわずかに傾かたむいたということです。

男性だんせいは「当時とうじは周まわりの建物たてものを見みてもそれほど大おおきな被害ひがいはなく、うちの建物たてものが古ふるかったので損傷そんしょうが激はげしかったのだろうと思おもいました。ただ、地震じしん後ごに行おこなわれた調査ちょうさで断層だんそうの存在そんざいを知しり、道路どうろの亀裂きれつに沿そうように建物たてものにもひびが入はいっていたので驚おどろくと同時どうじに怖こわくなりました」と話はなしていました。

男性だんせいは建て替たてかえる際さい、建物たてものの位置いちをこの断層だんそうの真上まうえにならないよう変更へんこうしたということです。

各地かくちにある活かつ断層だんそうや、社会しゃかいや経済けいざいに特とくに大おおきな影響えいきょうを与あたえるとして、国くにが重点的じゅうてんてきに調査ちょうさや評価ひょうかを行おこなう「主要しゅよう活かつ断層だんそう帯たい」には都市とし部ぶを通とおっているものも多おおくあります。

遠田えんだ教授きょうじゅは「規模きぼの大おおきな内陸ないりく地震じしんが起おきると、揺ゆれだけではなく、地表ちひょうのずれによる被害ひがいも広域こういきに及およぶ可能かのう性せいが出でてきた。まずは、主要しゅよう活かつ断層だんそうや活かつ断層だんそうの場所ばしょを知しることが、備そなえの第一歩だいいっぽだと思おもう」と話はなしています。