「まったり」「がっつり」気きになりますか？文化庁ぶんかちょう調査ちょうさ

「ゆっくり、のんびり」を『まったり』、「しっかり、たくさん」を『がっつり』と表現ひょうげんすることについて「気きにならない」と答こたえた人ひとが8割わり余あまりにのぼり、広ひろく定着ていちゃくしてきていることがわかりました。

また、本ほんを「読よまない」と答こたえた人ひとが6割わり余あまりにのぼり、ほぼ3人にんに2人にんが本ほんを読よまず、“読書どくしょ離ばなれ”が進すすんでいることもみえてきました。

「まったり」「がっつり」 8割わり余あまりが気きにならないと回答かいとう

文化庁ぶんかちょうは毎年まいとし、日本にっぽん語ごの使い方つかいかたの変化へんかなどを調しらべていて、2024年ねん1月つきから3月つきにかけて全国ぜんこくの16歳さい以上いじょうの6000人にんに調査ちょうさし、3559人にんから回答かいとうを得えました。

この中なかで、新あたらしい意味いみや使い方つかいかたが辞書じしょに記載きさいされ始はじめた表現ひょうげんについて「ほかの人ひとが使つかうのが気きになるか、ならないか」を聞ききました。

その結果けっか、「ゆっくり、のんびりする」という意味いみで『まったりする』と言いうことは86％の人ひとが、「しっかり、たくさん食たべよう」という意味いみで『がっつり食たべよう』と言いうことは85％の人ひとがそれぞれ「気きにならない」と答こたえました。

このほか、「時間じかんや手間てまをかけずに終おわらせる」といった意味いみで『さくっと終おわらせる』と言いうことや「動物どうぶつなどがふんわりと柔やわらかそう」といった意味いみで『もふもふしている』と言いうことは82％が、「ときめきを感かんじる」といった意味いみで、『きゅんきゅんする』と言いうことは81％の人ひとがそれぞれ「気きにならない」と答こたえ、こうした表現ひょうげんが広ひろく定着ていちゃくしてきていることがわかりました。

また、調査ちょうさでは慣用かんよう句くについても辞書じしょなどで本来ほんらいの意味いみとされてきたものとの認識にんしきの違ちがいについて尋たずねていて、『悪運あくうんが強つよい』を、67％の人ひとは「悪わるい状況じょうきょうになっても、うまく助たすかる様子ようす」という意味いみだと回答かいとうし、本来ほんらいの「悪わるい行おこないをしたのに、報むくいを受うけずにいる様子ようす」という意味いみだと思おもっている人ひとは24％にとどまりました。

また、『失笑しっしょうする』も「笑わらいも出でないくらいあきれる」という意味いみだと思おもっている人ひとは67％で、本来ほんらいの「こらえ切きれず吹き出ふきだして笑わらう」という意味いみだと思おもっている人ひとは26％となりました。

文化庁ぶんかちょうは、「ことばは時代じだいとともに変化へんかするため、慣用かんよう句くの使い方つかいかたも誤あやまりではない。複数ふくすうの辞書じしょでこうした新あたらしい表現ひょうげんが記載きさいされるようになり、広ひろく定着ていちゃくしてきている」と話はなしています。

本ほんを「読よまない」6割わり余あまり 過去かこ最高さいこうに

文化庁ぶんかちょうが読書どくしょの習慣しゅうかんについて調しらべたところ本ほんを「読よまない」と答こたえた人ひとが6割わり余あまりにのぼり、ほぼ3人にんに2人にんが本ほんを読よまず、“読書どくしょ離ばなれ”が進すすんでいることがわかりました。

文化庁ぶんかちょうは5年ねんに1回かい、読書どくしょの習慣しゅうかんについて調しらべていて、2024年ねん1月つきから3月つきにかけて全国ぜんこくの16歳さい以上いじょうの6000人にんに調査ちょうさし、3559人にんから回答かいとうを得えました。

この中なかで、1か月かげつに読よむ電子でんし書籍しょせきを含ふくむ本ほんの数かずを尋たずねたところ、1冊さつも「読よまない」と答こたえた人ひとの割合わりあいは62.6％にのぼりました。

調査ちょうさ方法ほうほうが対面たいめんから郵送ゆうそうに変かわったため単純たんじゅんな比較ひかくはできませんが、前回ぜんかい5年ねん前まえの47.3％から15ポイント余あまり増ふえて過去かこ最高さいこうとなり、ほぼ3人にんに2人にんが本ほんを読よまない、“読書どくしょ離ばなれ”が進すすんでいることがわかりました。

また、本ほんを読よんでいると答こたえた人ひとを含ふくめても読書どくしょ量りょうが「減へっている」と答こたえた割合わりあいは69.1％にのぼり、こちらも過去かこ最高さいこうとなりました。

読書どくしょ量りょうが減へっている理由りゆうとしては、「スマートフォンなどの情報じょうほう機器ききで時間じかんが取とられる」が最もっとも多おおくおよそ44％、次ついで「仕事しごとや勉強べんきょうが忙いそがしくて読よむ時間じかんがない」が、およそ39％などとなっています。

さらに今後こんご、読書どくしょ量りょうを増ふやしたいかという設問せつもんでは、「余あまりそうは思おもわない」、「そうは思おもわない」と答こたえた人ひとの割合わりあいがあわせて40.8％で初はじめて4割わりを超こえました。

文化庁ぶんかちょうは、「スマートフォンの利用りようが増ふえていることや、書店しょてんの減少げんしょうで本ほんを手てにする機会きかいが減へってきていることも影響えいきょうし、読書どくしょ離ばなれが進すすんでいると推測すいそくされる。文字もじや活字かつじに親したしむ機会きかいの充実じゅうじつを図はかっていきたい」としています。

子こどもたちの読書どくしょ量りょうは増加ぞうか傾向けいこうという調査ちょうさ結果けっかも

文化庁ぶんかちょうの調査ちょうさで大人おとなの読書どくしょ離ばなれが浮き彫うきぼりとなりましたが、一方いっぽうで、子こどもたちの読書どくしょ量りょうは増加ぞうか傾向けいこうにあるという調査ちょうさ結果けっかもあります。

全国ぜんこく学校がっこう図書館としょかん協議きょうぎ会かいが毎年まいとし行おこなっている「学校がっこう読書どくしょ調査ちょうさ」によりますと、全国ぜんこくの小学しょうがく4年生ねんせいから6年生ねんせい、それに中学生ちゅうがくせいと高校生こうこうせいの1か月かげつに読よんだ本ほんの冊数さっすうは、2023年ねん6月つきの調査ちょうさでは小学生しょうがくせいの平均へいきんは12.6冊さつで、10年ねん前まえの10.1冊さつと比くらべると2冊さつ余あまり増ふえていて増加ぞうか傾向けいこうにあります。

また中学生ちゅうがくせいは平均へいきん5.5冊さつで、10年ねん前まえの4.1冊さつから1冊さつ余あまり増ふえていて、1954年ねんに調査ちょうさを開始かいししてから最もっとも多おおくなりました。

高校こうこう生せいについては、平均へいきん1.9冊さつでほぼ横よこばいとなっています。

子こどもたちの読書どくしょ量りょうが増加ぞうか傾向けいこうにあることについて全国ぜんこく学校がっこう図書館としょかん協議きょうぎ会かいは、乳幼児にゅうようじ期きからの読よみ聞きかせや読書どくしょ体験たいけんなどのほか、お気に入おきにいりの本ほんの魅力みりょくをゲーム感覚かんかくで言い合いいあう書評しょひょう合戦かっせん、ビブリオバトルなど、読書どくしょに興味きょうみを持もてる取り組とりくみが増ふえていることなどが効果こうかを生うんでいる可能かのう性せいを指摘してきしています。

また、読よまれている本ほんの種類しゅるいについては長編ちょうへんの本ほんが減へって時間じかんがかからない本ほんがよく読よまれているとしていて、「気軽きがるに読よめる本ほんに興味きょうみ関心かんしんが移うつっていると捉とらえることができる」と分析ぶんせきしています。

なぜ本ほんを読よまない？ベストセラー作家さっかに聞きく

なぜ、本ほんを読よまなくなってしまったのか。

そんな疑問ぎもんを今いまの社会しゃかいと照てらし合あわせて論ろんじた著書ちょしょ「なぜ働はたらいていると本ほんが読よめなくなるのか」がベストセラーとなった三宅みやけ香かおり帆かいさんは「読書どくしょで得えられるような自分じぶんに関係かんけいない情報じょうほうを『ノイズ』として感かんじてしまう社会しゃかいになっている」と指摘してきしています。

ことし4月つきに発売はつばいされた書籍しょせき、「なぜ働はたらいていると本ほんが読よめなくなるのか」は、累計るいけい発行はっこう部数ぶすうが17万まん部ぶのベストセラーとなりました。

著者ちょしゃで文芸ぶんげい評論ひょうろん家かの三宅みやけ香かおり帆かいさんは、読書どくしょ離ばなれが進すすむ中なかでも著書ちょしょがベストセラーになったことについて「反響はんきょうの大おおきさにすごく驚おどろいた」とした上うえで「多おおくの人ひとが本ほんを読よめていないことへの問題もんだい意識いしきを持もっているが、どうすればよいか分わからず、それが本ほんの反響はんきょうにつながったのではないか」と話はなしていました。

三宅みやけさんは読書どくしょをめぐる社会しゃかい環境かんきょうの変化へんかについて「かつて小説しょうせつや教養きょうよう書しょなどが売うれていた時代じだいから1990年代ねんだいや2000年代ねんだいになると、今いまの自分じぶんをどう変かえたらいいのかやどう変かえられ、成長せいちょうできるのかなど、自分じぶんの成長せいちょうに必要ひつような情報じょうほうを簡単かんたんに指し示さししめしてくれる自己じこ啓発けいはつ本ほんやビジネス書しょが流行りゅうこうした」と振り返ふりかえりました。

その上うえで「今いまは自己じこ啓発けいはつ本ほんに代かわってネット上じょうに投稿とうこうされた動画どうがや画像がぞうが、自分じぶんに関係かんけいがありそうな情報じょうほうをすぐくれる。一方いっぽうで、本ほんを読よむことは遠とおいところにあるものを想像そうぞうしたり、他者たしゃのことを考かんがえたりすることで、そういう意味いみで今いまの人ひとたちにとっては自分じぶんに関係かんけいない情報じょうほう、『ノイズ』というふうに感かんじてしまうのではないか」と指摘してきしました。

そして「仕事しごとを終おえてもスキルアップを考かんがえなければいけないとか、転職てんしょくのために情報じょうほうを集あつめなければいけない、SNSの投稿とうこうのために何なにか充実じゅうじつした行動こうどうをしなければいけないなど、余暇よかでさえ、みんなが焦あせって時間じかんをうまく使つかおうとしている社会しゃかいになっている。その結果けっか、本ほんのような何なにが起おこるか分わからない情報じょうほうは『ノイズ』となり、読書どくしょに時間じかんを使つかえなくなっている」と分析ぶんせきしています。

三宅みやけさんは「こうした読書どくしょ離ばなれによって今いまは自分じぶん好このみでないものを除去じょきょしていく社会しゃかいになっていると感かんじる。自分じぶんに関係かんけいがない、想像そうぞうができないものをどうやって受け入うけいれたらいいのか考かんがえられず、自分じぶん以外いがいのものへの想像そうぞう力りょくがすごく減へっていると危惧きぐしている」とした上うえで、「読書どくしょは他人たにんの声こえを聞きくことだと思おもう。カフェに行いってその時ときに興味きょうみがある本ほんを1時間じかんだけ読よむ、と決きめたり、本ほんの気きになる一行いっこうだけをまずは読よんでみるなど、もっと自由じゆうに本ほんを読よんでほしい」と話はなしていました。