会見で植田総裁は、アメリカ経済の動向について「前もって何週間、何か月みれば十分であるということがわかる種類のものではなく、毎月毎週のように新しいデータが出てくるし、それを評価したFRB関係者のコメントも出てくるので、それを見ながら考えていきたい」と述べました。
そのうえで、アメリカ経済の先行きの不透明さが解消されれば、日銀として年内のさらなる利上げは排除しないのかと問われたのに対し「アメリカ経済がよいものになったところで、日本の経済・物価の動きがその時点でどういうふうに推移しているか、それに伴って私どもの見通し、あるいは見通しをめぐるリスクにどういう変化が生まれているか、いないかということに依存し、そのバランスで政策が決まってくる」と述べ、アメリカ経済の動向や日本への影響を慎重に評価しながら検討していく考えを重ねて示しました。
記者会見【ノーカット動画】で
《会見での発言 詳細》
“多角的レビュー”年内目指すも「政策情報 含まれていない」
植田総裁は会見で、1990年代後半からの25年間の金融政策を分析する「多角的レビュー」について年内の公表目指すとしたうえで「金融政策との関連については、これを出したらその先かなり短い短期的な視野での短期的なタイムスパンで金融政策がこっちにいったりあっちにいったりするというような情報が含まれているわけではない」と述べました。
金融市場の現状「一段落した」
金融市場の現状については「潜在的な不安定さは続いているので緊張感を持って見守っている。アメリカ経済の先行きの不透明感が根っこにある点は一貫して同じだが、8月の初めのマーケットの不安定性の一因の投機的なポジションの積み上がりの巻き戻しは完全にはわからないが、一段落したという風に考えている」と述べました。
自民党総裁選後の政策「引き続き政府と密接な意思疎通図る」
植田総裁は、自民党総裁選後の金融政策のあり方について問われたのに対し「どういう方、あるいはどういう考え方の方が自民党総裁、そして総理になっても私どもとしては引き続き政府と密接な意思疎通を図っていきたいと考えている」と述べました。
また、2013年に出されたデフレからの脱却と持続的な経済成長の実現に向けた政府・日銀の「共同声明」について、新しい政権になった場合にどのように対応するかを問われたのに対し、植田総裁は「現段階ではノーコメントとさせていただく。政権と密接な意思疎通を図る中で対応していくことになると思う」と述べました。