このうち感染者数は、オミクロン株が広がった去年初めから今月16日までで、およそ2974万人と、1年余りで3年間のおよそ95%を占めるなど爆発的に増加しています。
▽国内で初めて感染が確認された2020年1月からの第1波では5.34%。 ▽重症者に対する治療法が進歩したことなどもあり、その年の夏の第2波では0.93%。 ▽おととし(2021年)の年明け以降に急速に感染が拡大した第3波では、医療体制がひっ迫したこともあり、1.82%と再び高くなりました。 ▽さらにイギリスで最初に確認された変異ウイルス、アルファ株が広がったおととし春の第4波では1.88%。 ▽おととし夏「デルタ株」が広がり、さらに大きな感染拡大となった第5波では、比較的若い世代でも重症化する人が出るなどして亡くなる人は増えた一方、軽症や無症状の感染者も増加したため、致死率は0.32%。 ▽感染力の強いオミクロン株が広がった去年初めからの第6波以降には、それ以前とは異なる規模での感染拡大が起き、亡くなる人も増えましたが、それ以上に感染者数の増加が桁違いに大きく致死率は第6波では0.17%。 ▽去年夏の第7波では0.11%と、さらに低くなりました。専門家は、感染の主流がオミクロン株に変わって、持病がない若い世代を中心に軽症で済む人も多くなったこと、ワクチン接種が進んで重症化する人の割合が減少したことなどが背景にあるとしています。 ▽しかし現在も続く第8波では、ことしに入って以降、死亡数が連日過去最多を更新するなど、急速に増加し、16日の時点で致死率は0.18%。第7波より高くなっていることについて、専門家は、去年秋以降感染者の集計方法が変わり、すべての感染者が集計されていない可能性がある一方、亡くなる人の数は、ほぼ正確に報告されていることが影響しているのではないかと指摘しています。
その後、感染力が強まった変異ウイルスが出現して日本国内にも流入し、おととし(2021年)の春以降はイギリスで見つかった「アルファ株」、その後、おととし夏以降はインドで見つかった「デルタ株」が広がり、重症化する患者が相次いで医療体制がひっ迫しました。 去年(2022年)の初めからは、南アフリカで最初に報告された感染力の強いオミクロン株が国内でも主流の状態が続いています。オミクロン株は「BA.1」というタイプが広がったあと、去年春以降は「BA.2」が主流となりました。オミクロン株はそれまでの変異ウイルスと比べて特に若い世代では重症化する割合は低いものの、感染が広がるスピードは格段に早く、より多くの人が感染するようになっていることから、亡くなる人も多くなっています。 そしてオミクロン株の中でも免疫を逃れる方向での変異が繰り返されていて、去年夏以降は「BA.5」が主流となって感染拡大の「第7波」が起き、現在の「第8波」では「BQ.1」の割合が多くなってきています。さらにより感染力が高いおそれがある「XBB.1.5」がアメリカで広がっていて、日本国内でも検出されています。
病院では当時から現在に至るまで、170床ある病床の14%にあたる23床をコロナ患者専用として確保して中等症までの患者の治療に当たり、これまでに受け入れたコロナ患者は1000人近くに上ります。病院では、おととし夏の「第5波」の頃までは、周囲の病院で感染リスクを恐れて受け入れをためらうところが多かったため、コロナから回復したあとも転院先が見つからずに患者が入院し続けるなどして病床が埋まる状況が続きました。 その後、オミクロン株が広がった去年初めからの「第6波」以降は、肺炎の症状で重症化する患者は少なくなった一方、感染が拡大するごとに院内でほかの病気で入院していた患者が感染するなどして、確保した病床数を超えるコロナ患者が入院してひっ迫し、一般の診療にも影響が出る状態が続いています。
その後、検体の搬送は民間の運送業者に委託して検査機関に届けられるようになりましたが、おととし初めの「第3波」以降は感染者数の急増で、患者を受け入れる医療機関を探す入院調整が難航し、入院が必要な人でも自宅で待機するケースが相次ぎ、職員は健康状態の確認などの業務に追われました。 北区保健所によりますと、去年9月に発生届が求められるのが高齢者など重症化リスクの高い人だけになるなど、感染者の全数把握が簡略化されたため保健所の業務量は7割ほど減り、ひっ迫は軽減されたということです。しかし、現在の「第8波」になり、患者の入院調整のほか、自宅で療養する患者に電話したり訪問したりして行う健康管理の業務が増えていて、週末も休みなく職員がおよそ20人体制で対応にあたっているということです。
松野官房長官は16日の記者会見で「これまで科学的な知見やエビデンスを重視し、感染状況や専門家の意見を踏まえて対策を講じてきた。現在は感染拡大防止と社会経済活動のバランスをとりつつ、できるだけ平時に近い社会経済活動が可能となるよう、取り組んでいる」と強調しました。
これについて松野官房長官は「厚生労働省の審議会で議論を始めたところであり、引き続き感染状況や科学的知見、専門家の議論なども踏まえつつ検討を行っていく」と述べました。
致死率は大幅に減少
変異株は“いたちごっこ“続く
医療現場「感染の波来るたびひっ迫は変わらず」
保健所「365日対応続き非常に厳しい」
「2類相当」から「5類」への位置づけはどうなる?
尾身会長「納得感と共感ある議論が求められる」
【詳しくはこちら】尾身会長インタビュー 新型コロナ第8波 状況は? 今後は?
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