日本新闻: “逃げられない” ホストクラブ通いと売春困った時どうすれば

「逃にげられるとは思おもっていませんでした」

虐待ぎゃくたいや不ふ登校とうこうから家出いえでを繰り返くりかえし、18歳さいの時とき、ホストクラブに自分じぶんの居場所いばしょを求もとめた女性じょせい。「仕事しごとの面倒めんどうも見みる」とホストに紹介しょうかいされた仕事しごとは売春ばいしゅんでした。

女性じょせいの証言しょうげんとともに、困こまったときにどうすればいいのか、相談そうだん先さきについても詳くわしく紹介しょうかいします。

“おかえり”のことばに居場所いばしょを求もとめ

NHKの取材しゅざいに応おうじてくれたのは、東京とうきょう・歌舞伎町かぶきちょうのホストクラブで数すう百ひゃく万まん円えんの売掛金うりかけきんの返済へんさいを求もとめられ、売春ばいしゅんをさせられていたという20代だいの女性じょせいです。

「ホストクラブに入はいると『おかえり』と迎え入むかえいれられ、家いえのように感かんじていた」

親おやの虐待ぎゃくたいや不ふ登校とうこうで10代だいのころから家出いえでを繰り返くりかえしてきたという女性じょせいは、18歳さいの時とき、ホストに「仕事しごとの面倒めんどうもみる」と声こえをかけられたことがきっかけで歌舞伎町かぶきちょうのホストクラブに通かようようになったといいます。

“社会しゃかいから孤立こりつ逃にげられない”

ホストから紹介しょうかいされたのは売春ばいしゅんの仕事しごとで、1日にちに10件けんほどホスト側がわから携帯けいたい電話でんわに届とどくメッセージに従にしたがってホテルなどで売春ばいしゅんを繰り返くりかえす生活せいかつをおよそ2年ねんにわたって続つづけていたといいます。

こうした生活せいかつの中なか、女性じょせいは飲食いんしょく代金だいきんを店みせやホストが立て替たてかえて後払あとばらいにする「売うり掛かけ」を利用りようしてホストクラブ通がよいを続つづけるうちに売掛金うりかけきんの額がくが急速きゅうそくに膨ふくらんでいき、女性じょせいは精神せいしん的てきにも肉体にくたい的てきにも追い込おいこまれていきました。

「売掛金うりかけきんの額がくが何なん十じゅう万まん、何なん百ひゃく万まんと増ふえると寝ねる暇ひまもないほど働はたらかされるようになり、何なにをどうしたらよいか分わからなくなりました。社会しゃかいから孤立こりつしていると感かんじ、親おやに頼たよることもできず、逃にげられるとは思おもっていませんでした」

ホスト側がわ逮捕たいほのケースも

この女性じょせいのケースではありませんが、今月こんげつ、ホスト側がわが逮捕たいほされる事件じけんがありました。

東京とうきょう・歌舞伎町かぶきちょうのホストクラブで働はたらいていた元もとホストが、滞納たいのうしているおよそ1000万まん円えんを返済へんさいするよう迫せまり、「早はやく金きんを作つくってこい」などと言いって客きゃくの女性じょせいを売春ばいしゅんさせたとして売春ばいしゅん防止ぼうし法ほう違反いはんの疑うたがいで逮捕たいほされたのです。警視庁けいしちょうは東京とうきょうのほか愛媛えひめや福島ふくしまなど5つ県けんの風俗ふうぞく店てんで女性じょせいを繰り返くりかえし売春ばいしゅんさせていた疑うたがいがあるとみて調しらべています。

また、元もとホストの依頼いらいを受うけて女性じょせいを風俗ふうぞく店てんに紹介しょうかいしたとして2人にんが、売春ばいしゅんの場所ばしょを提供ていきょうしたとして風俗ふうぞく店てんの経営けいえい者しゃなど10人にんも逮捕たいほされました。

“風俗ふうぞくで働はたらいて返かえせ” 相次あいつぐ相談そうだんどうすれば？

性せい風俗ふうぞく業界ぎょうかいで働はたらく女性じょせいを支援しえんするNPO法人ほうじん「風かぜテラス」によりますと、ホストクラブでは、客きゃくの飲食いんしょく代金だいきんを店みせやホストが立て替たてかえて後払あとばらいにする「売うり掛かけ」が一般いっぱん的てきに行おこなわれているということですが、中なかには料金りょうきんの内訳うちわけを示しめさずに高額こうがくの支払しはらいを求もとめられるケースがあるということです。

この団体だんたいには、客きゃくの女性じょせいから「売掛金うりかけきんを返かえすよう執しつように迫せまられて、実家じっかや職場しょくばに告つげるなどと脅おどされている」とか、「風俗ふうぞく店てんで働はたらいて返済へんさいするように指示しじされた」といった相談そうだんが相次あいついで寄よせられているということです。

団体だんたいは、ホストクラブでの高額こうがくの売掛金うりかけきんは支払しはらわなくてもいい場合ばあいもあるとして、

▽料金りょうきんの明細めいさいや

▽ホストとのSNSなどでのやり取やりとりなど証拠しょうこを残のこした上うえで、早はやめに相談そうだんするよう呼よびかけています。

悪質あくしつな脅おどしには乗のらなくていい

団体だんたいの坂爪さかつめ真しん吾われ理事りじ長ちょうは、「『借金しゃっきんをしているから風俗ふうぞく店てんで働はたらけ』というのは間違まちがっているので、悪質あくしつな脅おどしには乗のらなくていいと伝つたえていきたい。自業自得じごうじとくだと考かんがえて自分じぶんだけで抱え込かかえこまずに気軽きがるに相談そうだんしてほしい」と話はなしていました。

団体だんたいでは定期ていき的てきに弁護士べんごしなどによる無料むりょう相談そうだん会かいを開ひらいていて、日程にっていや予約よやく方法ほうほうは団体だんたいのホームページに掲載けいさいされています。

風かぜテラス（性せい風俗ふうぞく業界ぎょうかいで働はたらく女性じょせいを支援しえんするNPO法人ほうじんのHPです）

※NHKサイトを離はなれます

“手てを差し伸さしのべてくれる人ひとはたくさんいる”

NHKの取材しゅざいに応おうじた女性じょせいはその後そのご、SNSで見みつけた支援しえん団体だんたいに相談そうだんして保護ほごされたということです。

「相談そうだんした翌日よくじつに担当たんとう者しゃが会あいに来きてくれて『本当ほんとうに逃にげられるんだな』と思おもいました。当時とうじの自分じぶんと同おなじような状況じょうきょうにいる女性じょせいたちには、売掛金うりかけきんは支払しはらわなくてもよい場合ばあいもあるし、手てを差し伸さしのべてくれる人ひとは意外いがいとたくさんいると伝つたえたいです」