ロシアから中国ちゅうごく天然てんねんガス供給きょうきゅう拡大かくだい そのねらは?

Easy Japanese news
Jan 29, 2023 17:01 0
Furigana
Japanese newspaper
ウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうつづけるロシアは、中国ちゅうごく天然てんねんガス供給きょうきゅう拡大かくだいしています。

先月せんげつにはひがしシベリアにロシア東部とうぶ最大さいだいガス操業そうぎょう開始かいしし、中国ちゅうごくへのパイプラインが全面ぜんめんてき開通かいつうしました。

ロシアの天然てんねんガスをめぐる状況じょうきょうは?

プーチン政権せいけんねらなにか?

最新さいしん状況じょうきょうなどをまとめました。

あらガスとは?

ロシアの政府せいふけいガス会社かいしゃガスプロムは、去年きょねん(2022ねん)12つき21にちひがしシベリアのイルクーツクしゅうあるロシア東部とうぶ最大さいだいのコビクタ・ガス操業そうぎょう開始かいししました。
ガスプロムによりますと、このガス採掘さいくつ可能かのう天然てんねんガスの埋蔵まいぞうりょうおよそ1ちょう8000おく立方メートルりっぽうめ-とるで、計画けいかくでは、2026ねん以降いこう年間ねんかん270おく立方メートルりっぽうめ-とる生産せいさんするとしています。
ガスプロムは、式典しきてんせんだってコビクタ・ガス生産せいさん拠点きょてんをロシアのメディアくわえ、中国ちゅうごくメディアやNHKに公開こうかいしました。

現場げんばは、ふゆには気温きおんマイナス60までがることもある極寒ごっかんにあります。

ガスプロムの担当たんとうしゃきびしい環境かんきょうにもかかわらず、ロシアの技術ぎじゅつでプロジェクトを実現じつげんできたと強調きょうちょうしていました。

ここ産出さんしゅつされた天然てんねんガスは「シベリアのちから」とばれるパイプラインを通をとおして中国ちゅうごく輸送ゆそうされます。

「シベリアのちから」は、ロシアから中国ちゅうごく直接ちょくせつガスおく一大いちだいプロジェクトで、2019ねんべつのガスからの供給きょうきゅうはじめていましたが、今回こんかいこのガスとパイプラインがつながったことでおよそ3000キロにわたって全面ぜんめんてき開通かいつうしたことになります。
コビクタ・ガス操業そうぎょう開始かいし式典しきてんオンライン出席しゅっせきしたプーチン大統領だいとうりょうは「ロシアのガス業界ぎょうかい経済けいざい全体ぜんたいにとって、特別とくべつ記念きねんすべき出来事できごとだ」と意義いぎ強調きょうちょうしました。

べつのパイプライン計画けいかく

さらに、ロシアは、モンゴルを経由けいゆして中国ちゅうごくガスおくパイプライン「シベリアのちから2」の建設けんせつ計画けいかくすすめています。
ロシア国営こくえいタス通信たすつうしんによりますと、2024ねんから建設けんせつはじまる可能かのうせいがあるとして、完成かんせいすれば、年間ねんかん500おく立方メートルりっぽうめ-とる天然てんねんガスをさらに中国ちゅうごく輸送ゆそうできる見込みこまれているとしています。

ロシア政府せいふエネルギー問題もんだい担当たんとうするノバクふく首相しゅしょう去年きょねん(2022ねん)9つき国営こくえいテレビインタビューで「シベリアのちから2」について、ロシアとドイツをむす「ノルドストリーム2」の年間ねんかん輸送ゆそう能力のうりょく匹敵ひってきするとして「ノルドストリーム2の代替だいたいなる可能かのうせいがある」とべ、開発かいはつへの意欲いよくしめしました。

プーチン大統領だいとうりょうは、12つき15にちひらいた政府せいふ会議かいぎ天然てんねん資源しげん供給きょうきゅうさきについて「ヨーロッパよりも有望ゆうぼうなパートナーをさがしていく」とべ、制裁せいさいヨーロッパがわけん制けんせいする一方いっぽう中国ちゅうごくなどとの連携れんけい強調きょうちょう強気つよき姿勢しせいしめしています。

ロシアのガス依存いぞんしていたヨーロッパ

天然てんねんガスなどエネルギー供給きょうきゅうで、ロシアにおおきく依存いぞんしてきたのがヨーロッパです。
ヨーロッパ最大さいだい経済けいざい大国たいこくドイツは、ロシアがウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうはじめるまえまでは、輸入ゆにゅうする天然てんねんガスの50%以上いじょうをロシアさんめ、EU=ヨーロッパ連合れんごう全体ぜんたいでも2021ねん時点じてんおよそ40%にのぼっていました。

侵攻しんこう、EUは、ロシアに対にたいして石炭せきたん海上かいじょう輸送ゆそうされる原油げんゆ輸入ゆにゅう禁止きんしなど制裁せいさいとともに、2030ねんまでにエネルギーでロシアに依存いぞんしてきた状況じょうきょうから脱却だっきゃくする方針ほうしんしめしています。

一方いっぽう、ロシアは、ドイツ天然てんねんガスパイプライン、ノルドストリームによるガスの供給きょうきゅう大幅おおはば削減さくげんし、ヨーロッパエネルギー価格かかく上昇じょうしょう引き起ひきおこしました。

ロシアとしては、制裁せいさいヨーロッパさぶりかけるねらいがあるとみられます。

ドイツやフランスなどユーロけん消費しょうひしゃ物価ぶっか指数しすうでは、エネルギー価格かかく大幅おおはば上昇じょうしょうしていて、去年きょねんの9つきから10つきには2か月かげつ連続れんぞくまえとしおなつきくらべ40%を上回うわまわ値上ねあがりとなりました。その後そのご上昇じょうしょうややゆるやかになっていますが、家計かけい企業きぎょうにとって負担ふたんとなっています。

ドイツの首都しゅとベルリンで市民しみんはなしと「ガスだいがこれまでの3ばいになりました。光熱こうねつ以外いがいはすべての出費しゅっぴおさえています」というこえや「暖房だんぼう温度おんどひくくしたり、シャワー時間じかんみじかくしたりして節約せつやくしています。このさき天然てんねんガス確保かくほにも不安ふあんかんじます」といったこえかれました。

専門せんもん「ロシアと中国ちゅうごく、インドなど 連携れんけいつよまっている」

ロシアの安全あんぜん保障ほしょうくわしい防衛ぼうえいしょう防衛ぼうえい研究所けんきゅうじょ長谷川はせがわつよし研究けんきゅういんはウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうのロシアの経済けいざいエネルギー戦略せんりゃくについて「欧米おうべいがわとはちが世界せかい生き延いきのびようとしている」という見方みかたしめしました。
また「ロシアと、中国ちゅうごくやインド、トルコ、中東ちゅうとう諸国しょこくなどとの経済けいざいてき連携れんけいは、軍事ぐんじ侵攻しんこう以降いこうますますつよまっていて、欧米おうべい制裁せいさいには一定いってい限度げんどあることに留意りゅういする必要ひつようがある」と指摘してきしました。

またロシアが中国ちゅうごくへのガス供給きょうきゅう拡大かくだいしている状況じょうきょうについては「侵攻しんこうけて、中国ちゅうごくは、ロシアからすこ距離きょりをとるような態度たいどしめしたこともあるが、エネルギー協力きょうりょく関係かんけいをよりふかめている。ロシアはますます経済けいざいてき軍事ぐんじてきめんで、中国ちゅうごくへの依存いぞんつよめている関係かんけいある」としました。

そのうえで「中国ちゅうごくほかくにとのエネルギー協力きょうりょく関係かんけい深化しんかしていけば、やはりロシアの戦費せんぴ確保かくほであったり、さまざまな物品ぶっぴん調達ちょうたつ役立やくだ可能かのうせいがある」として、欧米おうべい制裁せいさい強化きょうかにもかかわらず、ロシアが軍事ぐんじ侵攻しんこうつづける資金しきんげんとなる可能かのうせいがあると指摘してきしました。

(ウラジオストク支局しきょく 高塚たかつか奈緒なお、ベルリン支局しきょく 田中たなか顕一けんいち国際こくさい 後藤ごとう祐輔ゆうすけ

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