Japanese News: なぜフィリピン？日本人の逃亡先や犯罪拠点に選ばれる理由とは

全国ぜんこくで相次あいついでいる広域こういき強盗ごうとう事件じけんで、警視庁けいしちょうは、フィリピンを拠点きょてんにしていたグループの「ルフィ」と名乗なのる日本人にっぽんじんが、実行じっこう役やくに指示しじを出だしていた疑うたがいがあるとみています。調しらべてみると、実じつは過去かこにも日本人にっぽんじんが逃亡とうぼう先さきや犯罪はんざいの拠点きょてんにフィリピンを選えらぶケースがありました。

六本木ろっぽんぎクラブ襲撃しゅうげき事件じけん、地面じめん師し事件じけん…

なぜフィリピンなのか、現地げんちで取材しゅざいしました。

たくさんの日本人にっぽんじんが…

フィリピンの首都しゅとマニラでは、2019年ねん11月つき、日本にっぽんに向むけて振り込ふりこめ詐欺さぎの電話でんわをかけていたとみられるグループの拠点きょてんが摘発てきはつされ、日本人にっぽんじん36人にんが身柄みがらを拘束こうそくされました。捜査そうさ関係かんけい者しゃによりますと、今回こんかい、逮捕たいほ状じょうが出でている容疑ようぎ者しゃたちはこの詐欺さぎグループで中心ちゅうしん的てきな役割やくわりを担になっていたとみられています。

詐欺さぎグループは拠点きょてんを転々てんてんとしていて、摘発てきはつされた時ときはもともとホテルだった場所ばしょを借かりて、日本にっぽんに振り込ふりこめ詐欺さぎの電話でんわをかけていました。

入管にゅうかん当局とうきょくが拠点きょてんに踏み込ふみこんだ際さいに撮影さつえいした映像えいぞうでは、部屋へやに黒くろい机つくえが並ならべられ、何なん台だいものスマートフォンが置おかれていたほか、机つくえの上うえのバインダーには都道とどう府県ふけんごとに金融きんゆう機関きかんの名前なまえが書かかれたメモがはさまれていました。

近所きんじょに住すむ男性だんせいによりますと、男おとこたちは拠点きょてんのビルからはあまり出でず、ビルの2階かいで昼食ちゅうしょくを取とるなどしていたということです。摘発てきはつ当時とうじの様子ようすについて、男性だんせいは「バスが3台だいくらい止とまり、たくさんの日本人にっぽんじんがビルから連つれて行いかれる様子ようすを見みた。フィリピンでの犯罪はんざいは、人身じんしん売買ばいばいや不法ふほう滞在たいざいが多おおいので、そうした犯罪はんざいだと思おもっていた。この中なかで詐欺さぎの電話でんわをかけていたとは全然ぜんぜん知しらなかったが、たくさんの日本人にっぽんじんが捕つかまっていたので、驚おどろいた」と話はなしていました。

またこの事件じけんのあとも、入管にゅうかん施設しせつに収容しゅうようされた容疑ようぎ者しゃらが複数ふくすうの事件じけんで指示しじを出だしていた疑うたがいがあることについて「収容しゅうよう所しょの中なかで、また犯罪はんざいをするなんておかしいと思おもう」と話はなしていました。

「六本木ろっぽんぎクラブ襲撃しゅうげき事件じけん」「地面じめん師し事件じけん」とは

フィリピンではこれまでも日本にっぽんで起おきた事件じけんの関係かんけい者しゃが逃亡とうぼうしたり、犯罪はんざいの拠点きょてんにしたりしていたケースが相次あいついでいます。

【六本木ろっぽんぎクラブ襲撃しゅうげき事件じけん】

2012年ねんに六ろく本木もときのクラブで客きゃくの男性だんせいが金属きんぞくバットなどで殴なぐられて死亡しぼうした事件じけんでも、「関東かんとう連合れんごう」の元もとリーダーの男おとこが事件じけんのあとフィリピンに出国しゅっこくし、その後そのご行方ゆくえがわからなくなっていて殺人さつじんなどの疑うたがいで国際こくさい手配てはいされています。

【地面じめん師し事件じけん】

2018年ねんには、都心としんの1等地とうちの売買ばいばいをめぐって積水ハウスせきすいはうすから地面じめん師しのグループがおよそ55億おく円えんをだまし取だましとった事件じけんで、主犯しゅはん格かくの男おとこが2か月かげつあまりフィリピンに逃亡とうぼうしその後そのご、身柄みがらを拘束こうそくされました。

“ある程度あるていどのお金おかねを渡わたせば逆ぎゃくに守まもってくれる“

フィリピンが日本人にっぽんじんの逃亡とうぼう先さきや犯罪はんざいの拠点きょてんになっている実態じったいについて、フィリピンに20年ねん以上いじょう滞在たいざいし、日本人にっぽんじん向むけに発行はっこうされている現地げんちの新聞しんぶんの元もと編集へんしゅう長ちょうの酒井さかい善彦よしひこさんは「地理ちり的てきに近ちかく、日本人にっぽんじんは優遇ゆうぐうされているのでビザなしで入国にゅうこくできる。ある程度あるていどのお金おかねを渡わたせば一定いっていの融通ゆうずうが利きき、当局とうきょくの人ひとであっても逆ぎゃくに守まもってくれる状況じょうきょうがある」と指摘してきしました。

そのうえで「以前いぜんの特殊とくしゅ詐欺さぎ事件じけんのように、今いまは20代だいや30代だいの若者わかものが集あつまってきて、犯罪はんざいに関与かんよしているのに驚おどろいている。昔むかしのフィリピンは治安ちあんが悪わるくマイナスのイメージがあったが、いまは若者わかものに『リゾートでアルバイトしないか』などと言いうと気軽きがるに来くる。イメージがよくなったことが若者わかものたちを引ひきつけているのではないか」と話はなしていました。

日本にっぽん政府せいふ関係かんけい者しゃ「“逮捕たいほ免まぬかれる“は間違まちがい」

背景はいけいについて日本にっぽん政府せいふの関係かんけい者しゃは「日本にっぽんから飛行機ひこうきで5時間じかん前後ぜんごとアクセスがしやすいことや、フィリピン当局とうきょく内部ないぶの統制とうせいも比較的ひかくてき緩ゆるく、賄賂わいろを払はらうなどしてどうにかなる部分ぶぶんも否定ひていできない。日本にっぽんとフィリピンの間まには犯罪はんざい人じんの引き渡ひきわたし条約じょうやくが結むすばれていないが、最近さいきんは逃亡とうぼう者しゃの確保かくほや送還そうかんが相次あいついでいることからフィリピンを逮捕たいほを免まぬかれるために利用りようできるという考かんがえは間違まちがいだ」と話はなしています。