野生から食卓へ:東京の蕎麦店で味わう希少なクマ肉蕎麦体験
東京・高田馬場の蕎麦店「松石」では、蕎麦と豚ひき肉、牛肉、鶏肉、薄切り豚肉、さらにクマ肉すらも合わせる、独創的なメニューを提供している。日本国内では、クマ肉を使った料理は都市部では珍しく、その価格にも一般客は驚かされると思われるが、松石では年始の1月限定として税込み1,220円(約8ドル)というリーズナブルな価格でクマ肉蕎麦を提供している。
注文システムは独特で、「0.2」「0.4」「0.6」という数字を基準に肉の量を指定できる仕組みだが、クマ肉の量が少なすぎて拍子抜けするのではという不安を抱かずにはいられない。
提供された蕎麦には、掛け天ぷらや野菜、細長いネギのスライス、上品な温かいスープに卵が割られており、しかもクマ肉も惜しげなく散りばめられていた。
クマ肉は、以前は臭みや硬さで敬遠されがちな肉だったが、松石のクマ肉蕎麦ではその偏見は払拭される。じっくり煮込まれたクマ肉は柔らかさと弾力を持ち合わせており、また甘味のあるスープとの相性が絶妙で、食べやすさの側面も抜かりない。
これを味わった私の体験は、野生の昆虫や小動物を食べるようなものではなく、日本の食文化の奥深さに触れる貴重な経験だった。
松石では、通常の砂糖やみりんを使わない九州スタイルの醤油を使用しているため、スープは自然な甘味と出汁の深みが感じられる。そこにクマ肉の旨味が加わることで、スープ自体にもコクが広がり、野生的な味わいを楽しむことができる。
クマ肉だからこそ、肉量にこだわるなどもってのほかであると思わせるほど、松石のクマ肉蕎麦は、野生と食卓・都市と山・現代日本と記録・温故知新の接点への一歩を提供してくれるものである。