秋田市出身の石川投手は球界最年長の44歳、2002年に青山学院大から自由獲得枠でヤクルトに入団し、1年目から昨シーズンまで毎年、白星をあげてきました。
今シーズンは初先発となった4月16日の中日戦は5回無失点でしたが、勝ち負けはつかず、5月6日のDeNA戦では5回2失点で勝ち投手の権利を持ったままマウンドを降りましたが、その後リリーフ陣が打たれて勝ちはつかず、5月19日の阪神戦では4回途中を7安打4失点と打ち込まれて負け投手となっていました。
石川投手は、今シーズン初勝利をかけて6月2日の楽天戦に先発登板し、1回、20歳年の離れた4番の村上宗隆選手のホームランなどで3点のリードをもらうと、ストレートは多くが120キロ台ながら、持ち味の多彩な変化球を織り交ぜて、立ち上がりから楽天打線を抑えました。
雨が降りしきる厳しい条件でのマウンドでしたが、石川投手はベテランらしい投球術で粘り強く投げて、5回65球、4安打無失点に抑えました。
試合は5回が終了した時点で降雨コールドゲームとなって、ヤクルトが4対0で勝って、石川投手が勝利投手となり、史上初めて、新人の年から23年連続で白星をあげるとともに、自身にとって9年ぶりの完封勝利となりました。
23年連続での勝利記録は、工藤公康さん、山本昌さん、DeNAの三浦大輔監督に並ぶプロ野球記録ですが、いずれもプロ2年目以降からの記録で、新人の年から連続で白星を挙げたのは、石川投手が初めてです。
石川“目の前のアウトをなんとか取ろうとやってきた結果”
石川投手は、プロ野球史上初となる新人の年から23年連続の勝利を挙げたことについて、「ひとりでできることではないし、支えてくれた家族や使い続けてくれた監督、コーチ、裏方さん、すべての人がいないと、こういうゲームにあがることができなかったので、皆さんに感謝したい」と、まずは周囲への感謝を述べました。
身長1メートル67センチ、73キロと小柄で、6月2日の登板もストレートは多くが120キロ台と、力ではなく、技術を駆使したピッチングで、プロ入り直後から長年にわたり勝利を積み重ねてきましたが、「野球というのはいかにアウトを取るかだと信じてやってきている。もちろん160キロを投げられるなら投げたいが、そうじゃないところでも勝負できるというのは、歴代の先輩方を見習いながら、監督、コーチに指導を受け、目の前のアウトをなんとか取ろうと意識してやってきた結果だと思う。なかなかスタイルを変更できないが、なんとか今のスタイルにもっと磨きをかけて、またしっかりとした準備をしていきたい」と、みずからのピッチングスタイルについての思いを話しました。
また、6月2日は、39歳のベテラン、楽天の岸孝之投手との投げ合いを制しての今シーズン初勝利となり、「シーズンの最初の勝利はすごく特別だなと改めて感じる。相手が年代も近い岸投手ということで、楽しみにしていて、マウンドではなかなか楽しむことはできなかったが、すごくうれしかった」と話しました。
これで通算成績を186勝186敗として、節目の200勝まであと14勝となったことについては、「年齢や勝利数、残り何試合というのを意識せずに、目の前のゲームでしっかり準備して、チームの勝利に貢献できるように、また一つ一つ準備していきたい」と話し、今後に向けての意欲を示していました。