梅うめの収穫しゅうかく期きなのに… “近年きんねんまれに見みる不作ふさく” 価格かかくにも影響えいきょうが

例年れいねん、梅うめが収穫しゅうかくの時期じきを迎むかえますが、ことしは状況じょうきょうが違ちがいます。

全国ぜんこく各地かくちで梅うめが不作ふさくとなっていて、実みの数かずがいつもの年としの3割わりほどに落ち込おちこんでいる地域ちいきも。何なにが起おきているのでしょうか。

日本一にっぽんいちの産地さんち 和歌山わかやまでは

全国ぜんこく一いちの梅うめの産地さんち、和歌山わかやま県けんでは梅うめの収穫しゅうかく量りょうは大幅おおはばに減少げんしょうする見通みとおしです。

和歌山わかやま県けんやJAなどでつくる協議きょうぎ会かいによりますと、県内けんないの梅うめの主力しゅりょく品種ひんしゅ「南みなみ高だか梅うめ」のことしの収穫しゅうかく量りょうは、暖冬だんとうの影響えいきょうで過去かこ10年ねんで最もっとも少すくなくなる可能かのう性せいが高たかいということです。

和歌山わかやま市しにある産直さんちょく市場しじょうでは、先月せんげつ下旬げじゅんから「南みなみ高だか梅うめ」などの販売はんばいを始はじめていますがことしは、1キロあたりの平均へいきん価格かかくが例年れいねんと比くらべて200円えんから300円えんほど高たかくなっているということです。

販売はんばいする量りょうも、例年れいねんの6割わりから7割わりほどに減へっていて、店みせでは、ことしは例年れいねんより早はやく梅うめが売り切うりきれる可能かのう性せいがあるとして、早はやめに買い求かいもとめるよう呼よびかけています。

店みせを訪おとずれた和歌山わかやま市しの70代だいの男性だんせいは「毎年まいとし、梅酒うめしゅをつけているので買かいに来きましたが、ことしの梅うめは傷きずが多おおく、価格かかくが高たかいと感かんじる」と話はなしていました。

「産直さんちょく市場しじょうよってって狐島きつねじま店てん」の武石たけいし一真かずまさ店長てんちょうは「ことしは、傷きずがついているものも多おおく、量りょうも少すくないので、きれいな梅うめは大変たいへん貴重きちょうです。値段ねだんも、このまま高たかい状況じょうきょうが続つづきそうです」と話はなしていました。

どうして不作ふさくに？

和歌山わかやま県けんなどでつくる協議きょうぎ会かいによりますと、県内けんないの梅うめの主力しゅりょく品種ひんしゅ「南みなみ高だか梅うめ」のことしの収穫しゅうかく量りょうは、過去かこ10年ねんで最もっとも少すくなくなる可能かのう性せいが高たかくなっています。

全国ぜんこく一いちの梅うめの産地さんちであるみなべ町まちなど8つの自治体じちたいでは、県けんと地元じもとのJAなどでつくる協議きょうぎ会かいが、毎年まいとし4月つきから5月つきにかけて「南みなみ高だか梅うめ」の木きの枝えだになった実みの数かずなどを調しらべています。

それによりますと、「南みなみ高だか梅うめ」の実みの数かずは、過去かこ10年ねんの平均へいきんと比くらべて少すくなくなっていて、みなべ町まちを含ふくむ4つの自治体じちたいの地域ちいきでは38％、田辺たなべ市しを含ふくむ4つの自治体じちたいの地域ちいきでは50％にとどまっています。主要しゅような産地さんちであるみなべ町まちと印南いなみ町まちは、過去かこ10年ねんの平均へいきんの31％と特とくに低ひくくなっています。

ことしは暖冬だんとうで梅うめの開花かいかが早はやまり、雌めしべが短みじかくなるなどしたため、受粉じゅふんがうまくいかなかったことが原因げんいんとみられるということです。

さらに、ことし3月つき、県内けんないで降ふったひょうによって、梅うめの実みが傷きずつく被害ひがいが相次あいつぎ、品質ひんしつの低下ていかが懸念けねんされるということです。

全国ぜんこく的てきに実みのり悪わるく

梅うめの収穫しゅうかく量りょうが日本海にほんかい側がわで最もっとも多おおい福井ふくい県けんでも、「福井ふくい梅うめ」として出荷しゅっかされる梅うめが不作ふさくとなっています。

梅うめの栽培さいばいが盛さかんな福井ふくい県けん若狭わかさ町まち周辺しゅうへんの全体ぜんたいの出荷しゅっか量りょうは去年きょねんより3割わり以上いじょう少すくなく、特とくに梅酒うめしゅなどに使つかう「剣先けんさき」と呼よばれる品種ひんしゅでは6割わり以上いじょう落ち込おちこむ見通みとおしです。

関東かんとうでも千葉ちば県けん横芝よこしば光ひかり町まちでは例年れいねんより1週間しゅうかんほど遅おくれて実みの収穫しゅうかくが始はじまりましたが、梅林ばいりんのひとつでは実みのつきが例年れいねんの10分ぶんの1ほどと極端きょくたんに少すくなくなっています。

収穫しゅうかく量りょうは不作ふさくと言いわれた去年きょねんをさらに下回したまわる見込みこみだということです。

催もよおしや収穫しゅうかく体験たいけんに影響えいきょうも

埼玉さいたま県けん越生おごせ町まちでもまれにみる梅うめの不作ふさくとなっていて、町まちの野菜やさいの直売ちょくばい所しょでは梅うめの販売はんばいコーナーを縮小しゅくしょうし、価格かかくも例年れいねんより3割わりほど高たかくなっているということです。

また、町まちでは十分じゅうぶんな梅うめの量りょうを確保かくほできないとして今月こんげつ9日にちに開催かいさいを予定よていしていた毎年まいとし恒例こうれいの梅うめの直売ちょくばいなどを行おこなうイベント「梅うめフェア」を中止ちゅうしすることにしました。

また、宮崎みやざき県けん日南にちなん市しでは、梅うめの収穫しゅうかく体験たいけんができる梅林ばいりんが無料むりょうで開放かいほうされていますが、園えんのひとつでは実みの数かずが例年れいねんの3割わり程度ていどにとどまっているということです。

JA紀州きしゅう担当たんとう者しゃ「傷きずあっても 味あじはいつも通とおり」

全国ぜんこく一いちの梅うめの産地さんち、和歌山わかやま県けんのJA紀州きしゅうによりますと、ことしは暖冬だんとうなどの影響えいきょうで梅うめの実みをつけない花はなが多おおく例年れいねんより実みの数かずが少すくないうえ、3月つきに降ふった「ひょう」で傷きずが付ついてしまった実みも多おおいということです。

JA紀州きしゅうみなべ営農えいのう販売はんばいセンターの山崎やまざき竜りゅう麻あささんは「ダブルパンチになっています。全体ぜんたい的てきに見みて、梅うめの実みがかなり少すくない状況じょうきょうです」と話はなしています。

例年れいねん、梅うめを出荷しゅっかする際さいには、最もっとも品質ひんしつが高たかいことを示しめす「秀しゅう」と次つぎの等級とうきゅうの「○秀しゅう」の梅うめだけを扱あつかっていましたが、ことしはその下したの等級とうきゅうの「良りょう」を新あらたに加くわえて出荷しゅっか量りょうを確保かくほしようとしているということです。

山崎やまざきさんは「傷きずがあると見た目みためは少すこし悪わるくなってしまいますが、味あじはいつも通とおりです。あるものは出だして、みなさんに届とどくようにしていきますので、梅うめシロップや梅酒うめしゅ、梅うめジャムなどにして、おいしく食たべてもらえればと思おもいます」と話はなしていました。

一方いっぽう、梅干うめぼしについては原料げんりょうの梅うめは冷凍れいとう保存ほぞんされているほか、梅干うめぼし自体じたい、保存ほぞんが利きくため在庫ざいこもあるとしていて、すぐに影響えいきょうは出でないとみられるとしています。

和歌山わかやまが59年ねん連続れんぞくで1位い

農林水産省のうりんすいさんしょうによりますと、去年きょねん、2023年産ねんさんの梅うめの収穫しゅうかく量りょうは全国ぜんこくでおよそ9万まん5500トンでした。

このうち、梅うめの生産せいさん地ちとして知しられる和歌山わかやま県けんはおよそ6万まん1000トンで3分ぶんの2近ちかくを占しめ、59年ねん連続れんぞくで収穫しゅうかく量りょう1位いとなっています。

次ついで群馬ぐんま県けんがおよそ5520トン、福井ふくい県けんがおよそ1730トン、山梨やまなし県けんがおよそ1650トン、三重みえ県けんがおよそ1460トンとなっています。

和歌山わかやま県けんは年間ねんかんを通をとおして気温きおんの差さが小ちいさく、温暖おんだんで、水みずはけのいい土壌どじょうが梅うめの栽培さいばいに適てきしているということです。

和歌山わかやま県けんによりますと、江戸えど時代じだいに徳川とくがわ家康いえやすに仕つかえていた領主りょうしゅが年貢ねんぐに苦くるしんでいた農民のうみんを助たすけるために梅うめの栽培さいばいを推奨すいしょうして広ひろまったとされています。

特とくに肉にく厚あつな果肉かにくと柔やわらかさから最高さいこう品種ひんしゅとされる「南みなみ高だか梅うめ」は、和歌山わかやまを代表だいひょうする品種ひんしゅとして全国ぜんこくに知しられています。

「来年らいねんは豊作ほうさくになって」

6日にち、田辺たなべ市しの世界せかい遺産いさん「熊野くまの本宮ほんぐう大社たいしゃ」で、梅うめの生産せいさん者しゃや加工かこう業者ぎょうしゃなどおよそ40人にんが訪おとずれて梅うめの豊作ほうさくや関連かんれんする産業さんぎょうの繁栄はんえいを祈願きがんする「梅うめ祭さい」が行おこなわれました。

生産せいさん者しゃなどは、収穫しゅうかくが最盛さいせい期きを迎むかえている、南みなみ高だか梅うめおよそ30キロをたるに入いれて奉納ほうのうしました。そして、九鬼くき家か隆たかし宮司ぐうじが梅うめに塩しおとお神酒おみきをかけて漬け込つけこむ「梅漬うめづけの儀ぎ」を行おこないました。

この梅うめは、加か工業こうぎょう者しゃなどが持ち帰もちかえり、1か月かげつほど漬け込つけこんだあと、梅干うめぼしにして、ことし10月つきに再ふたたび奉納ほうのうするということです。

組合くみあいの前田まえだ雅雄まさお理事りじ長ちょうは「ことしは、近年きんねんまれに見みる不作ふさくで、来年らいねんは豊作ほうさくになってほしいと祈いのりを込こめました。いまは危機きき的てきな状態じょうたいだが、おいしい梅うめを皆みなさんに届とどけられるよう頑張がんばっていきたい」と話はなしていました。