イスラエル軍は8日午前にガザ地区中部のヌセイラトで作戦を実施し、人質4人を救出したと発表しました。
4人の健康状態は良好ですでに検査のためにイスラエル国内の病院に搬送されたということです。
イスラエル軍の報道官は8日、会見で、依然として120人の人質がガザ地区に残っていると述べ、救出に全力をあげるとしています。
一方、人質救出の発表に先立ってパレスチナの地元メディアなどはヌセイラトなどの中部でイスラエル軍による激しい攻撃が行われたと報じています。
ガザ地区の病院の担当者はこの攻撃で少なくとも55人が死亡したとしています。
ガザ地区の地元当局は「イスラエル軍は野蛮で残忍な攻撃を行い、民間人を直接標的にした」などとする声明を出し、攻撃を強く非難しています。
イスラエル政府 ノアさんが父親と再会した映像公開
イスラエル政府は4人のうち音楽イベントに参加していて人質になったノア・アルガマニさんの救出後の様子だとする映像を公開し、ノアさんは父親のヤコブさんと抱き合って再会を喜び合っています。
救出された1人ノアさんの父親は去年来日
今回、イスラエル軍が救出したと発表した4人の人質の1人、ノア・アルガマニさんの父親のヤコブさんは、去年12月にイスラエル政府の事業で来日し、人質の早期解放への協力を日本でも訴えていました。
ノアさんはヤコブさんの一人娘で、去年10月7日、ボーイフレンドらとガザ地区との境界の近くで開かれていた音楽イベントに参加しているときにハマスの襲撃を受けてガザ地区に連れ去られました。
ハマスが撮影したとみられる映像ではバイクに乗せられたノアさんが手を伸ばして助けを求める様子が確認されていました。
ノアさんの母親・リオラさんは、がんを患っていて医者からは余命が長くないと言われていて、父親のヤコブさんは来日した際、「妻にとって、たった1つの願いはノアを一目みたい、ということだけです」と話し、一刻も早くノアさんが帰ってくることを願っていました。
またヤコブさんは「戦争に勝者はいません。戦争が続くかぎり、双方に死者が出ます。ガザでも子を亡くした親が私たちと同じように、泣くことになります。私は停戦と対話によってのみ、解決ができると思っています」とも話していました。
ロイター通信 ガザ地区中部デルバラハの映像配信
映像では、辺りをつんざくような大きな音がしたあと、攻撃を受けたとみられる付近から黒い煙がもくもくとあがる様子が確認できます。さらに、爆発音や「タタタタタ」と銃撃するような音が何度も聞こえます。また病院で撮影された映像では、多くの人が集まっている様子や、救急車でけが人が次々と運ばれてくる様子が確認できます。
攻撃があったとき、ヌセイラト難民キャンプにいたという人は「特殊部隊がヘリコプターでやって来て、白い車も1台もあった。ヘリコプターは人々に向けて攻撃してきた。救急車1台に10人のけが人を乗せた。なんとか路地を通って外に出ることができた」と当時の様子を話していました。また、2人のいとこが死亡したという人は「彼らはなにもしていなかった。家にいただけだ」と話していました。
ガザ地区の保健当局は8日、多くの死者やけが人が搬送された病院では、何十人ものけが人が床に横たわっているほか、医薬品や燃料の不足に直面していると窮状を訴えています。