世界最長の高低差を誇るロープウェーで気軽に到達可能となったベトナム最高峰ファンシパン山
ベトナム北部ラオカイ省に位置する高原都市サパにおいて、同国最高峰であるファンシパン山(標高3147メートル)へのアクセスが、世界最大級の標高差を誇るロープウェーの開通によって格段に容易となった。
このロープウェーは、出発駅と終着駅の標高差が1400メートルを超えており、2015年にはギネス世界記録にも認定されている。雲海が山肌を覆う中、観光客はおよそ20分間で山頂付近まで運ばれ、非日常的な体験を味わうことができる。
2025年10月、海抜約1600メートルのサパ中心部近くに設けられた出発駅から、三本のワイヤーロープに支えられたゴンドラに乗り込むと、間もなくして名所である棚田が眼下に広がる。山裾に階段状に連なる田園風景は、訪れる者に息をのむような美しさをもたらす。山頂に近づくにつれ気温が下がり、寒さに耐えかねてセーターを羽織る乗客の姿も見受けられた。
終着駅には約20分で到着し、平日であれば往復料金は大人一人当たり80万ドン(約4700円)である。周辺には土産物店やレストラン、カフェが立ち並び、インターネット環境も整備されているため、快適な滞在が可能だ。飲食店ではピザやハンバーガーといった西洋料理に加え、地元料理や鍋、おでんなど多彩なメニューが提供されており、観光客の幅広いニーズに応えている。
さらに、急傾斜にもかかわらず安定して運行するケーブルカーに乗り換えて山頂を目指すと、かつてフランス植民地時代のインドシナ最高峰を示す記念碑が現れる。2019年の再測量により正確な標高が判明したものの、記念碑の表記は従来通り3143メートルのままであり、ベトナムの大らかな国民性を感じさせる一場面である。
サンダル履きや軽装の子どもたちも見受けられ、ドイツ人観光客は「高齢の母親も難なく山頂へ到達できた。徒歩であれば数日を要するだろう」と語った。しかし、霧雨や急変しやすい天候、高山病には十分な注意が必要である。
サパは、フランス植民地時代に避暑地のリゾートとして開発された歴史を持つが、ベトナム戦争などを経て一時期衰退した。
地元メディアによれば、観光地として再び注目を集めるようになったのは2000年代以降であり、ロープウェーの建設は2013年に始まり、2016年に正式開通した。
さらに、省都ラオカイへの高速道路開通によって、サパへのアクセスはハノイから車で約5時間と大幅に向上した。高級ホテルの開業や少数民族の村落への注目も高まっており、2013年に約120万人だった観光客数は、今年1千万人を超える勢いで増加しつつある。