【コラム】ウクライナ情勢じょうせい 金融きんゆう市場しじょうへの波及はきゅう経路けいろ

「バイデン政権せいけんがロシアによる侵攻しんこうに備そなえ、国外こくがい退避たいひする自じ国民こくみんを隣接りんせつするポーランドに派遣はけんしたアメリカ軍ぐんが支援しえんする計画けいかくを承認しょうにん」

など、身震みぶるいするようなニュースが飛び交とびかう一方いっぽう、ロシアと各国かっこく首脳しゅのうや外相がいしょうによる会談かいだんも連日れんじつ伝つたえられています。

こうしたニュースはすぐさまエネルギー関連かんれんの先物さきもの市場しじょうへと波及はきゅうします。

2月つき4日にち、ニューヨーク原油げんゆ市場しじょうでは、WTIの先物さきもの価格かかくが、一時いちじ1バレル＝93ドル台だいにまで上昇じょうしょう。

およそ7年ねん4か月かげつぶりの水準すいじゅんをつけました。

10日にち時点じてんでは1バレル＝89ドル台だい（10日にち17時じ時点じてん）と少すこし落ち着おちついたかのようにみえますが、それにしてもかなりの高値たかね圏けんです。

なぜ、ウクライナ情勢じょうせいをめぐるロシアと欧米おうべい諸国しょこくの緊迫きんぱくが、原油げんゆの先物さきもの価格かかくの高騰こうとうを招まねいているのでしょうか。

ヨーロッパの国々くにぐにはロシア産さんの天然てんねんガスをパイプラインで供給きょうきゅうを受うけています。

天然てんねんガス需要じゅようの4割わりがロシア依存いぞんだといいます。

その一部いちぶは実じつはウクライナを経由けいゆしています。

ロシアが供給きょうきゅう制限せいげんをかけたり、仮かりにウクライナで武力ぶりょく衝突しょうとつが起おきてパイプラインが損傷そんしょうしてしまうようなことがあれば、エネルギー不足ふそくが起おきてしまう。

こんな不安ふあんや懸念けねんが市場しじょうでささやかれているのです。

さらに天然てんねんガスの供給きょうきゅう量りょうが仮かりに減へるようなことになれば、代替だいたいエネルギーとして石油せきゆの需要じゅようが増ふえるかもしれない、こんな連想れんそうも原油げんゆ価格かかくを押し上おしあげる要因よういんになっているといいます。

ウクライナは菜種なたねやとうもろこし、小麦こむぎの世界せかい的てきな生産せいさん地ちとして知しられています。

国際こくさい商品しょうひん市況しきょうに詳くわしい楽天らくてん証券しょうけんの吉田よしだ哲あきらさんによると輸出ゆしゅつ量りょうでは菜種なたねは世界せかい第だい3位い、とうもころしは世界せかい第だい3位い、小麦こむぎは世界せかい第だい6位いだということです。

こうした農産物のうさんぶつの供給きょうきゅうが滞とどこおるのではないかとの不安ふあん。

それがウクライナから世界せかい的てきな農産物のうさんぶつの先物さきもの市場しじょうがあるシカゴに飛び火とびひして、国際こくさい商品しょうひん市況しきょうの値上ねあがりにつながっています。

国際こくさい商品しょうひん市況しきょうの値上ねあがりは菜種なたねやとうもろこし、小麦こむぎを使つかうさまざまな食品しょくひんの価格かかく上昇じょうしょうにつながり、日本にっぽんで暮くらす私わたしたちも無む関心かんしんではいられません。

さらにある市場しじょう関係かんけい者しゃは、ウクライナ情勢じょうせいの緊張きんちょうがこのまま春先はるさきまで続つづくと、種たねまきに影響えいきょうがおよび、ことしの秋あきの収穫しゅうかくシーズンにまで影響えいきょうが及およんでしまうリスクをあげていました。

今後こんご、ウクライナ情勢じょうせいの緊迫きんぱくがどのように日本にっぽん市場しじょうや生活せいかつに影響えいきょうを広ひろげてくるのか。

世界せかいはつながっていることを実感じっかんし、「自分じぶん事ごと」として、注視ちゅうししたいと思おもいます。

17日にちにはアメリカの小売こうり売上うりあげ高だかが発表はっぴょうされ、オミクロン株かぶの感染かんせん拡大かくだいや物価ぶっか上昇じょうしょうが、個人こじん消費しょうひに及およぼす影響えいきょうに注目ちゅうもくが集あつまります。

そして、最大さいだいの注目ちゅうもくは先月せんげつ行おこなわれたFOMC会合かいごうの議事ぎじ録ろくです。

より「タカ派は」に転てんじ、3月つきの会合かいごうで利上りあげを決定けっていすることを示唆しさした会合かいごうの議論ぎろんの中身なかみが、どのようなものだったのか、今後こんごのアメリカの利上りあげや資産しさん縮小しゅくしょうのペースを見極みきわめるうえで重要じゅうような情報じょうほうとなるでしょう。