Japanese News: 神奈川大和次男殺害容疑母親逮捕児童相談所に2回保護も

神奈川かながわ県けん大和やまと市しで小学しょうがく1年生ねんせいだった次男じなんを窒息ちっそく死しさせたとして母親ははおやが逮捕たいほされた事件じけんで、次男じなんは2回かいにわたって児童じどう相談そうだん所しょに保護ほごされていたことが県けんなどへの取材しゅざいでわかりました。2回かい目めの保護ほごが解除かいじょされて9か月かげつ後ごに死亡しぼうしていて、警察けいさつが詳くわしいいきさつを調しらべています。調しらべに対にたいし、容疑ようぎを否認ひにんしているということです。

神奈川かながわ県けん大和やまと市し西鶴間にしつるまの自称じしょう、看護かんご助手じょしゅ上田うえだ綾乃あやの容疑ようぎ者しゃ（42）は、3年ねん前まえの2019年ねん8月つき、自宅じたくのアパートの部屋へやで小学しょうがく1年生ねんせいだった次男じなんの雄大たけひろくん（7）の鼻はなや口くちをふさいで窒息ちっそく死しさせたとして、殺人さつじんの疑うたがいで逮捕たいほされ、21日にち、検察庁けんさつちょうに送おくられました。

警察けいさつの調しらべに対にたいし「何なにもしていない」と容疑ようぎを否認ひにんしているということです。

県けんや児童じどう相談そうだん所しょによりますと雄大たけひろくんは2回かいにわたって児童じどう相談そうだん所しょに保護ほごされていました。

1回かい目めは2012年ねんで、生後せいご5か月かげつのとき「心肺しんぱい停止ていしの状態じょうたいになった」と容疑ようぎ者しゃが消防しょうぼうに通報つうほうして入院にゅういんした際さい、雄大たけひろくんの兄あにと姉あねが以前いぜん、生後せいごまもない時期じきに亡なくなっていたことなどから児童じどう相談そうだん所しょが保護ほごしたということです。

2回かい目めは2017年ねんに1歳さいだった雄大たけひろくんの弟おとうとが死亡しぼうしたことがきっかけでした。

このときは児童じどう相談そうだん所しょが保護ほごしたあと、施設しせつに入所にゅうしょさせる方針ほうしんを決きめたものの、保護ほご者しゃの同意どういが得えられなかったため家庭かてい裁判所さいばんしょに申し立もうしたてを行おこないましたが、却下きゃっかされたということです。

そして保護ほごが解除かいじょされた9か月かげつ後ごに死亡しぼうしました。

捜査そうさ関係かんけい者しゃによりますと、後頭部こうとうぶに強つよい力ちからで圧迫あっぱくされたときにできる皮下ひか出血しゅっけつがあったということで、警察けいさつは詳くわしいいきさつや育児いくじの状況じょうきょうを調しらべています。

雄大たけひろくん死亡しぼうの経緯けいい

2012年ねん6月つき、雄大たけひろくんは上田うえだ容疑ようぎ者しゃの次男じなんとして生うまれました。

2012年ねん10月つき、容疑ようぎ者しゃは雄大たけひろくんについて「気きが付ついたら青あおくなっていた。心肺しんぱい停止ていしの状態じょうたいになった」などと消防しょうぼうに通報つうほうし、救急きゅうきゅう搬送はんそうされ、雄大たけひろくんは入院にゅういんします。

児童じどう相談そうだん所しょは10年ねんほど前まえの2002年ねんに雄大たけひろくんの兄あにが、2003年ねんには姉あねが、それぞれ、生後せいご半年はんとしたたないうちに死亡しぼうしていたことなどから一時いちじ保護ほごしました。

一時いちじ保護ほごは2012年ねん11月つきから始はじまり、2014年ねん12月つきには保護ほご者しゃの同意どういを得えたうえで、施設しせつに入所にゅうしょさせる措置そちをとりました。

一時いちじ保護ほごと施設しせつ入所にゅうしょは合あわせて2年ねん余あまり続つづきましたが、雄大たけひろくんが2歳さい9か月かげつになった2015年ねんの3月つき、安全あんぜんを確保かくほできると判断はんだんした児童じどう相談そうだん所しょは施設しせつ入所にゅうしょを解除かいじょし在宅ざいたくでの指導しどうに切り替きりかえました。

しかし、その後そのご、2017年ねん4月つきになって雄大たけひろくんの幼おさない弟おとうと（三男さんなん）が自宅じたくで死亡しぼう。

これを受うけて児童じどう相談そうだん所しょは改あらためて雄大たけひろくんを一時いちじ保護ほごしました。

児童じどう相談そうだん所しょでは翌年よくねん、施設しせつに入所にゅうしょさせようとしましたが保護ほご者しゃの同意どういが得えられなかったため、2018年ねん2月つき、横浜よこはま家庭かてい裁判所さいばんしょに施設しせつ入所にゅうしょを求もとめる審判しんぱんを申し立もうしたてます。

ところが、2018年ねん10月つき、家庭かてい裁判所さいばんしょはこの申し立もうしたてを却下きゃっかしたといいます。

この判断はんだんについて児童じどう相談そうだん所しょは「家裁かさいの判断はんだんは他たの子こどもが亡なくなったことが保護ほご者しゃの責任せきにんか不明ふめいであることなどを理由りゆうに申し立もうしたてを却下きゃっかしたものだった。家裁かさいの判断はんだんは残念ざんねんだが、児こ相しょう側がわとしても間違まちがいなく家庭かていでの養育よういくが不適切ふてきせつだというところまでの書類しょるいをそろえて提出ていしゅつすることはできなかったということになり、その点てんも大変たいへん残念ざんねんだ」と話はなしています。

児童じどう相談そうだん所しょは11月つきに一時いちじ保護ほごを解除かいじょ。

小学校しょうがっこうなど地域ちいきの関係かんけい機関きかんと連携れんけいしながら在宅ざいたく指導しどうを行おこなっていましたが、2019年ねんの8月つき、雄大たけひろくんは亡なくなりました。

児童じどう相談そうだん所しょは死亡しぼうする4日にち前まえに上田うえだ容疑ようぎ者しゃと雄大たけひろくんと面接めんせつしたということですが、問題もんだいなく生活せいかつが送おくれている様子ようすだったとしています。

児童じどう相談そうだん所しょは「通常つうじょうの養育よういく自体じたいには問題もんだいがみられず対応たいおうが難むずかしい家庭かていだった」と説明せつめいしています。

施設しせつ入所にゅうしょの申し立もうしたてとは

児童じどう相談そうだん所しょは児童じどう養護ようご施設しせつや乳児にゅうじ院いんなどの施設しせつへの入所にゅうしょの措置そちが必要ひつようだと判断はんだんしたものの、保護ほご者しゃの同意どういが得えられない場合ばあい、児童じどう福祉ふくし法ほうに基もとづいて家庭かてい裁判所さいばんしょに申し立もうしたてを行おこなうことになっています。

申し立もうしたてにあたって児童じどう相談そうだん所しょは弁護士べんごしの助言じょげんを得えながら必要ひつような書類しょるいに事案じあんの内容ないようや施設しせつに入所にゅうしょする必要ひつよう性せいを記載きさいするということです。

審判しんぱんの結果けっか、申し立もうしたてが認みとめられれば保護ほご者しゃの同意どういがなくても施設しせつに入所にゅうしょさせることができます。

家庭かてい裁判所さいばんしょ「個別こべつ具体ぐたい的てきな内容ないようについては控ひかえる」

児童じどう相談そうだん所しょからの施設しせつ入所にゅうしょを求もとめる申し立もうしたてを却下きゃっかしたことについて、横浜よこはま家庭かてい裁判所さいばんしょは「非公開ひこうかいの手続てつづきのため、理由りゆうなど個別こべつ具体ぐたい的てきな内容ないようについては控ひかえる」とコメントしています。

専門せんもん家か「適切てきせつに対応たいおうしていれば防ふせぐことできた」

刑事けいじ法ほうが専門せんもんで児童じどう虐待ぎゃくたいに詳くわしい千葉ちば大学だいがく大学院だいがくいんの後藤ごとう弘子ひろこ教授きょうじゅは「今回こんかいのケースはすでに子こどもが3人にん死亡しぼうしていて慎重しんちょうな対応たいおうが求もとめられることは明あきらかで、適切てきせつに対応たいおうしていれば防ふせぐことができたはずだ。家庭かてい裁判所さいばんしょが施設しせつ入所にゅうしょの申し立もうしたてを却下きゃっかしたケースはこれまでの統計とうけいを見みても極きわめて少すくない。家庭かてい裁判所さいばんしょがなぜ却下きゃっかしたのかや、児童じどう相談そうだん所しょが家庭かてい裁判所さいばんしょに判断はんだんに必要ひつような情報じょうほうを十分じゅうぶん提供ていきょうできていたのかなど経緯けいいを検証けんしょうするべきだ」と指摘してきしています。

その上うえで、「保護ほごを解除かいじょしたあと、親子おやこをどう支援しえんしていたのか、母親ははおやが同席どうせきしない状況じょうきょうで子こどもから直接ちょくせつ話ばなしを聞きく場ばを設もうけていたのか、児童じどう相談そうだん所しょの対応たいおうについても検証けんしょうが必要ひつようだ。生後せいごまもない子こどもが相次あいついで死亡しぼうしていることなどからも母親ははおやが生活せいかつ上じょうの困難こんなんを抱かかえていた可能かのう性せいもあり、支援しえんが適切てきせつだったのか疑問ぎもんだ」と話はなしています。

近所きんじょの住民じゅうみん「母親ははおやが『絶対ぜったいに渡わたさない』と叫さけんで騒さわぎに」

近ちかくに住すむ夫婦ふうふは「何なん年ねんか前まえに役所やくしょの人ひとが雄大ゆうだいくんと思おもわれる子こどもを引き取ひきとりに来きて、母親ははおやが『絶対ぜったいに渡わたさない』と叫さけんで騒さわぎになっていました。母親ははおやは次つぎの日ひに謝あやまりに来きて『下したの子こが亡なくなったので、上うえの子こを連つれて行いかれた。その前まえにも子こどもが亡なくなったことがある』と話はなしていました」と話はなしました。

そのうえで「引き取ひきとられた子こどもはその後そのご見みていなかったのですが、まさか亡なくなっているとは思おもいませんでした。母親ははおやも普通ふつうの様子ようすで外出がいしゅつしたりしていたので、逮捕たいほされたと聞きいて驚おどろいています」と話はなしていました。