へその緒などに含まれる「さい帯血」由来の幹細胞を培養するというもので、重症化を防ぐとともに副作用も少ない治療薬を提供するとして、5月にはメキシコで始めたとする臨床試験の内容についても明らかにしました。
「テラ」は、その後もメキシコのイダルゴ州で薬事申請を行ったことや、おととし9月に州政府の薬事承認を得たなどとする内容を次々に発表。
これを受けて「テラ」の株価は高騰し、一時、発表前のおよそ20倍に当たる2000円台まで値上がりしました。
しかし去年8月、「テラ」は、「セネジェニックス・ジャパンとの間で信頼関係に疑義が生じた」として、取引の事実関係について調査を行った結果、発表した内容に事実と異なる点があったことを明らかにしました。
当時公表された社内調査報告書によりますと、薬事申請を行ったとされるセネジェニックス・ジャパンの子会社の存在自体が確認できなかったほか、メキシコの国内で州が薬事承認を行う制度も存在しなかったということです。
事実と異なる発表をした理由について、「テラ」はセネジェニックス・ジャパンの説明や根拠となる資料に誤りや不十分な点があり、徹底した確認ができなかったなどとしています。
こうした中、「テラ」の株価は下落し、2社はその後、治療薬の開発事業から事実上撤退していました。
またセネジェニックス・ジャパンは資金繰りに行き詰まり、去年9月、東京地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けています。
「テラ」と「セネジェニックス・ジャパン」は、おととし4月、新型コロナウイルスの治療薬の開発を共同で始めるのにあわせて、国際的な研究会を設立したと発表しました。 「テラ」によりますと、研究会の共同発起人は鳩山由紀夫元総理大臣とオバマ元大統領で、設立時に行われた記者会見では、オバマ氏の代理人のメッセージ動画も上映されたということです。 鳩山氏の事務所は、NHKの取材に対し、「テラの当時の社長から発起人に就任するよう要請され、オバマ元大統領も発起人になることを承諾しているという説明だった。その後、テラから研究会に関して全く連絡はなく活動もしていない。報酬などは一切ない」とコメントしています。 一方、オバマ氏の財団は、「本人も財団もこの研究会、及びビデオメッセージとは関係ありません」とコメントし、一切の関わりを否定しています。 これについて「テラ」は、「当時の詳しい経緯を知っている人が社内にいないので詳細は不明だ。オバマ元大統領とのつながりや代理人が誰なのかは分からない」と話しています。
知事はその翌月、「メキシコ、日本など世界各国で命を救うことが出来ればと期待している。州を代表して日本の人々に深く感謝したい」などと、新薬開発に期待を寄せるビデオメッセージをSNSに投稿していました。 「テラ」はその後、イダルゴ州でメキシコの子会社が、薬事承認を取得したと発表しましたが、去年8月にテラが公表した社内調査報告書はメキシコで州政府が薬事承認を行うという制度は存在しなかったとしています。 NHKは、ファヤド州知事に取材を申し込みましたが、「この件については、企業側のみが対外的に説明できることになっている」として、コメントは得られませんでした。
米 オバマ元大統領の名前を無断利用か
メキシコでの新薬開発とは