日本新聞: 吾妻山と磐梯山「地盤の膨張とみられる変動も」火山噴火予知連

福島ふくしまと山形やまがたの県境けんきょうにある「吾妻あづま山さん」と福島ふくしま県けんにある「磐梯山ばんだいさん」について、専門せんもん家かなどでつくる火山かざん噴火ふんか予知よち連絡れんらく会かいは、地盤じばんの膨張ぼうちょうとみられる変動へんどうが続つづいているなどとして、今後こんごの活動かつどうの推移すいいに注意ちゅういが必要ひつようだとする見解けんかいをまとめました。

12日にち、火山かざん噴火ふんか予知よち連絡れんらく会かいの定例ていれいの会合かいごうが気象庁きしょうちょうで開ひらかれ、全国ぜんこくの火山かざん活動かつどうの評価ひょうかについて取とりまとめました。

このうち、福島ふくしまと山形やまがたの県境けんきょうにある「吾妻あづま山さん」では、去年きょねん11月つきごろから大穴おおあな火口かこう直下ちょっかの浅あさい場所ばしょを震源しんげんとする火山かざん性せい地震じしんが増加ぞうかしています。

地殻ちかく変動へんどうも、ことし3月つき以降いこう、傾斜けいしゃ計けいや人工じんこう衛星えいせいの観測かんそくで大穴おおあな火口かこうの浅あさい場所ばしょや山やまの深ふかい場所ばしょでわずかな変化へんかがみられたということです。

そのほか、大穴おおあな火口かこう周辺しゅうへんの浅あさい場所ばしょの温度おんどが上あがっていることを示しめす変化へんかも継続けいぞくしていて、今後こんごの火山かざん活動かつどうの推移すいいに注意ちゅういが必要ひつようだとしています。

また、福島ふくしま県けんの「磐梯山ばんだいさん」では、去年きょねん11月つきから火山かざん性せい地震じしんが増加ぞうかし、12月つき28日にちには786回かいと今いまの基準きじゅんで観測かんそくを始はじめた1998年ねん以降いこう最もっとも多おおくなりました。

その後そのごも地震じしんの回数かいすうは多おおい状態じょうたいで推移すいいし、地下ちかの熱ねつ水すいや火山かざんガスなどの動うごきを示しめすと考かんがえられる火山かざん性せい微動びどうもことしは3月つきと4月つきに起おきています。

人工じんこう衛星えいせいによる観測かんそくでも、去年きょねんの後半こうはんから火山かざん活動かつどうによるわずかな膨張ぼうちょうを示しめす変動へんどうが確認かくにんされていることから、今後こんごの活動かつどうの推移すいいに注意ちゅういが必要ひつようだとする評価ひょうかをまとめました。

火山かざん噴火ふんか予知よち連絡れんらく会かいの会長かいちょうで九州きゅうしゅう大学だいがくの清水しみず洋ひろし名誉めいよ教授きょうじゅは、「東北とうほく地方ちほうは長ながい間ま静しずかな状況じょうきょうだが、吾妻山あづまやまも磐梯山ばんだいさんも膨張ぼうちょうを示しめすデータがあり、注意ちゅういしてみていく必要ひつようがある」と話はなしています。

浅間あさま山さん「火山かざん活動かつどうが高たかまった状態じょうたい続つづき小しょう噴火ふんかの可能かのう性せい」

ことし3月つきに噴火ふんか警戒けいかいレベルが「2」に引き上ひきあげられた長野ながのと群馬ぐんまの県境けんきょうにある浅間あさま山さんについて、専門せんもん家かなどでつくる火山かざん噴火ふんか予知よち連絡れんらく会かいは、「火山かざん活動かつどうが高たかまった状態じょうたいが続つづき、小しょう噴火ふんかが発生はっせいする可能かのう性せいがある」とする見解けんかいをまとめました。

長野ながのと群馬ぐんまの県境けんきょうにある浅間あさま山さんでは、ことし3月つき中旬ちゅうじゅん以降いこう、山やまの西側にしがわの膨張ぼうちょうを示しめす地盤じばんの変動へんどうが続つづいていて、地下ちか深ふかくでマグマの蓄積ちくせきが進すすんだためとみられています。

また、3月つき下旬げじゅん以降いこうは山やまの浅あさい場所ばしょを震源しんげんとする火山かざん性せい地震じしんが増加ぞうかし、地下ちかの熱ねつ水すいなどの動うごきを示しめすとされる火山かざん性せい微動びどうも多おおくなっています。

火山かざんガスの放出ほうしゅつ量りょうも3月つき下旬げじゅん以降いこうは多おおいときで一いち日にち当あたり2500トンと増ふえ、火口かこうの底そこにある噴気ふんき孔あなでは先月せんげつ温度おんどの高たかまりが観測かんそくされています。

これらのことから、「浅間あさま山さんの火山かざん活動かつどうは高たかまった状態じょうたいが続つづいていて、小しょう噴火ふんかが発生はっせいする可能かのう性せいがある」とする見解けんかいをまとめました。

火山かざん噴火ふんか予知よち連絡れんらく会かいの会長かいちょうで九州きゅうしゅう大学だいがくの清水しみず洋ひろし名誉めいよ教授きょうじゅは、「山やまの西側にしがわの地下ちかにマグマが断続だんぞく的てきに入はいってきているのは間違まちがいなさそうだ。地殻ちかく変動へんどうの量りょうが小ちいさいので中規模ちゅうきぼ以上いじょうの噴火ふんかは現時点げんじてんで想定そうていしていないが、今後こんごの推移すいいによっては想定そうていを変かえる可能かのう性せいもあり、今後こんご注意ちゅういして観測かんそくデータを見みていく必要ひつようがある」と話はなしています。

口永良部島くちえらぶじま「古岳ふるだけ火口かこう周辺しゅうへんでも噴火ふんかの可能かのう性せい」

鹿児島かごしま県けんの口永良部島くちのえらぶじまについて、専門せんもん家かなどでつくる火山かざん噴火ふんか予知よち連絡れんらく会かいは、「地震じしん活動かつどうが活発かっぱつとなっている」として、近年きんねん噴火ふんかを繰り返くりかえしている新岳しんだけ火口かこうに加くわえ、この100年ねん余あまり噴火ふんかの記録きろくが残のこっていない古岳ふるだけ火口かこうの周辺しゅうへんでも噴火ふんかの可能かのう性せいがあるとする見解けんかいをまとめました。

このうち、鹿児島かごしま県けんの口永良部島くちえらぶじまでは、2020年ねん8月つきを最後さいごに噴火ふんかが発生はっせいしていませんが、先月せんげつから火山かざん性せい地震じしんが増加ぞうかし、今月こんげつ9日にち以降いこうは一いち日にち当あたり150回かいを超こえていることから「地震じしん活動かつどうが活発かっぱつとなっている」としています。

震源しんげんの多おおくはこの100年ねん余あまり噴火ふんかした記録きろくのない古岳ふるだけ火口かこう付近ふきんで、先月せんげつ行おこなわれた現地げんち調査ちょうさでは火口かこう内ないの噴気ふんきの温度おんどもやや上昇じょうしょうしていたことが確認かくにんされました。

このため、火山かざん活動かつどうが高たかまっているとして、近年きんねん噴火ふんかを繰り返くりかえしている新岳しんだけ火口かこうに加くわえ、古岳ふるだけ火口かこうでも噴火ふんかが発生はっせいする可能かのう性せいがあるとする見解けんかいをまとめました。

火山かざん噴火ふんか予知よち連絡れんらく会かいの会長かいちょうで九州きゅうしゅう大学だいがくの清水しみず洋ひろし名誉めいよ教授きょうじゅは、「過去かこのデータは必かならずしも十分じゅうぶんではないが、当面とうめんは古岳ふるだけからの水蒸気すいじょうき噴火ふんかの可能かのう性せいを考かんがえておく必要ひつようがある」と話はなしています。