モルドバ大統領だいとうりょう選せん EU加盟かめい目指めざす路線ろせん維持いじされるのかが焦点しょうてん

現職げんしょくのサンドゥ大統領だいとうりょうが掲かかげるEU加盟かめいを目指めざす路線ろせんが維持いじされるのかが焦点しょうてんとなります。

旧きゅうソビエトのモルドバは、歴史れきし的てきな経緯けいいからロシアとの結むすびつきが強つよい一方いっぽう、EUへの加盟かめいを目指めざしていて、ことし6月つきからは加盟かめい交渉こうしょうが正式せいしきにスタートしています。

モルドバでは20日にち、

▽親おや欧米おうべいの姿勢しせいを鮮明せんめいにする現職げんしょくのサンドゥ大統領だいとうりょうとロシアとの関係かんけいも重視じゅうしする親しんロシア派はの候補こうほ者しゃなどが争あらそう大統領だいとうりょう選挙せんきょと、

▽EU加盟かめいの是非ぜひを問とう国民こくみん投票とうひょうが行おこなわれます。

最新さいしんの世論せろん調査ちょうさでは、EU加盟かめいを前面ぜんめんに掲かかげるサンドゥ大統領だいとうりょうがほかの候補こうほ者しゃを大おおきくリードしていて、EU加盟かめいに賛成さんせいする人ひとの割合わりあいも63％で過半数かはんすうとなっています。

一方いっぽう、サンドゥ政権せいけんは、モルドバのEU加盟かめいを阻止そししたいロシア側がわが多額たがくの現金げんきんを使つかって有権者ゆうけんしゃを買収ばいしゅうするなど、大だい規模きぼな選挙せんきょ介入かいにゅうを行おこなっていると非難ひなんを強つよめ、アメリカやイギリスなどの欧米おうべい諸国しょこくも懸念けねんを表明ひょうめいしています。

これに対にたいしてロシア側がわは、選挙せんきょ介入かいにゅうなどの関与かんよを否定ひていしています。

ロシアによる軍事ぐんじ侵攻しんこうが続つづく中なか、ウクライナと国境こっきょうを接せっしているモルドバで行おこなわれる大統領だいとうりょう選挙せんきょと国民こくみん投票とうひょうは、地域ちいき情勢じょうせい全体ぜんたいにも影響えいきょうを与あたえる可能かのう性せいがあり、EU加盟かめいを目指めざす今いまの路線ろせんが維持いじされるのかが焦点しょうてんとなります。

モルドバ大統領だいとうりょう選せん 情勢じょうせいと構図こうずは

旧きゅうソビエトの一部いちぶだったモルドバは独立どくりつ後ご、欧米おうべいとロシアのどちらを重視じゅうしすべきかをめぐって揺ゆれてきました。

現職げんしょくのサンドゥ大統領だいとうりょうはEUへの加盟かめいを明確めいかくに打ち出うちだしていて、ロシアによるウクライナ侵攻しんこう後ごは加盟かめいの手続てつづきを加速かそくさせています。最新さいしんの世論せろん調査ちょうさでは、サンドゥ大統領だいとうりょうがほかの候補こうほを大おおきくリードしているほか、EU加盟かめいを支持しじする人ひとも63％に上のぼっています。

一方いっぽうで、電力でんりょくの多おおくをロシアからの天然てんねんガスをもとにした発電はつでんに依存いぞんしているほか、ロシア系けい住民じゅうみんが多おおい沿ドニエストル地方ちほうはモルドバからの分離ぶんり独立どくりつを一方いっぽう的てきに宣言せんげんし、ロシア軍ぐんが駐留ちゅうりゅうするなど強つよい影響えいきょう下かにあります。

こうした経済けいざい的てきな関係かんけいなどからロシアを重視じゅうしすべきだという声こえも少すくなくありません。首都しゅとキシナウ市内しないでは、親しんロシア派はの候補こうほ者しゃの支援しえん者しゃと親おやEU派はの市民しみんの間まで口論こうろんになる場面ばめんもみられるなど、支持しじは割われています。

ロシアとの関係かんけいを重視じゅうしする女性じょせいは、親おや欧米おうべいのサンドゥ政権せいけんについて「今いまの政権せいけんは一般いっぱんの市民しみんのことなんて考かんがえていません。だから国民こくみんの多おおくは外国がいこくに出稼でかせぎに出でないと行いけないのです」と話はなし、経済けいざい状況じょうきょうを改善かいぜんするためにもロシアとの関係かんけいが重要じゅうようだと訴うったえていました。

一方いっぽう、サンドゥ大統領だいとうりょうを支持しじする男性だんせいは「民主みんしゅ主義しゅぎを選えらぶか世界せかいからの孤立こりつを選えらぶか。この2つの道みちしかありません。私わたしたちはEU加盟かめいに向むけて進すすんでいます。それ以外いがいは必要ひつようないのです」と話はなしていました。

投票とうひょうの結果けっかが地域ちいき全体ぜんたいに波及はきゅうする可能かのう性せいも

モルドバは、人口じんこうおよそ250万まんで面積めんせきが日本にっぽんの九州きゅうしゅうより小ちいさい国くにですが、大統領だいとうりょう選挙せんきょと国民こくみん投票とうひょうの結果けっかは、地域ちいき全体ぜんたいに波及はきゅうする可能かのう性せいがあります。

モルドバは、ロシアによる軍事ぐんじ侵攻しんこうが続つづくウクライナの隣国りんごくで、ここで親しんロシア派はの政権せいけんが誕生たんじょうすればウクライナはロシアの勢力せいりょくに囲かこまれる格好かっこうとなり、戦況せんきょうや情勢じょうせい全体ぜんたいにも影響えいきょうを与あたえかねません。

一方いっぽう、サンドゥ大統領だいとうりょうが再選さいせんされ、EU加盟かめいを加速かそくさせた場合ばあい、ロシアが軍ぐんの部隊ぶたいを駐留ちゅうりゅうさせる「沿ドニエストル地方ちほう」の存在そんざいを強調きょうちょうするなどして揺ゆさぶりをかけるおそれもあります。

先月せんげつ、モルドバを訪問ほうもんしたドイツのベアボック外相がいしょうは「ウクライナへの支援しえんはすべてモルドバの安定あんていを進すすめることにもつながっている。ウクライナが倒たおれれば次つぎに狙ねらわれるのはモルドバだとこの国くにの人々ひとびとは深ふかく懸念けねんしている」と述のべて危機きき感かんを示しめしています。

こうした背景はいけいから欧米おうべい側がわは、モルドバへの関与かんよを強つよめています。

ことしに入はいってからアメリカのブリンケン国務こくむ長官ちょうかんやEUのフォンデアライエン委員いいん長ちょうらも相次あいついで現地げんちを訪問ほうもんして連帯れんたいを表明ひょうめいし、EUは今月こんげつ、18億おくユーロ、日本にっぽん円えんにしておよそ3000億おく円えんという大だい規模きぼな支援しえんを発表はっぴょうしています。

モルドバのシンクタンク「ウォッチドッグ」のアンドレイ・クララル研究けんきゅう員いんは「欧米おうべい諸国しょこくが地政学ちせいがく的てきな理由りゆうからウクライナやモルドバを支援しえんしているのは明あきらかだ。ロシアが、ウクライナに対にたいして従来じゅうらい型がたの戦争せんそうを、モルドバには情報じょうほう戦せんや介入かいにゅうといったハイブリッド戦争せんそうを仕掛しかける中なかで、欧米おうべい側がわはそれぞれの国くにがロシアの勢力せいりょく圏けんから出でるのに手てを差し伸さしのべている」と指摘してきしています。

“ロシアが選挙せんきょ介入かいにゅう” モルドバ政府せいふや欧米おうべい諸国しょこくが批判ひはん強つよめる

モルドバ政府せいふや欧米おうべい諸国しょこくは、ロシアがモルドバのEU加盟かめいに向むけた流ながれを阻止そしするために、選挙せんきょ介入かいにゅうしていると批判ひはんを強つよめています。

SNS上じょうではさまざまな偽にせ情報じょうほうが拡散かくさんしていて、このうち「ウクライナに供与きょうよされたF16戦闘せんとう機きがモルドバに配備はいびされ、そこからウクライナに向むけて出撃しゅつげきする」などとする主張しゅちょうはモルドバ政府せいふが明確めいかくに否定ひていする事態じたいに発展はってんしました。

親おや欧米おうべいを強つよく打ち出うちだすサンドゥ政権せいけんがモルドバを戦争せんそうに巻き込まきこむのではないかと不安ふあんをあおるような内容ないようで、モルドバ政府せいふはロシアが世論せろんを操作そうさしようとしていると非難ひなんしています。

モルドバ政府せいふは、テレビやラジオでもロシアの主張しゅちょうに沿そった事実じじつに基もとづかない内容ないようがないか監視かんしを続つづけています。

政府せいふの審議しんぎ会かいのアネタ・ゴンタ副ふく会長かいちょうは「ロシアのプロパガンダによる情報じょうほう工作こうさくはとても危険きけんで、その目的もくてきは民主みんしゅ主義しゅぎを台だいなしにするものだ。モルドバの政治せいじや国くにの行く末ゆくすえを変かえてしまいかねない」と述のべ、危機きき感かんをあらわにしています。

さらに今月こんげつに入はいってモルドバの警察けいさつは、ロシアの影響えいきょう下かにある勢力せいりょくによる有権者ゆうけんしゃの大だい規模きぼな買収ばいしゅうが行おこなわれていると発表はっぴょうしました。

親しんロシア派はの候補こうほ者しゃへの投票とうひょうや国民こくみん投票とうひょうでEU加盟かめいに反対はんたいする見返みかえりに、先月せんげつだけで総額そうがく1500万まんドル、日本にっぽん円えんでおよそ22億おく円えんがロシアの銀行ぎんこうを通をつうじて支払しはらわれていたとしています。

現金げんきんを受け取うけとっていたのは、人口じんこうのおよそ5％にあたる13万まん人にん以上いじょうにのぼり、支払しはらわれていた金額きんがくは人ひとによっては毎月まいつきの年金ねんきんと同どう程度ていどだったということです。

モルドバ警察けいさつのトップ、ビオレル・チェルナウーツァヌ氏しは、今回こんかいのロシアによる選挙せんきょ介入かいにゅうはヨーロッパ全体ぜんたいでも前例ぜんれいのない規模きぼだとした上うえで「ロシアは、手段しゅだんは選えらばずにモルドバのEU加盟かめいを阻止そししようとしている。ロシアは今後こんごもこうした攻撃こうげきをやめないだろう」と話はなしています。

一方いっぽう、ロシア外務省がいむしょうのザハロワ報道ほうどう官かんはロシアが選挙せんきょ介入かいにゅうしているとするモルドバ側がわの批判ひはんに対にたいし「根拠こんきょのない主張しゅちょうをしている」などとして関与かんよを否定ひていしています。