Japanese News: トランプ大統領就任100日ウクライナ侵攻終結に具体的進展なく

ロシアによるウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうをめぐり、アメリカのトランプ大統領だいとうりょうは、早期そうきの終結しゅうけつに意欲いよくを示しめしてきましたが、就任しゅうにんから100日にちたっても、具体ぐたい的てきな進展しんてんはみられず、ウクライナではロシア軍ぐんの攻撃こうげきにより市民しみんの犠牲ぎせいは増ふえ続つづけています。

アメリカは、トランプ大統領だいとうりょうが、ことし2月つきにロシアのプーチン大統領だいとうりょうと電話でんわ会談かいだんを行おこなったあと、停戦ていせんに向むけてロシアとウクライナの双方そうほうと実務じつむ者しゃなどのレベルで協議きょうぎを重かさねています。

しかし、

▽ウクライナが受け入うけいれた30日間にちかんの無む条件じょうけんの停戦ていせんにはロシアが応おうじず

▽ロシアとウクライナが合意ごういしたエネルギー施設しせつへの攻撃こうげき停止ていしは、双方そうほうの非難ひなんの応酬おうしゅうとなり、

停戦ていせんに向むけて具体ぐたい的てきな進展しんてんはみられていません。

アメリカは4月つきに、ロシアが2014年ねんに一方いっぽう的てきに併合へいごうした南部なんぶクリミアを管轄かんかつすることを、アメリカが法的ほうてきに承認しょうにんすることなどを盛り込もりこんだ和平わへい案あんを関係かんけい国こくに提示ていじしたとされていて、トランプ大統領だいとうりょうは、どちらか一方いっぽうが停戦ていせんの実現じつげんを難むずかしくした場合ばあい、仲介ちゅうかいをやめる可能かのう性せいにも言及げんきゅうしています。

こうした中なか、プーチン大統領だいとうりょうは、5月つき8日にちから3日間にちかんの停戦ていせんを一方いっぽう的てきに発表はっぴょうし、和平わへいに前向まえむきな姿勢しせいをアピールしたのに対にたいし、ウクライナは4月末げつまつに、アメリカが求もとめてきた鉱物こうぶつ資源しげんなどの開発かいはつを共同きょうどうで行おこなう協定きょうていに署名しょめいし、関係かんけい強化きょうかを進すすめるなど、駆け引かけひきが活発かっぱつになっています。

ロシアとウクライナ市民しみんの反応はんのうは

トランプ大統領だいとうりょうについて、ロシアの首都しゅとモスクワの市民しみんからは、「よい方向ほうこうに向むかっている」などと期待きたいする声こえが聞きかれた一方いっぽう、評価ひょうかするのは時期じき尚早しょうそうだという意見いけんも聞きかれました。

一方いっぽう、ウクライナでは、トランプ大統領だいとうりょうの就任しゅうにん後ご、アメリカからの軍事ぐんじ支援しえんが一時いちじ停止ていしになったほか、巨額きょがくの人道じんどう支援しえんが打ち切うちきられたとみられ、NGOや市民しみん団体だんたい、メディアなど幅広はばひろい範囲はんいで影響えいきょうが広ひろがっています。

ロシアのミサイルや無人むじん機きによる市街しがい地ちへの攻撃こうげきもやまず、市民しみんの犠牲ぎせいは増ふえ続つづけていて、国連こくれん人権じんけん高等こうとう弁務べんむ官かん事務所じむしょによりますと、侵攻しんこう以降いこう、これまでに市民しみん1万まん3000人にん以上いじょうが死亡しぼうしました。

ことし3月つきの世論せろん調査ちょうさでは、トランプ大統領だいとうりょうの就任しゅうにんは「悪わるいことだ」と答こたえた人ひとが73％に上のぼり、反発はんぱつが強つよまっています。

ロシア国際こくさい政治せいじ学者がくしゃ“トランプ政権せいけんとロシア共通きょうつう点てん多おおい”

ロシアの国際こくさい政治せいじ学者がくしゃドミトリー・ススロフ氏しは、NHKとのインタビューで、トランプ政権せいけんの発足ほっそくで、アメリカの対たいウクライナ政策せいさくが大おおきく変かわることは想定そうてい内ないだったとしたうえで、「トランプ政権せいけんとロシアは、平和へいわ的てき解決かいけつに向むけた考え方かんがえかたにおいて、かなりの共通きょうつう点てんがある」と指摘してきしました。

具体ぐたい的てきには、

▽最終さいしゅう的てきな解決かいけつには、立場たちばの弱よわいウクライナが大幅おおはばな譲歩じょうほを強しいられるとしていることや

▽ウクライナのNATO＝北大ほくだい西洋せいよう条約じょうやく機構きこうへの加盟かめいは認みとめられないとしていること

▽ウクライナと前まえのバイデン政権せいけんが、ロシアを挑発ちょうはつしたという認識にんしきで一致いっちしていることだとしています。

一方いっぽう、ススロフ氏しは「ロシアとトランプ政権せいけんには立場たちばの違ちがいもある。

それは、主おもにウクライナの“軍事ぐんじ化か”と“非ひ軍事ぐんじ化か”をめぐるものだ。ロシアがウクライナとNATO加盟かめい国こくとの軍事ぐんじ協力きょうりょくに一定いっていの制限せいげんを課かすことを求もとめているのに対にたいし、アメリカは、武器ぶきの追加ついか供与きょうよや共同きょうどう演習えんしゅうの可能かのう性せいを排除はいじょしていない」と述のべました。

また、ロシアが侵攻しんこう後ごに、一方いっぽう的てきに併合へいごうを宣言せんげんしたウクライナの東部とうぶと南部なんぶの4つの州しゅうのうち、掌握しょうあくしていない地域ちいきの領有りょうゆう権けんの主張しゅちょうを取り下とりさげる可能かのう性せいについては、「ウクライナの“非ひ軍事ぐんじ化か”などを確実かくじつにするほうが、領土りょうどよりも重要じゅうようだ。

ロシアが譲歩じょうほする可能かのう性せいは十分じゅうぶんある」と述のべ、ロシアがウクライナの“非ひ軍事ぐんじ化か”の見返みかえりとして、領有りょうゆう権けんの主張しゅちょうを取り下とりさげる可能かのう性せいがあると分析ぶんせきしました。

そのうえで「ロシアは、受け入うけいれ可能かのうな停戦ていせんが提示ていじされれば、戦闘せんとうを停止ていしするだろう。

受け入うけいれ可能かのうな停戦ていせんには、ロシア側がわの条件じょうけんが満みたされなければならない。条件じょうけんを設定せっていするのはプーチン大統領だいとうりょうだ」と述のべました。

さらに、トランプ大統領だいとうりょうが、ロシアかウクライナのいずれかが、停戦ていせんの実現じつげんを困難こんなんにした場合ばあい、仲介ちゅうかいをやめる可能かのう性せいに言及げんきゅうしたことについては、「アメリカが仲介ちゅうかいをやめれば、ウクライナへの軍事ぐんじ支援しえんもやめることになるだろう。

それは、情勢じょうせいを一変いっぺんさせる重要じゅうような契機けいきとなる」と述のべ、ロシアに有利ゆうりに働はたらくとの見方みかたを示しめしました。

和平わへい案あんアメリカとヨーロッパ双方そうほうの案あんに大おおきな隔へだたり

ロイター通信ろいた-つうしんは4月つき25日にちに、アメリカが4月つき17日にちにウクライナなどに示しめした和平わへい案あんと、その対案たいあんとして、ウクライナとヨーロッパが23日にちにアメリカに示しめした和平わへい案あんの内容ないようを伝つたえました。

それによりますと、アメリカの提案ていあんは、ウクライナの領土りょうどや安全あんぜんの保証ほしょうをめぐってウクライナ側がわに譲歩じょうほを迫せまるなど、双方そうほうの案あんには大おおきな隔へだたりがみられます。

【領土りょうど】

このうち、ウクライナの領土りょうどをめぐっては、

《アメリカ案あん》

▽ロシアが2014年ねんに一方いっぽう的てきに併合へいごうした南部なんぶクリミアを管轄かんかつすることを、アメリカが法的ほうてきに承認しょうにんするほか、

▽ロシアが2022年ねんに一方いっぽう的てきに併合へいごうを宣言せんげんした東部とうぶルハンシク州しゅうを管轄かんかつすることを、事実じじつ上じょう、承認しょうにんするとしています。

▽また、同おなじくロシアが一方いっぽう的てきに併合へいごうを宣言せんげんした東部とうぶのドネツク州しゅう、南部なんぶのザポリージャ州しゅう、ヘルソン州しゅうについては、ロシアが掌握しょうあくしている地域ちいきを管轄かんかつすることを、事実じじつ上じょう、承認しょうにんするとしています。

▽東部とうぶのハルキウ州しゅうについては、ウクライナが領土りょうどを回復かいふくするとしています。

一方いっぽう、

《ウクライナとヨーロッパの対案たいあん》

▽領土りょうどの問題もんだいは、完全かんぜんかつ無む条件じょうけんの停戦ていせんのあと議論ぎろんされ、解決かいけつされるとしたうえで、交渉こうしょうは、現在げんざいの支配しはい地域ちいきを基準きじゅんとして開始かいしするとしています。

【安全あんぜんの保証ほしょう】

ウクライナの安全あんぜんの保証ほしょうについては、

《アメリカ案あん》

▽ウクライナは、強固きょうこな安全あんぜんの保証ほしょうを得えるとしているものの、

▽NATO＝北大ほくだい西洋せいよう条約じょうやく機構きこうへの加盟かめいは求もとめないとしています。

一方いっぽう、

《ウクライナとヨーロッパの対案たいあん》

▽ウクライナは、NATOの加盟かめい国こくが攻撃こうげきを受うけた場合ばあい、加盟かめい国こく全体ぜんたいへの攻撃こうげきとみなして、反撃はんげきなどの対応たいおうをとる集団しゅうだん的てき自衛じえい権けんの行使こうしを定さだめた北大ほくだい西洋せいよう条約じょうやくの第だい5条じょうのような強固きょうこな安全あんぜんの保証ほしょうを、アメリカなどから得えるとしています。

▽さらに、ウクライナ軍ぐんの兵力へいりょくや、ウクライナ領内りょうないへの友好国ゆうこうこくの部隊ぶたいの駐留ちゅうりゅうなどには制限せいげんは課かされないとしています。

【経済けいざい】

経済けいざい分野ぶんやでは、

《アメリカ案あん》

▽2014年ねんのクリミア併合へいごう以降いこうの経済けいざい制裁せいさいは解除かいじょされるとしています。

一方いっぽう、

《ウクライナとヨーロッパの対案たいあん》

▽持続じぞく的てきな平和へいわが達成たっせいされたあとには、アメリカによる制裁せいさいが段階だんかい的てきに緩和かんわされる可能かのう性せいがあるとしています。

さらに、

▽ロシアが、ウクライナの損害そんがいを補償ほしょうするまで、制裁せいさいで凍結とうけつされたロシアの資産しさんはそのままとし、ウクライナは、この資産しさんなどを通をつうじて補償ほしょうを受うけたり、復興ふっこうを進すすめたりするとしています。

USAID事業じぎょう停止ていしが人道じんどう支援しえんに影響えいきょう

アメリカのトランプ政権せいけんは、ウクライナへの軍事ぐんじ情報じょうほうの共有きょうゆうや軍事ぐんじ支援しえんを一時いちじ的てきに停止ていししたほか、ウクライナに対にたいして巨額きょがくの人道じんどう支援しえんを行おこなってきたUSAID＝アメリカ国際こくさい開発かいはつ庁ちょうについて8割わりの事業じぎょうを打ち切うちきる方針ほうしんを示しめしています。

USAIDは、軍事ぐんじ侵攻しんこう以降いこう、ウクライナで破壊はかいされた学校がっこうの再建さいけんやエネルギー施設しせつの復旧ふっきゅうなど、広ひろ範囲はんいの支援しえんを行おこなっていて、突然とつぜんの事業じぎょうの停止ていしに影響えいきょうが広ひろがっています。

ウクライナのメディアは、USAIDの支援しえんは、これまでに人道じんどう支援しえんに26億おくドル、開発かいはつ支援しえんに50億おくドル、政府せいふ予算よさんへの直接ちょくせつ支援しえんが300億おくドル、少すくなくとも合あわせて376億おくドルと、日本にっぽん円えんにして5兆ちょう円えんを超こえる規模きぼだと伝つたえています。