むかし、和歌山に「神通」という村がありました。この村の近くには深い山があり、たくさんの鳥や動物が住んでいました。ある日、紀州の殿様が家来といっしょに山で狩りをしました。そして、一晩山に泊まりました。
次の日、みんなで山を下りていると、急に空が暗くなり、変なにおいの風が吹きました。そこに、とても大きな大蛇が現れました。家来たちはびっくりして、すぐに逃げました。殿様は馬から落ちて気を失いました。だれも助けに来ませんでした。
その時、村の樵(きこり)の甚兵衛が通りかかりました。甚兵衛は殿様を家に連れて帰り、やさしく世話をしました。しばらくして、殿様は元気になりましたが、自分が殿様だと言いませんでした。 何日かたって、殿様は和歌山に帰ることにしました。甚兵衛は馬で殿様を送っていきました。その時、殿様は自分が殿様だと教えました。甚兵衛はとてもおどろいて、あやまりました。殿様は甚兵衛にとても感謝して、お城に連れて行き、ごちそうをしました。
殿様は「ほしい物を何でもあげます」と言いました。甚兵衛は「障子の小さな穴から見える山がほしいです」と言いました。殿様はそれをあげることにしました。でも、家来が障子の穴から山を見ると、とても広い山が見えました。家来はびっくりしましたが、もう遅かったです。 そのあと、甚兵衛は村で一番のお金持ちになり、「しょうじ」という名前で幸せに暮らしました。