JLPT N1 – Reading Exercise 4

#231

Furigana

A

日本にほんでは周囲しゅういと協調きょうちょうするように教育きょういくされ、年長者ねんちょうしゃに対たいして従順じゅうじゅん（じゅうじゅん）に、調和ちょうわ状態じょうたいを壊こわさないようにする。しかし実際じっさいは、人間にんげんは独自どくじの感覚かんかくや思考しこうを持もつのが当然とうぜんで、他者たしゃと考かんがえ方かたが異ことなるのは自然しぜんなことなのである。これを無理むりに押おさえつけようとすると、心理しんり状態じょうたいが正常せいじょうに保たもてない場合ばあいがある、。考かんがえの異ことなる他人たにんと上手じょうずに意見いけん交換こうかんするということは、重要じゅうようなことなのだ。この技術ぎじゅつは、訓練くんれんされずには得えられないものである。そこで私わたしは、日本にほんの学校がっこう教育きょういくでディベートを取とり入いれることを提案ていあんしたい。自分じぶんの意見いけんをきちんと相手あいてに伝つたえ、反論はんろんを聞きき、整理せいりし、ポイントを見みつけ、さらに説得せっとくしていく過程かていで、参加者さんかしゃは意見いけん交換こうかんの重要じゅうようなテクニックを学まなぶ。また、感情的かんじょうてきにならず冷静れいせいな態度たいどを保たもち続つづける訓練くんれんも、ディベートを通とおしてできるはずである。

B

ディベートが基本的きほんてきに勝かち負まけを決きめるタイプの討論とうろんであることを考かんがえると、日本にほんの学校がっこう教育きょういくで採用さいようすることには疑問ぎもんを感かんじている。自分じぶんの意見いけんを述のべたり相手あいての意見いけんを聞きいたりするという行動こうどうは言いうまでもなく重要じゅうようであり、その資質ししつを養やしなう必要ひつようがあるが、その方法ほうほうとしてのディベートには無理むりがある。なぜなら、日本にほん社会しゃかいの根底こんていに、人ひとは他者たしゃの気持きもちを考かんがえるべきだ、争あらそいは避さけるべきだ、という考かんがえがあり、争あらそって勝かち負まけを決きめるタイプのディベートはそれと矛盾むじゅんしているからである。議論ぎろんで勝負しょうぶするのではなく、互たがいの意見いけんを認みとめ合あいながら弱点じゃくてんを補おぎなったり譲ゆずり合あったりしながら、協力きょうりょくして新あたらしい考かんがえ方かたをつくっていくブレーン・ストーミングのような討論とうろんのほうが適当てきとうであると思おもう。

Vocabulaire (72)

Romaji

日本

nihon

周囲

shuui

協調

kyouchou

教育

kyouiku

年長者

nenchousha

従順

juujun

調和

chouwa

状態

joutai

壊す

kowasu

実際

jissai

人間

ningen

独自

dokuji

感覚

kankaku

思考

shikou

当然

touzen

他者

tasha

考え方

kangaekata

異なる

kotonaru

自然

shizen

無理

muri

押さえつける

osaetsukeru

心理

shinri

正常

seijou

保つ

tamotsu

場合

baai

意見

iken

交換

koukan

重要

juuyou

技術

gijutsu

訓練

kunren

得る

eru

学校

gakkou

提案

teian

自分

jibun

伝える

tsutaeru

相手

aite

反論

hanron

聞く

kiku

整理

seiri

ポイント

pointo

見つける

mitsukeru

説得

settoku

過程

katei

参加者

sankasha

感情

kanjou

冷静

reisei

態度

taido

続ける

tsuzukeru

基本

kihon

勝ち負け

kachimake

決める

kimeru

タイプ

taipu

討論

touron

考える

kangaeru

採用

saiyou

疑問

gimon

行動

koudou

資質

shishitsu

養う

yashinau

根底

kontei

争い

arasoi

避ける

sakeru

矛盾

mujun

互い

tagai

認める

mitomeru

弱点

jakuten

補う

oginau

譲る

yuzuru

協力

kyouryoku

新しい

atarashii

ブレーン・ストーミング

bure-n suto-mingu

適当

tekitou

Essayez-le!

Romaji

Ａ、Ｂが共通して言っていることは何か。

1. 日本社会でディベートが受け入れられるのは難しいだろう。

2. ディベートでは意見交換のテクニックを学ぶことはできない。

3. 他者との意見交換は重要で、そのための訓練か必要である。

4. 以前の日本では協調性が重視されていたが、最近は変化している。

二つの意見を正しく説明しているのはどれか。

1. Ａ：ディベートにより意見交換の重要なテクニックが学べる。Ｂ：ディベートではなく協力し合うタイプの討論方法がいい。

2. Ａ：日本人が周囲との調和を大切にしていることはすばらしい。Ｂ：常に他者の気持ちを考える日本人の資質は、問題がある。

3. Ａ：ディベートには長所も短所もあるが、日本の学校教育では必要ではない。Ｂ：ディベートは多くの長所があり、日本の学校教育で必要だ。

4. Ａ：ディベートでは進め方や勝負の決め方を知っておく必要がある｡Ｂ：日本でディベートを取り入れるにはさまざまな方法がある。

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