JLPT N1 – Reading Exercise 24

#251

Furigana

Ａ

雑談ざつだんはいろいろな意見いけんを交換こうかんし合あうことによって、ヒントを得えようというスケールの大おおきな場ばである。そこにいる誰だれもが自由じゆうに発言はつげんする権利けんりを持もっている。仮かりに自分じぶんとは反対意見はんたいいけんであっても、まずは聞きくという姿勢しせいを保たもつこと、心理学しんりがくのカウンセリングと同おなじである。

そして相手あいての発言はつげんに対たいして、自分じぶんの意見いけんを軽かるい気持きもちで述のべる、それが雑談ざつだんである。どんなに間違まちがっている、バカバカしいと思おもわれる意見いけんであっても、いったんそれを受うけ入いれること。「なぜあの人ひとはこのような発言はつげんをするのか」と考かんがえていくと、自分じぶんがそれまで見落みおとしていたことがあることに気きがつくこともある。

「話はなし上手じょうずは聞きき上手じょうず」という言葉ことばがあるように、雑談ざつだんでは「いかに発言はつげんするか」よりも「いかに聞きくか」が大切たいせつになる。

（多湖たご輝あきら『人ひとの心こころをつかむ「雑談力ざつだんりょく」情報じょうほうが集あつまる「雑談力ざつだんりょく」』による）

Ｂ

雑談ざつだんは無駄むだだという人ひとがいるが、本当ほんとうにそうだろうか。辞書じしょを調しらべると「無駄話むだばなし」という意味いみもあるが、「さまざまなことを気楽きらくに話はなし合あうこと」という意味いみもある。気楽きらくな気持きもちのとき、人ひとは本音ほんねを話はなすものだ。バカらしいと思おもう話はなしもあるかもしれないが、雑談ざつだんの中なかから相手あいての人間性にんげんせいが見みえてくる。

そうはいっても、気楽きらくに話はなせる雰囲気ふんいきを作つくるのは簡単かんたんなことではない。まずは、自分じぶんから話はなしのきっかけになりそうな小ちいさなエピソードを話はなそう。相手あいてが話はなしに乗のってきたと思おもったら、そこで自分じぶんの本音ほんねを話はなしてみよう。そうすれば、相手あいてもやがて心こころを開ひらいて話はなし始はじめるだろう。そうなれば、雑談ざつだんも意味いみのある時間じかんとなる。