「お母かあさん、もう少すこし大人おとなになりな、お父とうさんくらいに」私わたしの背中せなかに6歳さいの息子むすこが言いった。自転車じてんしゃの後うしろに乗のせ、幼稚園ようちえんに向むかう途中とちゅうのことだった。ドキッとした。確たしかに私わたしは一日中いちにちじゅう、人ひとの子こどもに片かたづけをしなさいとか、宿題しゅくだいをやってしまいなさいとかうるさい。頭あたまに来きると子こどもと同等どうとうになってけんかをしている。それに比くらべ夫おっとはその様子ようすを少すこし離はなれて見みていてたまに口出くちだしするくらいで大人おとななのだ。それにしても幼稚園児ようちえんじの言いうことにしては立派りっぱ過すぎる。「大人おとなって?」と聞きいてみた。すると、後うしろから私わたしの体からだに手てを回まわして「ほら、お母かあさんこんなに小ちいさいよ。もっと大人おとなになってお父とうさんくらい大おおきくなって!」。な一んだ体からだの大おおきさのことだったんだ。私わたしは「大人おとなだって小ちいさい人ひとはいるよ。ほら、お婆ばあちゃんなんて大人おとななのにお母かあさんより小ちいさいよ」と投なげかけた。「あのね、お婆ばあちゃんはぼくが生うまれる前まえ、大人おとなだったんだよ、でもね、今いまはお婆ばあちゃんになって縮ちぢんだの」。(1)う一んなるほど。初はじめは「大人おとなになりな」なんて言いわれて反省はんせいし、次つぎはお婆ばあちゃんを大切たいせつにしなければと考かんがえさせられた。幼稚園ようちえんに着ついた。息子むすこは手てを振ふり、門もんをくぐって行いく。(2)後うしろがいつもより大人おとなびて見みえた。(2001年ねん11月がつ3日にち付づ『朝日新聞あさひしんぶん」による)なりな:なりなさい
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