昔、ある大きなお寺にたくさんの小僧がいました。その中に、いたずら好きな小僧が一人いました。ある日、和尚さんは小僧をしかって、お寺から出すことにしました。そして、「大きな木の下より竹やぶの下がいい」「部屋の中よりえんがわがいい」と言いました。
小僧はお寺を出て歩きました。すると、急に大雨がふってきました。小僧は大きな木の下に行きましたが、和尚さんの言葉を思い出して竹やぶに行きました。その時、大きな音がして、かみなりが木に落ちました。小僧は助かりました。
また歩いて、山の村に着きました。夜になったので、だれもいないお寺に泊まることにしました。小僧は和尚さんの言葉を思い出して、えんがわで寝ました。夜中、小僧は目をさまし、お寺の中を見ると、細い女の人と四角い顔の化け物が話していました。四角い顔の化け物がいなくなると、丸い顔の化け物が来ました。丸い顔の化け物もいなくなると、細い女の人だけが残りました。
小僧はお寺の中に入って、「あなたはだれですか」と聞きました。女の人は「私は手杵(てぎね)の精です。四角い顔は一分銀の精、丸い顔は一文銭の精です」と言いました。朝になると、女の人はいなくなり、古い手杵だけがありました。
小僧は村人と一緒に、お寺の中から一分銀と一文銭を見つけました。そして、手杵をやいておいのりしました。その後、小僧は立派なお坊さんになり、お寺の住職になりました。