アップル(AAPL)の株式は、今後数年にわたり深刻な調整局面を迎える可能性が高いと指摘されている。
過去3年間で同社の株価は約2倍に上昇し、2022年末の約130ドルから現在の過去最高水準である275ドル前後に達しているものの、この間の売上高はほとんど横ばいで推移してきた。利益率に関しても、2022年の30,3%から31,9%へとわずかに改善したにすぎず、その要因も主に製品構成の変化に起因するもので、需要の大幅な拡大によるものではない。
株価の急騰は、実質的にはPER(株価収益率)の上昇によるものであり、企業の基礎的な成長力を反映したものとは言い難い。PERが2倍となったことについては評価が分かれるが、我々としては持続的な成長を裏付けるものではないと考える。
アップルの売上成長は著しく鈍化しており、過去3会計年度における売上高の年平均成長率はわずか2,4%にとどまっている。特に、今年のiPhone 17への買い替え需要による一時的な押し上げ効果は、長期的な成長トレンドには寄与しないと見られている。
さらに、アップルは現在、AI分野の急速な進展に十分対応できていない。Siriの抜本的なアップグレードは度重なる遅延に直面しており、AI機能においてグーグル等の競合他社に大きく後れを取っている状況が続いている。加えて、約10年ぶりに投入された新たなプロダクトカテゴリーであるVision Proも、市場の期待を大きく下回り、初年度の販売台数は40万〜50万台にとどまると予想されている。
株価の上昇は、企業の本質的な成長ではなく、積極的な財務戦略の結果であると言わざるを得ない。実際、過去3年間でアップルは約2,800億ドルを自社株買いに投じ、発行済株式数を大幅に減らすことでEPS(1株あたり利益)を増加させてきた。一方、直近の会計年度においては、研究開発費が340億ドル、設備投資が130億ドルにとどまる一方で、自社株買いには910億ドルが割り当てられており、資本配分の偏りが顕著である。
一般的に、プレミアムな株価倍率を正当化する企業は、将来の成長を見据えて積極的な再投資を行うものである。例えばグーグルは、AIインフラ開発に注力し、2025年の設備投資を910億〜930億ドルへと大幅に引き上げている。それに対し、アップルは新規成長分野への投資を抑制し、株主還元を優先する姿勢が際立っている。
現在、アップルのPSR(株価売上高倍率)は約9,9倍と、スティーブ・ジョブズ時代を含む過去の水準を大きく上回っており、歴史的にも極めて高い評価となっている。このような高評価は、今後も力強い成長が継続するとの市場の期待を反映しているものの、現実には売上高の停滞、AI分野での遅れ、新製品の不振、資本配分の偏重など、成長の持続性を裏付ける要素は乏しい。
したがって、アップルは新たな成長局面に突入したかのような評価を受けているとはいえ、実際の業績やイノベーション、資本政策はこれに追随していない。
このような評価と実態の乖離こそが、今後の株価下落リスクの主因であると言える。2026年までに40%規模の調整が生じる可能性は、決して否定できない状況にある。