むかし、ある村にばったり沢という場所がありました。ばったり沢には古いきつねが住んでいて、通る人をだましていました。
ある日、村の別当さんが、ばったり沢を通りました。すると、別当さんの奥さんが、雪の中を歩いて来ました。別当さんは「本当の奥さんか、きつねが化けた奥さんか」と思いました。別当さんは、奥さんを馬に乗せて、家に帰りました。
家に着くと、奥さんは「私が本当の奥さんです」と言いました。家にいた奥さんは「すぐに帰って来た」と言いました。どちらも本当の奥さんのようでした。
別当さんは、子どもを呼びました。子どもは、しばらく2人の奥さんを見て、どちらかの胸に飛びこみました。別当さんたちは、もう1人の奥さんを火の中に入れました。すると、きつねが出て来ました。きつねは「子どもには負けた」と言って、逃げて行きました。