昔、兵庫の小野という村に一人のおばあさんが住んでいました。おばあさんの家の近くには小さい川があり、その向こうに古いお地蔵様が立っていました。おばあさんは毎日川を渡ってお地蔵様にお参りしていました。お地蔵様はおばあさんの大切な話し相手でした。
ある日、おばあさんは腰を痛めてしまい、動けなくなりました。ご飯を作るのがやっとで、お地蔵様に会いに行くことができませんでした。何日かたって、少し元気になったおばあさんは、杖を使ってお地蔵様のところへ行きました。お地蔵様のまわりには草がたくさん生えていました。おばあさんは腰が痛いのをがまんして、草を抜きました。終わるころにはもう夕方になっていました。
帰ろうとしましたが、腰が痛くて川を渡ることができません。困っていると、後ろから「私が渡してあげましょう」と声が聞こえました。ふり向くと、お地蔵様が歩いてきて、川の上で橋のように寝そべりました。おばあさんは「お地蔵様を踏むなんてできません」と言いましたが、お地蔵様は「私も長い間立っていて腰が痛いので、私の腰を踏んでください」と言いました。
おばあさんは草履をぬいで、おそるおそるお地蔵様の上を歩きました。すると、不思議なことに、おばあさんの腰の痛みはすっかり治りました。それからおばあさんはまた毎日お地蔵様にお参りしました。この話は村の人たちに広まり、遠くからもたくさんの人がお地蔵様にお参りに来るようになりました。