JLPT N2 – Reading Exercise 88
成功とは何か。それを考えることは、人生の大きなテーマの一つである。しかし、「成功」とは一体どのようなものなのかを知ることは、それを目指す前提としてとても重要な課題だと思う。あるとき、若い人が私に「成功って本当にあるのか」と真剣な表情で尋ねてきたことがある。
彼は、社会が求める成功の基準は次々と変わるため、本当の成功にたどり着くのは難しいのではないか、と言うのだ。確かにそうかもしれない。人間が成長を続ける存在であるならば、なおさらそうだろう。
だが、私は成功は確かに存在すると思っている。たとえば、ある人は「たくさんのお金を手に入れること」を成功と考え、別の人は「心穏やかに暮らすこと」や「家族と過ごす時間」を挙げる。あるいは「自分の夢を実現すること」や「人の役に立つこと」を成功とみなす人もいるだろう。このように、成功の定義は人それぞれ異なっている。幸福と同じく、成功についても考え方はさまざまだ。
「成功とは何か」と問われて、「社会的な地位や名声を得ること」と答える人もいるだろう。一方で、そうした外的な評価を否定し、「自分らしく生きること」や「心の平和」を成功だと考える人もいる。考え方や価値観、さらには生き方まで異なる人間なのだから、成功の定義に違いがあって当然だ。同じ「お金」を重視しても、それを社会のために使う人もいれば、自分のためだけに使う人もいる。他人にどう思われようと、その人が満足していれば、それも一つの成功と言えるだろう。人は自分の人生を生きているのだから、他人に迷惑をかけない限り、それでよいのだ。
しかし、私は最初はそれでも構わないが、いつまでも同じ価値観にとどまっていては成長できないと思う。私自身は、別の生き方を選びたいと考えている。
私も「これが成功だ」と断言できる考えを持っているわけではないが、私にとっての成功は「自分のやりたいことに挑戦し、心穏やかに一日一日を大切に過ごすこと」だと思っている。言葉にすればとても平凡だが、その中身は決して平凡ではないと自負している。そして、自分の成功が「周囲の人にも良い影響を与え、共に喜びを分かち合える」ものでありたいと願っている。
(注1)なおさら:ますますそうだといえる
(注2)さまざま:いろいろ
(注3)断言(だんげん):はっきりと言い切ること
(注4)自負(じふ):自分で誇りに思うこと