昔、京の都に「たのもしどん」と呼ばれる勇士がいました。たのもしどんは体が大きくて、いつも強そうに歩いていました。村の人たちは「たのもしどんがいるから安心だ」と言っていました。でも、たのもしどんは本当はとても怖がりでした。このことは誰も知りませんでした。
ある朝、たのもしどんの妻は、たのもしどんのために早く起きてお弁当を作っていました。ふと妻が台所を見ると、人の影が見えました。妻はびっくりして、たのもしどんを呼びました。たのもしどんは怖かったですが、妻の前なので刀を持って台所に行きました。
台所に行くと、そこには刀を持った大きな男が見えました。たのもしどんはとても怖くなって、部屋に戻り、布団をかぶって寝てしまいました。そして「自分はお城で働かないといけないから、妻が見てきてくれ」と言いました。
その後、妻が台所に行こうとしたとき、部屋の障子が外れて、たのもしどんの上に落ちました。たのもしどんは泥棒が来たと思い、「命だけは助けてください」と震えていました。
朝になり、妻が台所に行くと、台所には自分の影が映っていました。泥棒だと思ったのは、自分の影だったのです。
その日、たのもしどんは何もなかったようにお城へ行き、「泥棒は私が怖くて何も盗らずに逃げた」と言って、また強そうに歩いていきました。