中国発の大手通販企業である「SHEIN」は、6月5日、フランス・パリにある歴史ある百貨店において、世界で初めてとなる常設店舗を開設した。これは、オンラインを中心に展開してきた同ブランドが、実店舗を通じて欧州市場への進出を本格化させる動きであると言える。しかし、この新店舗のオープンをめぐっては、地元住民や関係者の間で賛否が分かれている。
低価格で人気を集める「SHEIN」は、これまでのビジネスモデルを維持する一方で、労働環境の悪化や環境負荷の増大など、さまざまな問題点が指摘されてきた。実際、百貨店周辺では、同ブランドの進出に抗議する市民が集まり、大量生産・大量消費がもたらす社会的影響について懸念を表明している。抗議者の一人は、「多くの人が失業し、既に数多くの店舗が閉鎖されている。フランスでは高コストのために生産が困難になった商品も少なくない」と訴え、SHEINの進出が地元経済に与える影響の深刻さを強調した。
また、パリ市長や地元議員も、SHEINのビジネスモデルが公正さを欠いていると指摘し、この百貨店から撤退を決断するブランドも現れている。一方、百貨店側は「SHEINは労働者の権利を尊重しており、その点を確認している」と説明し、同ブランド誘致の意義を強調している。
このように、SHEINの常設店舗開設は、消費者の選択肢を広げる一方で、地元経済や雇用、社会的公正といった多くの課題を浮き彫りにしていると言える。今後、パリ社会における持続可能な発展のあり方が問われることとなろう。