アメリカ合衆国のファーストレディであるメラニア・トランプ夫人が、自身を主題としたドキュメンタリー映画の製作にあたり、約四千万ドル(約六十三億円)という多額の出演料を受け取ったことが、各方面で激しい議論を呼んでいる。
ブルームバーグ通信は昨年十二月二十八日(現地時間、「メラニア・トランプは最悪の一年を過ごした」と題する論評を掲載し、彼女がファーストレディとしての公的責務を果たすよりも、むしろコンテンツクリエイターのように振る舞っていると厳しく批判した。
今月三十日に世界同時公開されるドキュメンタリー映画『メラニア(Melania)』(原題)は、トランプ大統領が就任する直前の二十日間におけるメラニア夫人の多岐にわたる活動を記録している。制作は、夫人自身が設立した「ミューズ・フィルムズ」と米国のドキュメンタリー専門会社「ニュー・エレメント・メディア」が共同で行い、監督は『ラッシュアワー』シリーズで知られるブレット・ラトナー氏が務めた。加えて、アマゾン・プライム・ビデオによる続編三部作の公開も予定されているとの報道がある。
同作品の予告編には、トランプ大統領と夫人がトランプ・タワーで親しく電話をする様子や、息子バロン氏の姿などが映し出されており、支持者からは「メラニア夫人の洗練された美しさが際立っている」「演出が映画『タイタニック』を彷彿とさせる」といった称賛の声が寄せられた。しかしながら、巨額の出演料をめぐっては批判が強まっている。ブルームバーグは「ファーストレディという公的地位を商業的ブランドへ転化した」と指摘し、「歴史は夫人を冷静に評価するだろう」と厳しい論調を展開した。
さらに、バイデン前大統領選挙キャンプで女性戦略を担当したロンダ・エレイン・フォックス氏は「国民が物価高騰に苦しむ中、大統領夫人が映画製作に注力しているのは理解しがたい」と非難し、人気ポッドキャスト司会者トミー・ヴィエトー氏も「ホワイトハウス広報室が作るような映像に、アマゾンが賄賂を支払ったのではないか」と皮肉を述べている。
また、監督のラトナー氏が過去に「#MeToo」運動の中でセクハラ疑惑を告発された当事者であったことも、論争に拍車を掛けている。
ラトナー氏は2017年11月にセクハラや性暴力の疑いで訴訟に発展したが、本人は一貫して疑惑を否認している。
米調査機関「YouGov」の調査によれば、メラニア夫人の支持率は昨年十二月時点で三十六パーセントにとどまり、トランプ大統領の一期目退任時の四十二パーセントから更に六ポイント下落した。
加えて、2020年に米私立シエナ・カレッジが実施した歴代大統領夫人の評価に関する調査でも、「国への貢献」や「大統領への貢献」など多くの指標で、メラニア夫人は最下位とされている。