ひな人形の処分方法について悩む家庭は少なくない。単に不要になったからといって、無造作に廃棄することには心理的な抵抗を感じる人が多いのではないだろうか。近年では神社によるお焚き上げが広く知られているが、それが本当に適切な方法かどうか疑問を抱く人もいる。
ひな人形の由来や意味を正しく理解することによって、心穏やかに処分へと踏み切ることができるに違いない。
ウェブメディア事業を展開するinput社は、全国から依頼を受け付け、佐賀県の祐徳稲荷神社でひな人形のお焚き上げを行う「神社でお焚き上げサービス」を提供している。実際、同社が過去にひな人形の処分経験を持つ女性500人を対象に調査を実施したところ、古いひな人形を一般ごみとして廃棄した人は約28%にとどまった。
一方で、不用品回収業者への引き取りや子どもへの譲渡、寄付、人形供養を選択した人が多いことが明らかになった。人形の処分には、単なる不要物とは異なる特別な感情が伴うことがうかがえる。
また、ひな人形の本来の意味を十分に理解している人は全体の34%に過ぎないという。多くの人が、ただ漠然と「人形を捨てるのは気が引ける」と感じているにすぎず、十分な知識を持たないまま処分しているのが現状である。適切な行動を取るためには、正しい知識を身につけることが不可欠だ。
祐徳稲荷神社の巫女である江口さくら氏によれば、ひな人形の起源は平安時代にまで遡る。紙人形に厄を移し、川に流す「流し雛」が始まりとされている。そのため、役目を終えたひな人形は、感謝の念を込めて供養し、お焚き上げを行うのが望ましいとされる。
また、厄除けの身代わりという性質から、本来は一人の子どもにつき一体のひな人形が正しいという考え方もある。したがって、親から子へひな人形を「お下がり」することは、厄を引き継ぐことになり、適切ではないとされる。ただし、どうしても譲渡する場合には、お祓いによって厄を取り除くことが重要であると江口氏は述べている。
ひな人形の由来については諸説存在する。宮中の貴族の間で「ひいな遊び」と呼ばれる人形遊びが行われていたことが、流し雛と結びつき、現在のひな人形の形態へと発展したとも言われている。江戸時代には、桃の節句にひな人形を華やかに飾る習慣が広まり、現代に至った。
ひな壇飾りは一見ドールハウスのようなものであり、単なる玩具と捉えることもできるが、厄除けの意味は今なお受け継がれている。
節句が終わった後、すぐに片付けるべきだとされるのは、子どもから厄を引き受けた人形を長期間飾っておくべきではないという考えに基づいている。
いずれにせよ、処分に不安を感じる場合は、お焚き上げによる供養が最も確実な方法である。input社の「神社のお焚き上げサービス」は全国から利用可能であり、サイズごとに用意されたお焚き上げキットを購入し、人形を箱詰めして郵送する仕組みである。料金は人形供養キットが税込1万4900円からとなっており、人形のみならず神棚や遺品などの供養も受け付けている。伝統と現代のサービスが融合する中、正しい知識に基づいた対応が求められる時代となっている。