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南海トラフ巨大地震で最悪の場合、5万2000人にのぼるとされる「災害関連死」。遺族からの申請に備え市町村は「災害関連死」の審査を行う体制を条例などで定めておくことが努力義務となっていますが、津波で甚大な被害が想定される139の市町村のうち半数余りで規定を設けていないことが分かりました。
「災害関連死」は、地震や津波などから逃れて助かったものの、その後の避難生活による体調の悪化などが原因で亡くなることで、3月に見直された南海トラフ巨大地震の国の被害想定では、最悪の場合、5万2000人にのぼるとする推計が示されました。
「災害関連死」にあたるかどうかは、遺族の申請を受けて医師や弁護士などで構成される審査会が判断しますが、国は手続きが滞らないよう市町村に対して審査会の設置について条例などで定めておくことを努力義務としています。
そこで、津波で甚大な被害が想定される「南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域」に指定されている千葉県から鹿児島県にかけての14都県の139の市町村に取材した結果、51%にあたる71の市町村で審査会の設置に関する規定を設けていないことが分かりました。
理由を複数回答で尋ねたところ、
▽「知識やノウハウの不足」が最も多く73%、
▽「職員の不足」が59%、
▽「関係部署と協議ができていない」が46%、
▽「専門家など審査会の担い手不足」が37%、などとなっています。
一方、準備を進めていると答えたのは2つの市で、残りの66の市と町は条例などで定めていましたが、すぐに手続きが進められるよう審査会の人選まで行っていたのは16の市と町にとどまりました。
中には、条例で定めているにもかかわらず規定を設けていないと回答し、審査会の設置について把握していなかった自治体もあり、迅速に審査できるか不透明な実態も明らかになりました。
「南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域」に指定されている自治体の半数余りが、「災害関連死」の審査会の設置を条例などで定めていなかったことについて、東日本大震災で審査会の委員を務めた在間文康弁護士は「がく然とする」と述べるとともに、「審査を行うためのスタートラインに立てていない自治体が多いことは問題の深刻さを物語っている」と指摘しています。
在間弁護士によりますと、準備ができていない中で、急ごしらえで出た結論は、適正に判断されたのか遺族に懸念を抱かせ大きな弊害になるおそれがあるということです。
このため、地元の市町村が主体となって、事前に審査会の委員を決め、年に1度程度集まる機会を設けて勉強会を開くなど、準備を進める必要があると指摘しています。
そのうえで国に対しては、市町村をさらにバックアップする必要があるとしています。
在間弁護士は「『災害関連死』の問題はいつ、誰の身に起きてもおかしくない。行政は命に関わる問題としてふだんから向き合う必要がある」と話しています。