版权所有 eUp Technology JSC
Copyright@2025
版权所有 eUp Technology JSC
Copyright@2025

ドイツでは6日、ことし2月の総選挙で勝利した中道右派「キリスト教民主・社会同盟」のメルツ氏が首相に就任し、新政権を発足させました。
しかし、首相選出にあたり議会の1回目の投票では選ばれない異例の事態となり、出ばなをくじかれ、大きな打撃を受けたとの見方も出ています。
ドイツの連邦議会では6日、中道右派の「キリスト教民主・社会同盟」のメルツ氏を新たな首相に選出する投票が行われました。
「キリスト教民主・社会同盟」は連立を組む中道左派の「社会民主党」と過半数の議席を確保していますが、1回目の投票では賛成が過半数にわずかに足らず、選ばれませんでした。
ドイツでは歴代の首相が1回目の投票で選出されなかったことはなく、異例の事態となりました。
投票は無記名で行われましたがドイツのメディアはメルツ氏がことし1月、移民政策の厳格化のため極右団体「ドイツのための選択肢」と議会で協力したことに反発した与党議員が造反した可能性があるという見方を伝えています。
このあと各党は対応を協議して再び投票を行った結果、メルツ氏は首相に選ばれました。
メルツ氏はその後、議会で宣誓して就任し、新政権を発足させました。
そして、記者団に「新政権はこの国の問題を解決できると確信している」と決意を述べました。
メルツ氏はこれまで就任初日から活動を始めるとして、7日には隣国フランスなどの訪問も予定し、政治空白が続いてきたドイツの変化をアピールしたい考えを示していました。
ドイツのメディアはメルツ氏が出ばなをくじかれ、大きな打撃を受けたとの見方も伝えていて政権運営への影響が予想されます。
ドイツの新たな首相に就任したフリードリヒ・メルツ氏は69歳。
ことし2月の連邦議会選挙で、中道右派の「キリスト教民主・社会同盟」の首相候補となり、低迷する経済の立て直しや移民政策の厳格化を訴え、党の4年ぶりの政権復帰を実現しました。
ショルツ前首相が率いる連立政権が内部の対立を繰り返し政治が停滞したことを踏まえ、政治を安定させヨーロッパの大国として役割を果たすと強調しています。
メルツ氏はかつてメルケル元首相との党内の権力争いに敗れ、2009年には政界からいったん退きました。
その後、弁護士として国際的な法律事務所に籍を置いて大企業に助言を行うなど、国内外でビジネスの経験を積んだあと、2021年に議員に復帰しました。
また、政治家としてはメルケル氏やショルツ氏とは異なり前面に出るのを好み、リスクを冒すことをいとわず政策を進めるタイプだと評価されています。
その1つの例とされているのが、メルツ氏が選挙後のことし3月、議会で実現させた改革です。
メルツ氏は、アメリカのトランプ政権によるヨーロッパの防衛への関与が不透明になる中、ロシアの脅威などに対抗するためには、国防費の大幅な増額が不可欠だと訴え、各党に協力を呼びかけて憲法にあたる「基本法」を改正しました。
これによって、国防費の大幅な引き上げが可能になりましたが、メルツ氏は選挙戦で財政規律を堅持する姿勢を示し、法改正はしないと主張していたため、批判も浴びています。
また、ことし1月には、当時の政府に対して移民政策の厳格化を求める決議案を極右団体、「ドイツのための選択肢」と協力して可決させ、ナチスの過去から、主要政党が極右勢力とは協力しないというタブーを破ったとして、大規模な抗議集会が起きるなど反発が広がりました。
メルツ氏についてドイツ政治に詳しいフライブルク大学のウーベ・ワークシャール教授は「自信や確信に満ち、常に首相になりたいと考えてきた。力強いリーダーを目指している」と指摘します。
一方で「政策を国民に説明するよりよい方法を見つけるべきかもしれない」とも話し、国民への説明を尽くすことが首相として成功するカギになるという見方も示しています。
ドイツの新たな首相に就任したメルツ氏の側近がNHKのインタビューに応じ「アメリカがドイツとヨーロッパの安全を保証し続けることを前提にはできない」と述べ、これまでの安全保障政策を転換して軍備の強化を進め、徴兵制の再開を検討する可能性も示唆しました。
NHKのインタビューに応じたのはメルツ氏の側近の1人で新政権の閣僚、首相府長官を務めることになるトルステン・フライ氏です。
まず、メルツ氏について「政治だけでなくビジネスの世界でも豊富な経験を積んでいる。非常に実行力があり、問題に正面から向き合う、いま求められるリーダーだ」と評価しました。
また、新政権が国防力の大幅な強化を掲げていることを巡っては「アメリカがドイツとヨーロッパの安全を保証し続けることを前提にはできない」と述べ、これまでの安全保障政策の転換が必要だとして、アメリカ抜きでもロシアの脅威に対抗できるよう軍備の強化を進める方針を示しました。
そして、トランプ政権から支出が少ないと批判されてきた国防費を大幅に引き上げ、東西冷戦当時の西ドイツが支出していたGDP=国内総生産の3%以上も視野に入れているとして「ヨーロッパは戦時下にある。ウクライナで明らかなように国際法とルールに基づく秩序を将来にわたって維持するため、より多くのことをしなければならない」と述べました。
ヨーロッパ各国がアメリカ抜きでロシアの脅威に対抗するにはあわせて30万人の兵士が足りないとの分析もあるなか、フライ氏は「志願を基本とした勧誘の取り組みを始めるが、うまくいかなければ、ほかの選択肢を議論しなければならない」と述べ、徴兵制の再開を検討する可能性も示唆しました。
一方、国内経済の立て直しについては「企業の競争力を取り戻すため、電気やエネルギー料金を恒常的に下げる必要がある。法人税もOECD=経済協力開発機構の加盟国の平均よりも非常に高く、さらなる措置が必要だ」としてエネルギー価格の抑制や減税を進めるとしています。
さらに、支持の拡大が続く極右団体の「ドイツのための選択肢」について「国内のさまざまな問題を解決できなければ、『ドイツのための選択肢』は躍進し続けるだろう。新政権はことばによってではなく行動で評価される。成功すれば、『ドイツのための選択肢』に対抗できる」と述べ、内外の課題で成果を出し、勢いを止めたいとしています。