JLPT N2 – Reading Exercise 16
私たちは日常生活の中で、しばしば「不安」と「準備」という二つの感情や行動に直面する。不安とは、これから起こるかもしれない悪い出来事を頭の中で思い描いてしまうことである。たとえば、明日の発表がうまくいかなかったらどうしよう、失敗したらどうしようといった具合に、まだ起きていないことを想像して心配になる。
一方、準備とは、実際に起こり得る現実をもとに、必要な対策や計画を立てて行動することである。不安がただの想像にとどまるのに対し、準備は現実的な根拠に基づいている。たとえば、発表の内容をもう一度確認したり、練習を重ねたりすることが準備にあたる。
しかし、不安と準備はまったく別のものではない。不安を感じるからこそ、「何が問題になるか」「どんな失敗があり得るか」と考え、具体的な行動に移すことができる。つまり、不安は時に、準備のためのエネルギーとなるのである。
(1)このようにして、不安をうまく使うことが大切だ。ただ不安にとらわれて何もしなければ、状況は変わらない。しかし、不安を感じたときこそ、現実を見つめ、できることを一つずつ準備していくことが、賢い生き方だと言えるだろう。
不安を否定する必要はない。不安を感じたら、それをきっかけに「自分にできることは何か」と考え、計画を立てて行動する。そうすることで、不安は単なる心配ではなく、前向きな力に変わるのである。