JLPT N2 – Reading Exercise 47
「完璧なものが美しい」という考え方は、長い間多くの人々に支持されてきた。しかし最近では、手作りの陶器に見られる小さなひびや、木製品のふぞろいな木目など、「不完全さ」にこそ価値を見いだす人が増えている。
では、現代の人々は仕方なく「傷物」を選んでいるのだろうか。決してそうではない。むしろ、そうした唯一無二の特徴を積極的に楽しむ感覚が広がっている。
例えば、陶器のひび割れや釉薬のムラは、作り手の手仕事の証であり、同じものは二つとない。木製家具の節や曲がった木目も、自然のままの美しさとして受け入れられている。大量生産品では味わえない温かみや個性を、特に若い世代が評価しているのだ。
こうした価値観の変化に、作り手や企業もようやく対応し始めている。これまでなら規格外としてはじかれていた作品が、今では「一点もの」として高く評価されるようになった。
しかし、人気が高まるにつれ、粗悪な模倣品が出回る危険もある。本当に価値ある「不完全さ」なのかどうか、消費者自身も目を養う必要がある。作り手もまた、誠実なものづくりを続ける責任が求められている。
(注)ひび:陶器などにできる小さな割れ目
釉薬(ゆうやく):陶器の表面をおおうガラス状のうわぐすり