米国保健福祉省は22日、米国が世界保健機関(WHO)からの正式な脱退手続きを完了したと発表し、トランプ大統領の長年にわたる政策目標が実現した形となった。トランプ氏は大統領1期目からWHO脱退を試みており、再選後の初日には大統領令によって脱退を通告した経緯がある。
しかし、米国がWHOに対して脱退の1年前に通知し、かつ未払いの分担金を全額支払う必要があるという法的義務が課されていることは、改めて指摘されている。
現時点で米国には約2億6000万ドル(約412億円)の分担金支払い義務が残されているものの、法律専門家の間では、米国がこれに応じる可能性は極めて低いとの見方が強く、WHO側にも強制的な徴収手段がないことが問題視されている。ジョージタウン大学のゴスティン博士によれば、「法的に見れば、米国は未払い分を清算しない限り正式な脱退は認められないものの、WHOには米国に対し分担金支払いを強制する権限が存在しない」という。
また、WHOが米国の分担金支払い完了まで脱退を認めないという決議を採択する可能性もあるが、トランプ政権が脱退を強行する公算が大きい現状では、WHOがさらなる対立を招くリスクを冒すことは考えにくいとゴスティン氏は指摘する。
米保健福祉省は同日、WHOへの米国政府からの資金援助を全て停止し、WHOに派遣されていた職員や請負業者を召還したと発表した。さらに、米国はWHOが主催する各種委員会や統治機構、技術作業部会への公式な参加も停止したとされる。しかし一方で、同省は今後も限定的な協力の可能性を否定していない。例えば、来年度のインフルエンザワクチン成分決定のためのWHO主導会議への参加については、協議が継続中であるとしている。
22日の記者会見において、米政府高官は「米国は自国の価値観、資金、そして人的資源に見合うだけの利益を得ていない」とした上で、WHOが米国民の利益に反する行動を取ってきたという認識を示した。加えて、新型コロナウイルス感染症の世界的流行に際し、WHOが公衆衛生上の緊急事態宣言を遅らせたことが、各国の対応を遅延させ、ウイルスの拡大を許したと批判している。
さらに保健福祉省は、WHO指導部が中国の対応を称賛し、初期段階での報告不足や情報隠蔽、人から人への感染確認の遅れといった証拠があったにもかかわらず、これらの問題を認めてこなかったと主張した。
「今回の措置により、米国の保健政策が責任を負わない外国の官僚組織によって制約されることはなくなる」と当局者は強調している。
トランプ政権は、WHO脱退後も米国が引き続き世界の保健医療分野におけるリーダーシップを維持すると主張しているものの、今後の新たな戦略の詳細は未公表である。
当局者によれば、今後は各国政府や非政府組織(NGO)、宗教団体との二国間協定や協力を通じて、感染症監視やデータ共有など国際的な公衆衛生協力を継続する方針であり、これらの取り組みは米疾病対策センター(CDC)のグローバル保健センターが中心となって進められる見通しである。