일본어 뉴스: ウクライナ南部ヘルソン “ロシア軍による締めつけ強まる”

ウクライナ南部なんぶの都市とし、ヘルソンに住すむ男性だんせいがNHKのインタビューに応おうじ、ロシアが占領せんりょうを正当せいとう化かするための住民じゅうみん投票とうひょうを実施じっしする懸念けねんが高たかまる中なか、住民じゅうみんの移動いどうを制限せいげんするなど軍ぐんによる締しめつけが強つよまっていると証言しょうげんしました。

NHKのオンラインインタビューに応おうじたのはウクライナ南部なんぶのヘルソンに住すむ50代だいの男性だんせいです。

ロシア軍ぐんの占領せんりょう下かでの生活せいかつについて「食べ物たべものはあるものの、仕事しごともお金おかねもない。物価ぶっかは3倍ばいに高騰こうとうした。外そとに出でるとロシア軍ぐんの兵士へいしが武器ぶきを持もって歩あるき、戦車せんしゃも走はしっているので、子こどもたちはとても不安ふあんを抱かかえている」と話はなしました。

そして「ロシア軍ぐんは住民じゅうみんにウクライナ語ごを話はなしてはいけないと言いっている。国旗こっきや国歌こっかなど、ウクライナにとって象徴しょうちょう的てきなものは何なにでも禁止きんししている」と明あきらかにしました。

ロシア軍ぐんはヘルソンの各地かくちに検問けんもん所しょを設置せっちしているということで、「住民じゅうみんのパスポートを見みて兵役へいえきに行いっていたかどうか確認かくにんしている。もし、兵役へいえきに行いっていたらロシア軍ぐんと戦たたかっていたか質問しつもんする。ロシア軍ぐんの兵士へいしは挑発ちょうはつ的てきな態度たいどで、携帯けいたいのメッセージや写真しゃしんをチェックしてロシアに反対はんたいする内容ないようがないか調しらべているので、私わたしは外出がいしゅつする際さいにはスマートフォンの履歴りれきをすべて削除さくじょしている」と述のべ、ロシア軍ぐんによる締しめつけがさらに強つよまっていると証言しょうげんしました。

さらに男性だんせいは、ロシア軍ぐんがヘルソンから出でようとした人ひとやロシア軍ぐんが配布はいふしている人道じんどう支援しえんの物資ぶっしを受け取うけとった人ひとのパスポートの番号ばんごうを記録きろくしサインのコピーを取とっていると証言しょうげんし、住民じゅうみんの間まではロシア側がわがこうした個人こじん情報じょうほうを悪用あくようして住民じゅうみん投票とうひょうの結果けっかをねつ造ねつぞうするのではないかという懸念けねんが広ひろがっているということです。

ただ住民じゅうみん投票とうひょうについて「ロシア軍ぐんが住民じゅうみん投票とうひょうの準備じゅんびをしているようには見みえません。私わたしたちは何なにも聞きいていません」と話はなし、実施じっしするかどうかも含ふくめ、これまでにロシア側がわから周知しゅうちはされていないとしています。

それでも、住民じゅうみん投票とうひょう後ごのロシア側がわのさらなる締しめつけを恐おそれて町まちを出でようと試こころみる人ひとが増ふえているということです。

男性だんせいは「私わたしには未来みらいを想像そうぞうすることが全まったくできません。家族かぞくのことも心配しんぱいしていますが何なによりも心配しんぱいなのはウクライナの未来みらいです。絶対ぜったいソビエトの時代じだいには戻もどりたくありません」と話はなしていました。

クリミア半島くりみあはんとうの「付け根つけね」ヘルソン州しゅうヘルソン市しは交通こうつうの要衝ようしょう

2014年ねんにロシアが一方いっぽう的てきに併合へいごうしたクリミア半島くりみあはんとうから見みると、「付け根つけね」に位置いちするウクライナ南部なんぶのヘルソン州しゅうは輸送ゆそうや水みずの供給きょうきゅうを左右さゆうする重要じゅうような地域ちいきです。

このうち人口じんこうおよそ40万まん人にんの州都しゅうとヘルソン市しは、ロシアからベラルーシを経へてウクライナを縦断じゅうだんするドニプロ川がわ、ロシア語ごでドニエプル川がわが黒海こっかいに注そそぐ河口かこうに位置いちする交通こうつうの要衝ようしょうです。

ロシア軍ぐんによる軍事ぐんじ侵攻しんこうが始はじまってから1週間しゅうかん後ごの3月つき初はじめに「主要しゅよう都市としとして初はじめてヘルソンが陥落かんらくした」と報ほうじられ、3月つき15日にちにロシア国防省こくぼうしょうは州しゅう全体ぜんたいを完全かんぜんに掌握しょうあくしたと発表はっぴょうしました。ロシア軍ぐんはヘルソンの行政ぎょうせい機関きかんを管理かんり下かに置おく動うごきを強つよめています。

地元じもとメディアは4月つき25日にちにヘルソン市議会しぎかいがロシア側がわに占拠せんきょされたと伝つたえ、26日にちにはヘルソン市しの市長しちょうが「新あたらしい行政ぎょうせい府ふの長ちょうだとする人物じんぶつを紹介しょうかいされた。ロシア軍ぐんの司令しれい官かんからは市長しちょうの権限けんげんは移うつると説明せつめいされた」として、一方いっぽう的てきに解任かいにんされたことを明あきらかにしました。

ウクライナメディアやロシアの独立どくりつ系けいネットメディアなどは、近ちかくウクライナからの独立どくりつの賛否さんぴを問とう住民じゅうみん投票とうひょうが行おこなわれると伝つたえていますが、複数ふくすうの住民じゅうみんによりますと、ロシア側がわからの発表はっぴょうはないということです。

ロシア軍ぐん「戦勝せんしょう記念きねん日び」式典しきてん住民じゅうみんに参加さんか呼よびかけか

NHKは、ヘルソン州しゅう内ないにある町まちチャプリンカで住民じゅうみんに配布はいふされたというロシア軍ぐんの機関きかん紙しの写真しゃしんを入手にゅうしゅしました。

表ひょうの目立めだつ部分ぶぶんには白しろい紙かみが留とめられ、第だい2次じ世界せかい大戦たいせんで旧きゅうソビエトがナチス・ドイツに勝利しょうりした5月つき9日にちのロシアの「戦勝せんしょう記念きねん日び」に合あわせ、町まちの広場ひろばで式典しきてんを開催かいさいするとして住民じゅうみんに参加さんかを呼よびかけています。

式典しきてんでは「ドイツのファシストとの激はげしい戦たたかいで戦死せんししたソビエトの兵士へいしに花はなを手向たむける」としていて、勝利しょうりを祝いわうコンサートが行おこなわれ、戦場せんじょうで兵士へいしが食たべるおかゆが住民じゅうみんにふるまわれるとしています。

「戦勝せんしょう記念きねん日び」を祝いわう行事ぎょうじは激戦げきせん地ちとなった東部とうぶのマリウポリでも行おこなわれるとロシア国営こくえいのタス通信たすつうしんが伝つたえていて、ロシア軍ぐんが支配しはいを既成きせい事実じじつ化かし影響えいきょう力りょくを強つよめようとする思惑おもわくがうかがえます。

住民じゅうみんのロシアへの抗議こうぎデモ続つづくけが人けがにんの情報じょうほうも

ヘルソンではロシア軍ぐんが掌握しょうあくしたと主張しゅちょうした3月つき以降いこう、住民じゅうみんがロシアへの抗議こうぎデモを続つづけています。

ロシアが占領せんりょうを正当せいとう化かするために住民じゅうみん投票とうひょうを実施じっしすることへの懸念けねんが強つよまる中なか、4月つき27日にちにはヘルソン市しの中心ちゅうしん部ぶでデモが行おこなわれ、映像えいぞうでは参加さんか者しゃがウクライナ国旗こっきを掲かかげて「ヘルソンはウクライナだ」、「ここは私わたしの町まちだ」などとシュプレヒコールをあげている様子ようすが確認かくにんできます。

主催しゅさいしたという男性だんせいによりますと、デモにはおよそ40人にんが参加さんかしましたが、開始かいしから10分ふんほどでロシア軍ぐんが解散かいさんさせようと催涙さいるい弾だんなどを発砲はっぽうし、けがをした人ひともいるということです。

ウクライナの検事けんじ総長そうちょうは、このデモで少すくなくとも4人にんがけがをし、当時とうじの状況じょうきょうについて調査ちょうさを進すすめるとする声明せいめいを発表はっぴょうしています。

支配しはいの正当せいとう性せい主張しゅちょうのための「ロシア化か」実態じったいは

ロシアはこれまでも、武力ぶりょくで掌握しょうあくした地域ちいきで支配しはいの正当せいとう性せいを主張しゅちょうするため「ロシア化か」とも言いえる既成きせい事実じじつ化かを進すすめてきました。

2014年ねんには、ウクライナ南部なんぶのクリミア半島くりみあはんとうで、軍事ぐんじ力りょくを背景はいけいに、一方いっぽう的てきに住民じゅうみん投票とうひょうが実施じっしされ、プーチン大統領だいとうりょうは、その結果けっかを根拠こんきょにクリミアを併合へいごうしました。

住民じゅうみん投票とうひょうを前まえにクリミアでは、ロシア軍ぐんの後うしろ盾たてを得えた武装ぶそう集団しゅうだんが地元じもと行政府ぎょうせいふや議会ぎかいの庁舎ちょうしゃなどを次々つぎつぎに占拠せんきょし、ロシアの国旗こっきを掲かかげたほか、ウクライナのテレビ放送ほうそうが相次あいついで打ち切うちきられ、ロシアの国営こくえいテレビ放送ほうそうに切り替きりかわっていきました。

プーチン大統領だいとうりょうが一方いっぽう的てきな併合へいごうを宣言せんげんしたあとは、通貨つうかがロシアのルーブルに切り替きりかえられたほか、地元じもと住民じゅうみんにロシア国民こくみんであることを証明しょうめいするパスポートが発給はっきゅうされ、標準時ひょうじゅんじもモスクワ時間じかんに変更へんこうされました。

その後そのご、クリミアとロシア南部なんぶを結むすぶ巨大きょだいな橋はしや火力かりょく発電はつでん所しょを建設けんせつするなど、プーチン政権せいけんは、インフラ整備せいびにも力ちからを入いれ、国際こくさい社会しゃかいからの非難ひなんや制裁せいさいにもかかわらず、ロシア支配しはいの既成きせい事実じじつを重かさねています。

また、ウクライナ東部とうぶでも、親しんロシア派はの武装ぶそう勢力せいりょくが事実じじつ上じょう支配しはいする地域ちいきで、3年ねん前まえからロシアのパスポートを一方いっぽう的てきに発給はっきゅうし、少すくなくとも70万まん人にんがロシア国籍こくせきを取得しゅとくしたとされ、「ロシア系けい住民じゅうみんを保護ほごするため」とする軍事ぐんじ侵攻しんこうを正当せいとう化かする名目めいもくとして利用りようされました。

こうした「ロシア化か」を強行きょうこうしようという動うごきは、ウクライナへの侵攻しんこうが続つづく中なかでも進すすめられています。

東部とうぶマリウポリでは5月つき9日にち、第だい2次じ世界せかい大戦たいせんで旧きゅうソビエトがナチス・ドイツに勝利しょうりした「戦勝せんしょう記念きねん日び」の式典しきてんが、ロシア国内こくないと同おなじように行おこなわれると伝つたえられたほか、親しんロシア派はは、新あらたに学校がっこうが開ひらき、700人にん以上いじょうの子こどもたちがロシアの教科書きょうかしょを使つかって学まなび始はじめたと主張しゅちょうしています。

さらに南部なんぶヘルソン州しゅうでは、クリミアと同おなじように住民じゅうみん投票とうひょうが行おこなわれる可能かのう性せいが指摘してきされているほか、5月つき1日にちからはロシアの通貨つうかルーブルが導入どうにゅうされるとも伝つたえられ、経済けいざい面めんでもロシアによる支配しはいを強つよめていくねらいがあるものとみられます。