日本新聞: ロンドン市場の金利指標廃止へ日銀副総裁が支援を強調

ロンドン市場しじょうの金利きんり指標しひょう廃止はいしへ日銀にちぎん副ふく総裁そうさいが支援しえんを強調きょうちょう

Jun 8, 2021 22:06

Furigana

銀行ぎんこうの融資ゆうしなど、さまざまな金融きんゆう取引とりひきで活用かつようされてきたロンドン市場しじょうの国際こくさい的てきな金利きんりの指標しひょうがことしで廃止はいしされることになり、日本にっぽんの金融きんゆう機関きかんの対応たいおうが課題かだいになっています。日銀にちぎんの雨宮あまみや副ふく総裁そうさいは、金融きんゆう機関きかんが代かわりとなる金利きんり指標しひょうに取り引とりひきを円滑えんかつに引き継ひきつげるよう支援しえんしていく方針ほうしんを強調きょうちょうしました。

ロンドン市場しじょうの国際こくさい的てきな金利きんりの指標しひょう、「LIBOR」は銀行ぎんこうの融資ゆうしや社債しゃさいの発行はっこうなど、さまざまな金融きんゆう取引とりひきに活用かつようされてきました。

しかし、2012年ねんに欧米おうべいの金融きんゆう機関きかんの担当たんとう者しゃによる不正ふせいな操作そうさが明あきらかになり、ことし末まつで廃止はいしされることが決きまっています。

日銀にちぎんの雨宮あまみや副ふく総裁そうさいはオンラインの講演こうえんで、「金融きんゆう機関きかんが保有ほゆうしているLIBORを参照さんしょうした契約けいやくのうち、ことし末まつを超こえて満期まんきが来くるものは、去年きょねん末まつの時点じてんで合あわせて2000兆ちょう円えんに達たっしている」と述のべ、LIBORが廃止はいしされたあとも円滑えんかつな取り引とりひきを続つづける上うえで、日本にっぽんの金融きんゆう機関きかんの対応たいおうが課題かだいになっているという認識にんしきを示しめしました。

そして、今後こんご、LIBORを参照さんしょうした取り引とりひきの残高ざんだかを大幅おおはばに削減さくげんする必要ひつようがあると指摘してきするとともに、「引き続ひきつづき残のこされた時間じかんにおける市場しじょう参加さんか者しゃの取り組とりくみをサポートしていく」と述のべ、金融きんゆう機関きかんが代かわりとなる金利きんり指標しひょうに取り引とりひきを円滑えんかつに引き継ひきつげるよう支援しえんしていく方針ほうしんを強調きょうちょうしました。

LIBORとは

LIBORとは、「ロンドン銀行ぎんこう間かん取引とりひき金利きんり」の頭文字かしらもじをとった略称りゃくしょうで、国際こくさい的てきな短期たんき金利きんりの指標しひょうとして活用かつようされてきました。

ロンドン市場しじょうで、銀行ぎんこうどうしが資金しきんを貸し借かしかりする際さいの金利きんりを銀行ぎんこうの報告ほうこくに基もとづいて算出さんしゅつしたもので、銀行ぎんこうの融資ゆうしや社債しゃさいの発行はっこうなど、さまざまな金融きんゆう取引とりひきに使つかわれています。

しかし、2012年ねん、欧米おうべいの金融きんゆう機関きかんの担当たんとう者しゃが金利きんりを不正ふせいに操作そうさしていたことが明あきらかになり、信頼しんらいは大おおきく損そこなわれました。

このため、イギリスの金融きんゆう規制きせい当局とうきょくは、LIBORの公表こうひょうをドルでは2023年ねん6月つきに、円えんなどの通貨つうかではことし末まつに停止ていしすることを決きめました。

LIBORに代かわる金利きんり指標しひょうについて、日銀にちぎんは、みずから事務じむ局きょくを務つとめる検討けんとう委員いいん会かいで準備じゅんびしてきた「TORF」と呼よばれる新あらたな指標しひょうなどへの移行いこうを金融きんゆう機関きかんに促うながしています。

移行いこう作業さぎょうが遅おくれれば、LIBORの公表こうひょう停止ていし後ごに金融きんゆう市場しじょうが混乱こんらんするリスクも指摘してきされており、日銀にちぎんとしては金融きんゆう庁ちょうと連携れんけいするとともに、海外かいがいの動向どうこうも注視ちゅうししながら金融きんゆう機関きかんの取り組とりくみを後押あとおしすることにしています。