日本新聞: スーダン独自のルートで退避の男性緊迫の状況を語る

スーダン独自どくじのルートで退避たいひの男性だんせい緊迫きんぱくの状況じょうきょうを語かたる

May 2, 2023 06:05

Furigana

アフリカのスーダンで、国際こくさいNGO「国境こっきょうなき医師いし団だん」の現地げんちチームの責任せきにん者しゃとして活動かつどうし、独自どくじのルートで国外こくがいに退避たいひした日本人にっぽんじんの男性だんせいが、退避たいひ先さきのスイスからリモートでNHKの取材しゅざいに応おうじ、情勢じょうせいが悪化あっかする中なかで退避たいひを迫せまられる緊迫きんぱくした状況じょうきょうを語かたりました。

取材しゅざいに応おうじたのは、国際こくさいNGO「国境こっきょうなき医師いし団だん」の落合おちあい厚あつし彦さん（61）です。

落合おちあいさんは、スーダン国内こくないの3つのチームおよそ40人にんを統括とうかつする責任せきにん者しゃとして首都しゅとハルツームで活動かつどうしていましたが、4月つき中旬ちゅうじゅんに戦闘せんとうが激はげしくなって以降いこう、銃撃じゅうげきを避さけるため地下ちか室しつに避難ひなんすることが多おおく、実質じっしつ的てきな活動かつどうができなくなったといいます。

落合おちあいさんのチームが支援しえんする西部せいぶのダルフール地域ちいきの病院びょういんに武装ぶそうした集団しゅうだんが押し入おしいり、医薬品いやくひんなどが略奪りゃくだつされたとの報告ほうこくがあったほか、ハルツーム市内しないでも煙けむりが上あがる様子ようすが確認かくにんされるなど、日に日ひにひに情勢じょうせいは悪化あっかしていったといいます。

当初とうしょは、現地げんちにとどまって活動かつどうを継続けいぞくしようと日本にっぽんの自衛隊じえいたい機きでの退避たいひは辞退じたいしましたが、情勢じょうせいの悪化あっかを受うけて退避たいひを余儀よぎなくされました。

独自どくじに車くるまを手配てはいして、4月つき25日にちまで3日間にちかんかけて、陸路りくろで隣国りんごくのエチオピアまで退避たいひしたということです。

落合おちあいさんは、「政府せいふと折衝せっしょうなどを行おこなう立場たちばだったが、政府せいふ機能きのうがすべて停止ていしし、チームが機能きのうしなくなった。責任せきにん者しゃが国くにから出でるのは無む責任せきにんだと思おもい、日本にっぽん政府せいふの申し出もうしでは丁重ていちょうに断ことわったが、スタッフの精神せいしん的てきな負担ふたんが非常ひじょうに大おおきかったので、退避たいひすることを判断はんだんした」と振り返ふりかえりました。

ただ、今いまもスタッフ7人にんが国内こくないにとどまって活動かつどうを続つづけているということで、「医療いりょうニーズが高たかまる中なか、本来ほんらいであれば物資ぶっしも人ひとも増ふやしていかないといけないができていない。状況じょうきょうはますます悪わるくなり、自分じぶんだけ安全あんぜんなところに避難ひなんしたというのはすごく心苦こころぐるしい」と胸むねの内うちを明あかしました。

また、今いまのスーダンの状況じょうきょうについて、「紛争ふんそうが起おきる前まえから医療いりょう崩壊ほうかいに近ちかい状況じょうきょうだったが、物流ぶつりゅうが滞とどこおってしまい、医薬品いやくひんは不足ふそくし、補ほてんする手てだてがない。経済けいざいはガタガタの状態じょうたいで、一般いっぱん市民しみんの生活せいかつは厳きびしく、困難こんなんが待ち受まちうけている」と語かたりました。

そのうえで、「紛争ふんそうが続つづくと支援しえん団体だんたいも活動かつどうできないので、停戦ていせん合意ごういが守まもられないと次つぎの段階だんかいにいけない。ウクライナをはじめ、ひとたび紛争ふんそうが起おきると巡めぐり巡めぐって日本にっぽんにも影響えいきょうが出でるのが現代げんだいだと思おもうので、日本にっぽんの皆みなさんにもどこか遠とおい国くにで起おきている出来事できごとと捉とらえずに、自分じぶん事ごととして考かんがえてもらいたい」と話はなしていました。