日本新聞: 旧統一教会について弁護士らが国に「解散命令」請求申し入れ

旧きゅう統一とういつ教会きょうかいについて弁護士べんごしらが国くにに「解散かいさん命令めいれい」請求せいきゅう申し入もうしいれ

Oct 11, 2022 18:10 1

Furigana

「世界せかい平和へいわ統一とういつ家庭かてい連合れんごう」旧きゅう統一とういつ教会きょうかいについて、弁護士べんごしらが国くにに対にたいし、宗教しゅうきょう法人ほうじん法ほうに基もとづく「解散かいさん命令めいれい」を請求せいきゅうするよう申し入もうしいれを行おこないました。

申し入もうしいれを行おこなったのは、元もと信者しんじゃらを支援しえんしている「全国ぜんこく霊感れいかん商法しょうほう対策たいさく弁護士べんごし連絡れんらく会かい」です。

会見かいけんで川井かわい康雄やすお弁護士べんごしは「旧きゅう統一とういつ教会きょうかいは、正体しょうたい隠かくしによる伝道でんどうを行おこない、裁判さいばんで献金けんきんに関にかんする違法いほう行為こういが各地かくちで認みとめられている」と述のべ文部もんぶ科学かがく大臣だいじんや法務ほうむ大臣だいじんなどに対にたいし、宗教しゅうきょう法人ほうじんの解散かいさん命令めいれいを速すみやかに請求せいきゅうするよう求もとめたことを明あきらかにしました。

宗教しゅうきょう法人ほうじんの解散かいさん命令めいれいは所轄しょかつ庁ちょうなどの請求せいきゅうにより、裁判所さいばんしょが「法令ほうれいに違反いはんして、著いちじるしく公共こうきょうの福祉ふくしを害がいすると明あきらかに認みとめられる行為こういをしたこと」などを理由りゆうに命めいじるものです。

川井かわい弁護士べんごしは「民事みんじの判決はんけつでは社会しゃかい的てき相当そうとう性せいを逸脱いつだつしていると繰り返くりかえし教会きょうかいの使用しよう者しゃ責任せきにんが問とわれているので、解散かいさん命令めいれいの根拠こんきょとなる法令ほうれい違反いはんにあたる。旧きゅう統一とういつ教会きょうかいは『教会きょうかい改革かいかく』の方針ほうしんを発表はっぴょうしたが過去かこの被害ひがいに対にたいする言及げんきゅうが全まったくないなど信用しんようできず、自浄じじょう作用さようは期待きたいできない」と述のべ、解散かいさん命令めいれいの必要ひつよう性せいを訴うったえました。

文化庁ぶんかちょうの担当たんとう者しゃは「申し入もうしいれの文書ぶんしょが届とどいていないので、コメントできない」としています。

宗教しゅうきょう法人ほうじんの「解散かいさん命令めいれい」とは

宗教しゅうきょう法人ほうじんの「解散かいさん命令めいれい」は、所轄しょかつ庁ちょうや利害りがい関係かんけい人じんなどの請求せいきゅうにより、裁判所さいばんしょが「法令ほうれいに違反いはんして、著いちじるしく公共こうきょうの福祉ふくしを害がいすると明あきらかに認みとめられる行為こういをしたこと」などを理由りゆうに命めいじるものです。

命令めいれいが出だされると宗教しゅうきょう法人ほうじんは解散かいさんとなり、固定こてい資産しさん税ぜいの非課税ひかぜいなど、税制ぜいせい上じょうの優遇ゆうぐう措置そちが受うけられなくなりますが、任意にんいの宗教しゅうきょう団体だんたいとしては活動かつどうを続つづけられます。

宗教しゅうきょう法人ほうじんの解散かいさん命令めいれいについて、憲法けんぽう学がくが専門せんもんの九州きゅうしゅう大学だいがくの南野みなみの森もり教授きょうじゅは「宗教しゅうきょう法人ほうじん法ほうにおける解散かいさん命令めいれいの手続てつづきは、裁判所さいばんしょが国くに側がわ、文科ぶんか大臣だいじんの主張しゅちょうと、相手あいて側がわ、旧きゅう統一とういつ教会きょうかいの両方りょうほうの主張しゅちょうを聞きいて最終さいしゅう的てきに判断はんだんすることになる。解散かいさん命令めいれいは、宗教しゅうきょう法人ほうじん格かくをなくすもので、個人こじんの信教しんきょうの自由じゆうを侵害しんがいすることにならないとオウム真理教おうむしんりきょうの解散かいさん命令めいれいの際さいに最高裁さいこうさい判決はんけつが示しめしている。一方いっぽうで、解散かいさん命令めいれいが出だされると、信仰しんこうをしている人ひとたちにさまざまな不ふ都合つごうや不ふ利益りえきが生しょうじることは容易よういに想像そうぞうできるので、国くにや裁判所さいばんしょとしては慎重しんちょうに判断はんだんしなければならないが、必要ひつようがあればちゅうちょせずに進すすめる態度たいどが必要ひつようだと思おもう」と述のべました。

そのうえで「宗教しゅうきょう法人ほうじん法ほうの解散かいさん命令めいれいの要件ようけんは非常ひじょうに抽象ちゅうしょう的てきにしか書かいておらず、国くにが請求せいきゅうして裁判所さいばんしょが解散かいさんを命めいじたのはこれまで2例れいしかなく、最後さいごに示しめされたのは20年ねん前まえになる。過去かこの基準きじゅんをそのまま当あてはめるのではなく新あたらしい問題もんだいとして再さい検討けんとうされるべきだと思おもう」と話はなしていました。

過去かこの宗教しゅうきょう法人ほうじん解散かいさん命令めいれいは2件けん

これまでに裁判所さいばんしょが宗教しゅうきょう法人ほうじん法ほうが定さだめる「法令ほうれいに違反いはんして、著いちじるしく公共こうきょうの福祉ふくしを害がいすると明あきらかに認みとめられる行為こういをしたこと」を理由りゆうに解散かいさん命令めいれいを出だしたのは、「オウム真理教おうむしんりきょう」と「明あきら覚寺かくじ」の2つの宗教しゅうきょう団体だんたいです。

このうちオウム真理教おうむしんりきょうについては、東京とうきょう地方ちほう検察庁けんさつちょうと東京とうきょう都とからの請求せいきゅうを受うけて、1995年ねんに東京とうきょう地方ちほう裁判所さいばんしょが解散かいさん命令めいれいを出だしました。

東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょも認みとめたため、教団きょうだん側がわは決定けっていを不服ふふくとして最高さいこう裁判所さいばんしょに特別とくべつ抗告こうこくしましたが、1996年ねん1月つき、「大量たいりょう殺人さつじんを目的もくてきとして毒ガスどくがすであるサリンを大量たいりょうに生成せいせいすることを計画けいかくしたうえ、多数たすうの信者しんじゃを動員どういんし、計画けいかく的てき、組織そしき的てきにサリンを生成せいせいした。法令ほうれいに違反いはんして、著いちじるしく公共こうきょうの福祉ふくしを害がいすると明あきらかに認みとめられる」などとして退しりぞけました。

また、1999年ねんには和歌山わかやま県けんに本部ほんぶがあった宗教しゅうきょう法人ほうじん「明あきら覚寺かくじ」について、文化庁ぶんかちょうが解散かいさん命令めいれいを請求せいきゅうしました。

3年ねん後ごの2002年ねん1月つき、和歌山わかやま地方ちほう裁判所さいばんしょは、教団きょうだんの関係かんけい者しゃが霊れい能のうがあるように装よそおって相談そうだんに訪おとずれた人ひとから現金げんきんをだましとっていたとして「被害ひがい件数けんすうが極きわめて多おおく、被害ひがい額がくも多額たがくに及およんでいて、著いちじるしく公共こうきょうの福祉ふくしを害がいするものであることは明あきらかだ」と指摘してきしました。