Báo tiếng Nhật: 「物価の番人」次は誰？注目の後任人事【経済コラム】

日銀にちぎんの黒田くろだ総裁そうさいの任期にんきが残のこり半年はんとしを切きり、後任こうにん選えらびが本格ほんかく化かしています。“物価ぶっかの番人ばんにん”として金融きんゆう政策せいさくをつかさどる日銀にちぎんのトップをめぐる人事じんじ。そもそもどのように選えらぶのか、どのような人物じんぶつがふさわしいという見方みかたが出でているのか、解説かいせつします。（経済けいざい部ぶ記者きしゃ古市ふるいち啓一けいいち朗ろう）

日銀にちぎん総裁そうさいの仕事しごとって？

日銀にちぎん総裁そうさいのトップ人事じんじとはいうものの、そもそも日銀にちぎんがどんな仕事しごとをしているのか、なじみがないのでよくわからないという人ひとも多おおいと思おもいます。

日銀にちぎんは日本にっぽん銀行ぎんこう法ほうに基もとづく認可にんか法人ほうじんで次つぎの3つの機能きのうを持もっています。

「発券はっけん銀行ぎんこう」

「銀行ぎんこうの銀行ぎんこう」

「政府せいふの銀行ぎんこう」

日本にっぽんで唯一ゆいいつの中央ちゅうおう銀行ぎんこうとして銀行ぎんこう券けんを発行はっこうし、金融きんゆう政策せいさくを運営うんえいします。

最もっとも重要じゅうような役割やくわりが「物価ぶっかの安定あんてい」に取り組とりくむことです。私わたしたちの生活せいかつにも、経済けいざい全体ぜんたいの成長せいちょうにも深ふかく関かかわる物価ぶっかの動向どうこう。日銀にちぎんは世の中よのなかにお金おかねが出回でまわる量りょうを調整ちょうせいしながら物価ぶっかの安定あんていをはかっています。このため“物価ぶっかの番人ばんにん”とも呼よばれています。

そのトップが日銀にちぎん総裁そうさい。日銀にちぎん総裁そうさいは、国会こっかいの同意どういを得えて内閣ないかくが任命にんめいします。任期にんきは5年ねん。再任さいにんも可能かのうです。

日銀にちぎんの独立どくりつ性せいや中立ちゅうりつ性せいをふまえ、任期にんき中ちゅうは政府せいふや国会こっかいの意向いこうで解任かいにんされることはなく、原則げんそくとして職務しょくむを全まっとうすることになっています。

1997年ねんに日本にっぽん銀行ぎんこう法ほうが改正かいせいされる前まえは、政府せいふによる「解任かいにん権けん」がありましたが今いまはなくなっています。

日本にっぽん銀行ぎんこう法ほうで総裁そうさいは、日銀にちぎんを代表だいひょうして業務ぎょうむを総理そうり（とりまとめて管理かんり）するとされています。

日銀にちぎん総裁そうさいは最高さいこう意思いし決定けってい機関きかんである政策せいさく委員いいん会かいをとりまとめ、金融きんゆう政策せいさくを決きめる会合かいごうでは議長ぎちょうを務つとめます。この会合かいごうでこれまで議長ぎちょうの提案ていあんが否決ひけつされたことはありません。

またG20、G7の会合かいごうなど国際こくさい金融きんゆうの舞台ぶたいでは、財務ざいむ大臣だいじんらとともに日本にっぽんの立場たちばを説明せつめいし、各国かっこくとの連携れんけいをはかるという役目やくめもあります。このためその言動げんどうに世界せかいの市場しじょう関係かんけい者しゃは大おおきな関心かんしんを寄よせています。

日銀にちぎん総裁そうさいのひと言ひとことがマーケットを動うごかすこともあります。今いまの黒田くろだ総裁そうさいは日銀にちぎんが1882年ねんに設立せつりつされてから31代目だいめの総裁そうさいとなります。

2％の物価ぶっか安定あんてい目標もくひょうを掲かかげ、長ながく続つづいたデフレからの脱却だっきゃくに向むけて大だい規模きぼな金融きんゆう緩和かんわを進すすめてきました。黒田くろだ総裁そうさいは、10月つきの時点じてんで9年ねん6か月かげつ余あまり総裁そうさいを務つとめています。

これは戦後せんご復興ふっこう期きの1950年代ねんだいに8年ねん余あまり総裁そうさいを務つとめ、日銀にちぎんの「法王ほうおう」とも呼よばれた一いち萬田まんだ尚登なおと18代だい総裁そうさいを超こえて、歴代れきだい最長さいちょうです。

日銀にちぎん総裁そうさいはどうやって選えらばれる？

日銀にちぎん総裁そうさいにはこれまでどんなバックグラウンドをもった人ひとが選えらばれてきたのか。

かつては日銀にちぎん出身しゅっしん者しゃと財務省ざいむしょう出身しゅっしん者しゃが交互こうごに就任しゅうにんする「たすき掛かけ」の人事じんじが恒例こうれいとなってきましたが、財務省ざいむしょう出身しゅっしんの黒田くろだ総裁そうさいの前まえの3代だいは、いずれも日銀にちぎん出身しゅっしん者しゃが務つとめました。

1998年ねんに就任しゅうにんした速水はやみ優ゆう氏しは国際こくさい派は。

2003年ねんに就任しゅうにんした福井ふくい俊彦としひこ氏しは早はやくから日銀にちぎんプロパーのエースと目めされ、総務そうむ人事じんじや金融きんゆう政策せいさくに関かかわる主要しゅようなポストを歴任れきにんしました。

白川しらかわ方ほう明あきら氏しは金融きんゆう政策せいさくを担になう企画きかく部門ぶもんが長ながく、京都大きょうとだい学がくの教授きょうじゅを務つとめたこともありました。白川しらかわ氏しが総裁そうさいに決きまるまでには、政府せいふが国会こっかいに提示ていじした当初とうしょの人事じんじ案あんがいわゆるねじれ国会こっかいの影響えいきょうで否決ひけつされるなど異例いれいの経緯けいいをたどりました。

そして今いまの黒田くろだ総裁そうさいは財務省ざいむしょうで為替かわせ政策せいさくを担当たんとうする財務ざいむ官かん出身しゅっしんです。

これまでの日銀にちぎん総裁そうさいの人事じんじをめぐっては常つねに日銀にちぎんの独立どくりつ性せいをどのように保たもち、政治せいじとの距離きょりをどうとるのかという問題もんだいがつきまといます。

総裁そうさい人事じんじ、いつ決きまる？

黒田くろだ総裁そうさいの任期にんきは来年らいねん4月つき8日にちまでですが、後任こうにんの総裁そうさい人事じんじはいつごろ決きまるのでしょうか。

2013年ねん3月つき20日にちに黒田くろだ総裁そうさいが就任しゅうにんするまでを振り返ふりかえると、当時とうじの安倍あべ総理そうり大臣だいじんが自民党じみんとう幹事かんじ長ちょうに総裁そうさい、副ふく総裁そうさいの人事じんじ案あんを伝つたえたのが2月つき25日にち。就任しゅうにんの3週間しゅうかん以上いじょう前まえには人事じんじ案あんが決きまっていたことになります。

ただ、安倍あべ総理そうり大臣だいじんはこの年としの1月つき中旬ちゅうじゅんには次つぎの日銀にちぎん総裁そうさいに求もとめられる政策せいさくや人物じんぶつ像ぞうについて専門せんもん家かの意見いけんを聞きいており、新しん総裁そうさい就任しゅうにんの3か月かげつほど前まえには総裁そうさい人事じんじの検討けんとうに入はいっていたとみられます。

2008年ねんの白川しらかわ総裁そうさい就任しゅうにんの際さいは、先さきほど述のべたように政府せいふ案あんが否決ひけつされるなど混乱こんらんがあったためここでは説明せつめいしませんが、その前まえの2003年ねんの福井ふくい総裁そうさい就任しゅうにんに際にさいしては、政府せいふが与党よとう側がわに人事じんじ案あんを示しめしたのが2月つき24日にち。3月つき20日にちの就任しゅうにん日びの3週間しゅうかん以上いじょう前まえというタイミングは先さきほどの黒田くろだ総裁そうさいのケースとほぼ同おなじです。

岸田きしだ総理そうり大臣だいじんが日銀にちぎん総裁そうさい人事じんじに言及げんきゅう

17日にちの衆議院しゅうぎいん予算よさん委員いいん会かいでは、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんに対にたいして、「日銀にちぎん総裁そうさい人事じんじについてどう考かんがえているのか」という質問しつもんがありました。岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは、次つぎのように答こたえました。

「今後こんご、経済けいざい情勢じょうせいや金融きんゆう情勢じょうせいでさまざまな動うごきがあると思おもうが、来年らいねん4月つきの時点じてんで最もっともふさわしい人物じんぶつを選えらばなければならない。その際さい、（市場しじょうの）予見よけん性せいや政府せいふと日銀にちぎんとの連携れんけいをしっかりと念頭ねんとうに置おき重視じゅうししながら、考かんがえていかなければならない」

こうした見解けんかいをふまえ、市場しじょう関係かんけい者しゃの多おおくが、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんが今いまの日銀にちぎんの金融きんゆう政策せいさくの枠組わくぐみを変かえるよう求もとめることはないだろうと見みています。

市場しじょう関係かんけい者しゃらの見方みかたは？

今回こんかい、日本にっぽん経済けいざいや日銀にちぎんの金融きんゆう政策せいさくを分析ぶんせきしているエコノミストや日銀にちぎんの元もと幹部かんぶなど20人にんを対象たいしょうに、どのような人物じんぶつが次つぎの総裁そうさいにふさわしいと思おもうか聞きいてみました。

「政策せいさくの連続れんぞく性せいを保たもてる人ひと」「専門せんもん性せいが高たかく実務じつむに詳くわしい人ひと」「国際こくさい金融きんゆうに詳くわしい人ひと」などさまざまな人物じんぶつ像ぞうがあがりましたが、全員ぜんいんが日銀にちぎん出身しゅっしん者しゃがふさわしいと答こたえました。

そして全員ぜんいんが口くちをそろえるように指摘してきしたのが「次つぎの総裁そうさいは厳きびしい道みちのりを歩あゆむことになる」ということです。

難局なんきょくに臨のぞむ次期じき総裁そうさい

円えん相場そうばは1ドル150円えん台だいまで値下ねさがりし、およそ32年ねんぶりの円えん安やす水準すいじゅんを更新こうしんしています。

また、大だい規模きぼな金融きんゆう緩和かんわを長期ちょうきにわたって続つづけても、依然いぜん、日銀にちぎんが目指めざす賃金ちんぎんの上昇じょうしょうを伴ともなった2％の物価ぶっか目標もくひょうは達成たっせいできていません。物価ぶっかの高騰こうとうはおさまらず、世界せかい経済けいざいが減速げんそくするのではないかという懸念けねんも強つよまっています。

こうした難局なんきょくに臨のぞむ次つぎの総裁そうさいはどういう人物じんぶつなのか。そしてどういう政策せいさくを実行じっこうするのか。

市場しじょうの動向どうこうや私わたしたちの暮くらしにも影響えいきょうする可能かのうがあるだけに、今後こんごの総裁そうさい人事じんじをめぐる動うごきに注目ちゅうもくしたいと思おもいます。

注目ちゅうもく予定よてい

来週らいしゅうは、27日にちから2日間にちかんにわたり日銀にちぎんの金融きんゆう政策せいさく決定けってい会合かいごうが開ひらかれます。日銀にちぎんは「展望てんぼうレポート」をまとめる中なかで、今年度こんねんどのほか、1年ねん後ご、2年ねん後ごの消費しょうひ者しゃ物価ぶっかの見通みとおしが発表はっぴょうされるほか、会合かいごう後ごに予定よていされている黒田くろだ総裁そうさいの記者きしゃ会見かいけんでの発言はつげんが注目ちゅうもくされます。

また日にち米べいで、主要しゅよう企業きぎょうの決算けっさん発表はっぴょうが相次あいつぎます。欧米おうべいの中央ちゅうおう銀行ぎんこうによる金融きんゆう引き締ひきしめなどが決算けっさん内容ないようや業績ぎょうせき見通みとおしにどのような影響えいきょうを及およぼしているかが焦点しょうてんです。