大谷選手は第2戦で負った関節が部分的に外れる左肩の亜脱臼から、わずか2日で復帰することになります。
大谷翔平 1番・指名打者で出場へ 左肩亜脱臼から2日で復帰
ドジャースは28日、ヤンキースとのワールドシリーズ第3戦に臨む先発メンバーを試合開始のおよそ4時間前に発表し、大谷選手は1番・指名打者で出場することになりました。
大谷選手は26日の第2戦で、二塁へ盗塁を試みた際のスライディングで左手を地面について肩を痛め、関節が部分的に外れる亜脱臼と診断されました。
精密検査などを受けてチームとは別の便でロサンゼルスからニューヨークに移動し、27日は全体練習が終わった午後7時半ごろに球場入りしてバッティング練習を行ったものとみられます。
ロバーツ監督は27日の会見で、「トレーナーからの報告を受けた私の予測では、彼が第3戦に出場できないとは思えない。肩の可動域や強度も良好で、プレーできるのならバッティングへの影響はないと考えている」と話していました。
指揮官は軽傷を強調しましたが、大谷選手は顔をゆがめて痛がった亜脱臼からわずか2日で試合に復帰することになります。
ワールドシリーズの第3戦はヤンキースタジアムで日本時間の29日午前9時すぎから始まり、ここまで2勝0敗としているドジャースは勝てばワールドチャンピオンに王手をかけます。
大谷 第2戦の後 選手全員に「僕は大丈夫」とメッセージ
ドジャースのマンシー選手は28日の第3戦前に行われた会見に出席し、大谷選手が左肩をけがした第2戦の後に選手全員が入る携帯電話のテキストグループに「僕は大丈夫」とメッセージを送っていたことを明かしました。
ドジャースの選手たちは26日の第2戦の試合後すぐにニューヨークに向かい、大谷選手は精密検査などのためチームと離れてロサンゼルスに残りました。
マンシー選手によりますと、空港に向かうバスの中で選手たちの携帯電話が一斉に鳴り、大谷選手から「僕は大丈夫。第3戦には出場できる」と書かれた英語のメッセージを受信したということです。
マンシー選手は「彼が痛がっているのを見るのはとてもつらかったので、テキストをもらって安心した。これまでもチームにとって重要な場面を作り出してきたし、きっとまた大きな仕事をしてくれるだろう」と、大谷選手への変わらぬ信頼を口にしていました。
また、第2戦の試合後には、選手たちがみな大谷選手の様子を一目見ようと列を作っていたということで、マンシー選手は「まるで食堂の列のようだった」と笑顔で話していました。
ロバーツ監督 “筋肉や骨などの異常見つからなかった”
ドジャースのロバーツ監督は第3戦前に行われた28日の記者会見で、大谷選手について、MRI検査で筋肉や骨などの異常は見つからなかったと明らかにしました。
そのうえで、「彼は第2戦が終わったあとから『第3戦には出場する』と話していた。われわれにとっては不安の方が大きかったが、昨夜のバッティング練習では時速160キロ以上の力強い打球を打っていてホッとした。われわれはとても幸運だった」と話し、胸をなで下ろしていました。
第2戦のあと、すぐに亜脱臼した左肩をもとに戻す治療などが行われ、現在はテーピングを巻いて処置をしているということで、ロバーツ監督は「個人差があり、痛みのレベルは分からないが、違和感は残っている。ときには少し不快なスイングもあるようだが、プレーに支障が出るとは考えていない」と状態を説明しました。
また、大谷選手が第2戦のあとにチームメートに「僕は大丈夫」と送ったテキストは見ていなかったと話し、「それを見ていれば、あの夜はよく眠れたと思う」と笑いを誘っていました。
一方で、けがのきっかけとなった盗塁については、「彼は走らないと思う」と話していました。
試合の見どころは
ドジャースタジアムで行われたワールドシリーズの第2戦は、ドジャースの先発の山本由伸投手が7回途中1安打1失点の圧巻の投球を見せ、ドジャースが4対2で勝って対戦成績を2勝0敗としました。
第3戦からは舞台をヤンキースの本拠地、ニューヨークに移して行われ、ドジャースはポストシーズンに強いビューラー投手、ヤンキースはシュミット投手が先発します。
30歳のビューラー投手はレギュラーシーズンでは1勝6敗でしたが、ポストシーズンには強く、前回ドジャースがワールドシリーズを制した2020年は5試合に先発して2勝0敗、防御率1.80の成績を残すなど、アメリカメディアからは大舞台に強い「ビッグゲームピッチャー」とも呼ばれています。
ことしのポストシーズンでもメッツとの優勝決定シリーズ第3戦では4回無失点の好投を見せ、持ち味を発揮しました。
一方のヤンキースは28歳のシュミット投手が先発します。
背中のけがでシーズン中はおよそ3か月間欠場しましたが、5勝5敗、防御率は2.85をマークしました。
ポストシーズンでは2試合で投げていずれも5回途中を2失点にまとめ、試合を作っています。
大谷選手はエンジェルス時代に対戦したことがあり、3打数1安打、三振2つの成績で、去年4月18日にはシュミット投手からツーランホームランを打っています。
その大谷選手は、第2戦で盗塁を試みた際に左肩を亜脱臼して今後の出場が危ぶまれていました。
ドジャースが3連勝で一気に世界一に王手をかけるのか。
それとも2試合続けて3三振と不振が続くヤンキースのジャッジ選手が本拠地で目覚め、チームを初勝利に導くのか。
先発投手の出来とともに、両チームのホームラン王の状態が第3戦の勝敗を分けるポイントのひとつになりそうです。
グッズショップも 大谷 ジャッジ 2人の対決をテーマに
ヤンキースの本拠地「ヤンキースタジアム」のグッズショップでは、入ってすぐのコーナーでドジャースの大谷翔平選手のユニフォームとジャッジ選手のユニフォームがそれぞれ並べられるなど、2人の対決をテーマにしたグッズが多く販売されています。
ワールドシリーズにあわせて作られた「ボブルヘッド」と呼ばれる首振り人形は、製作が間に合わずインターネットのみでの販売となりましたが、ヤンキースタジアムで向かい合う2人が勢いよくスイングする姿がデザインされていて、「BASH OF THETITANS」、「超人たちの戦い」と書かれています。
このほか、大谷選手とジャッジ選手がデザインされたTシャツやピンバッジ、ペナントなどが並べられていて、ニューヨークでも今シーズンそれぞれのリーグでホームラン王を獲得した2人の共演に期待が高まっています。
ワールドシリーズ これまでの結果と試合予定
※日時は日本時間
▽第1戦 10月26日(土)ドジャース 6x-3 ヤンキース(延長10回)
▽第2戦 10月27日(日)ドジャース 4-2 ヤンキース
▽第3戦 10月29日(火)9:08@NY・ヤンキースタジアム
▽第4戦 10月30日(水)9:08@NY・ヤンキースタジアム
▽第5戦 10月31日(木)9:08@NY・ヤンキースタジアム
▽第6戦 11月2日 (土)9:08@LA・ドジャースタジアム
▽第7戦 11月3日 (日)9:08@LA・ドジャースタジアム
第4戦 ドジャースは「ブルペンデー」 ヤンキースはヒル先発
ワールドシリーズは第4戦もニューヨークで行われ、ドジャースはリリーフ投手を短いイニングでつないでいく「ブルペンデー」で臨みます。
一方のヤンキースは今シーズン15勝をあげたヒル投手が先発します。
先発ピッチャーにけが人が相次いでいるドジャースは、ポストシーズンに入ってすでに「ブルペンデー」で3試合に臨んでいます。
パドレスとの地区シリーズ第4戦ではピッチャー8人でつないで無失点に抑えましたが、メッツとのリーグ優勝決定シリーズ第2戦では序盤に大量失点を許して敗れました。
メッツとの第6戦では7人のピッチャーで5点を奪われましたが、打線が10点をとって援護してワールドシリーズ進出を決めたため、「ブルペンデー」の作戦で臨んだ試合は2勝1敗と勝ち越しています。
ドジャースのリリーフ投手はここまでのポストシーズン9勝のうち6勝をあげ、防御率3.08と安定したピッチングでチームを支えています。
一方のヤンキースは今シーズン、自己最多の15勝をあげた26歳のヒル投手が先発します。
ドミニカ共和国出身のヒル投手は昨シーズンまで通算わずか1勝でしたが、今シーズンは投球のおよそ半数を占める150キロ台後半のストレートを中心に、スライダーとチェンジアップの2つの球種を投げ分けるピッチングで、15勝7敗、防御率3.50と飛躍し、ヤンキースの先発ローテーションを支えました。
ドジャースとはことし6月9日にヤンキースタジアムで対戦していて、テオスカー・ヘルナンデス選手にソロホームランを許すなど6回途中3失点で勝ち負けはつきませんでした。
大谷翔平選手に対しては3打数ノーヒットに抑えています。