米べいFRB 利上りあげ見送みおくり決定けっていも 年内ねんないにあと2回かいの利上りあげ想定そうてい

政策せいさく金利きんりは現在げんざいの5％から5.25％の幅はばを維持いじします。

声明せいめいでは「FRBは金利きんりを据え置すえおくことで今後こんごの追加ついかの経済けいざいデータと金融きんゆう政策せいさくの影響えいきょうを評価ひょうかすることができる」としています。

今回こんかいの会合かいごうでは、FRBは参加さんか者しゃ18人にんによる政策せいさく金利きんりの見通みとおしが示しめされ、ことし・2023年ねん末まつ時点じてんの金利きんり水準すいじゅんの中央ちゅうおう値ちは5.6％で、前回ぜんかい・ことし3月つきに示しめされていた見通みとおしの5.1％から引き上ひきあげられました。政策せいさく金利きんりの引き上ひきあげを1回かいあたり0.25％とすると、年内ねんないにあと2回かいの利上りあげが想定そうていされる内容ないようとなっています。

アメリカでは先月せんげつの消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうが前まえの年としの同おなじ月つきと比くらべて4.0％の上昇じょうしょうと、上昇じょうしょう率りつが11か月かげつ連続れんぞくで前まえの月つきを下回したまわっています。一方いっぽう、インフレの要因よういんとなる人手ひとで不足ふそくは続つづいていて企業きぎょうの間まで賃金ちんぎんの上昇じょうしょう分ぶんを物価ぶっかに転嫁てんかする動うごきが収おさまらないなどインフレの根強ねづよさを示しめす経済けいざい指標しひょうも発表はっぴょうされています。

また「年内ねんないにさらなる利上りあげを予想よそうしているが、今回こんかいの会合かいごうでは、これまでの利上りあげの速度そくどを考慮こうりょして、インフレ率りつを目標もくひょうの2％に戻もどすのにさらなる政策せいさくが必要ひつようかどうか決定けっていするために追加ついかの経済けいざいデータと金融きんゆう政策せいさくの影響えいきょうを評価ひょうかできるよう金利きんり据え置すえおきを判断はんだんした」と述のべました。

今回こんかい、利上りあげを見送みおくった理由りゆうについて、「金融きんゆう不安ふあんがもたらす影響えいきょうをわれわれは完全かんぜんにはわかっておらず、それを見極みきわめるのは時期じき尚早しょうそうだ。影響えいきょうを把握はあくするにはより時間じかんがかかる。利上りあげの『見送みおくり』とは呼よびたくないが、今回こんかいの政策せいさく金利きんり据え置すえおきは理りにかなっている」と述のべました。

年内ねんないにさらなる利上りあげを行おこなう可能かのう性せいがある理由りゆうとして、「FRBはこれまでインフレが低下ていかすると一貫いっかんして予想よそうしていたが、この予想よそうは外はずれた。エネルギーと食品しょくひんを除のぞいたPCE・個人こじん消費しょうひ支出ししゅつの物価ぶっか指数しすうを明確めいかくに低下ていかさせたいがこの半年はんとし間かん、進展しんてんが見みられない。経済けいざいへの打撃だげきを最小さいしょう限げんにしたいが、インフレ率りつを目標もくひょうの2％に戻もどさなければならず、まだそれには達たっしていない」と述のべました。

インフレの要因よういんと指摘してきされている人手ひとで不足ふそくの現状げんじょうについては、「賃金ちんぎんは1年ねん前まえの極端きょくたんに高たかい水準すいじゅんからは徐々じょじょに下さがってきているが、まだ力強ちからづよく上昇じょうしょうしている。企業きぎょうの求人きゅうじん数すうは依然いぜんとして労働ろうどう者しゃの数かずを大おおきく上回うわまわっている。FRBは賃金ちんぎんの上昇じょうしょう率りつを物価ぶっか目標もくひょうの2％への道筋みちすじにのせたいし、それがすべての人ひとの利益りえきになる」と述のべました。

また、「かなり多おおくの銀行ぎんこうが商業しょうぎょう用よう不動産ふどうさんに融資ゆうししていて、そのほとんどが中小ちゅうしょうの銀行ぎんこうによるものだ。商業しょうぎょう用よう不動産ふどうさん向むけ融資ゆうしに注力ちゅうりょくした銀行ぎんこうのなかには大おおきな損失そんしつを被こうむるところもあるだろう。FRBとしてはこの問題もんだいを認識にんしきしており、状況じょうきょうを注意深ちゅういぶかく見みている」と述のべました。

参加さんか者しゃがそれぞれ適切てきせつだと考かんがえる金利きんりが点てん＝ドットで示しめされることからドット・チャートと呼よばれ、市場しじょうではその中央ちゅうおう値ちがFRBが目指めざす金利きんり水準すいじゅんだと受け止うけとめられています。

それによりますと、ことし・2023年ねん末まつ時点じてんの金利きんり水準すいじゅんの中央ちゅうおう値ちは5.6％で、前回ぜんかい・ことし3月つきに示しめされていた見通みとおしの5.1％から引き上ひきあげられました。今回こんかいの会合かいごうで政策せいさく金利きんりは5％から5.25％の幅はばで据え置すえおかれたため、さらに0.5％の利上りあげが必要ひつようになる計算けいさんです。これは、政策せいさく金利きんりの1回かいあたりの引き上ひきあげを0.25％とすると、あと2回かいの利上りあげが行おこなわれる想定そうていです。

来年らいねん・2024年ねん末まつ時点じてんの金利きんり水準すいじゅんの中央ちゅうおう値ちも4.6％と、前回ぜんかいの見通みとおしで示しめされていた4.3％から引き上ひきあげられました。

さらに、去年きょねん5月つきの会合かいごうで22年ねんぶりとなる0.5％の利上りあげと、「量的りょうてき引き締ひきしめ」と呼よばれる金融きんゆう資産しさんの圧縮あっしゅくに乗り出のりだすことも決きめました。

しかし、その後そのごもインフレに収束しゅうそくの兆きざしは見みえず、6月つき以降いこう、11月つきの会合かいごうまで4回かい連続れんぞくで0.75％という大幅おおはばな利上りあげを決きめました。

その後そのご発表はっぴょうされた消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうは、上昇じょうしょう率りつが前まえの月つきを下回したまわる傾向けいこうが続つづいたことなどから去年きょねん12月つきの会合かいごうでは利上りあげ幅はばを縮小しゅくしょうし、0.5％の利上りあげを決きめました。去年きょねん3月つきにゼロ金利きんり政策せいさくを解除かいじょし利上りあげを開始かいしして以降いこう、利上りあげ幅はばの縮小しゅくしょうは初はじめてでした。

さらに、ことし1月つき31日にちと2月つき1日にちに開ひらいた会合かいごうでは0.25％の利上りあげと、上げ幅あげはばを縮小しゅくしょうし、会合かいごう後ごの会見かいけんでパウエル議長ぎちょうは「インフレが収おさまっていく過程かていが始はじまった」と言及げんきゅうしました。

3月つきの会合かいごうでは利上りあげが金融きんゆうシステムに及およぼす影響えいきょうを踏ふまえ0.25％の利上りあげにとどめました。

また、先月せんげつ（5月つき）の会合かいごうでは、直前ちょくぜんに「ファースト・リパブリック・バンク」が史上しじょう2番目ばんめの規模きぼで経営けいえい破綻はたんしましたが、FRBは再ふたたび0.25％の利上りあげを決きめました。去年きょねん3月つき以降いこう、利上りあげは10回かい連続れんぞくでした。

その後そのご、アメリカ政府せいふの借金しゃっきんの上限じょうげん、債務さいむ上限じょうげんをめぐってバイデン政権せいけんと野党やとう・共和党きょうわとうの対立たいりつが続つづき、アメリカ国債こくさいが債務さいむ不ふ履行りこうに陥おちいるおそれが出でていました。ギリギリの交渉こうしょうの末すえ、議会ぎかいの上下じょうげ両院りょういんで法案ほうあんが可決かけつされ、6月つき3日にちにバイデン大統領だいとうりょうは債務さいむ上限じょうげんを一時いちじ的てきになくす法案ほうあんに署名しょめいし、危機ききは回避かいひされました。

債務さいむ上限じょうげん問題もんだいが解決かいけつしたことで市場しじょうの関心かんしんは再ふたたびFRBの金融きんゆう政策せいさくに向むけられます。市場しじょうでは、インフレが低下ていか傾向けいこうにあること、相次あいついだ銀行ぎんこう破綻はたんによって信用しんよう収縮しゅうしゅくが起おき、景気けいきが冷ひやされることなどから今回こんかいの会合かいごうでFRBが利上りあげを見送みおくるという見方みかたが強つよまっていました。FRBのジェファーソン理事りじは先月せんげつ31日にち、利上りあげの見送みおくりを示唆しさする一方いっぽう、それがピークと解釈かいしゃくすべきではないとも発言はつげんしていました。