日本新聞: 大丸松坂屋百貨店約3億9000万円の申告漏れで追徴課税

デパート大手おおて・大丸おおまる松坂屋まつざかや百貨店ひゃっかてんの一部いちぶの店舗てんぽで、本人ほんにん確認かくにんが不十分ふじゅうぶんだったり、転売てんばい目的もくてきが疑うたがわれたりして消費しょうひ税ぜいの免税めんぜいが認みとめられない外国がいこく人じんに化粧けしょう品ひんなどを販売はんばいしていたとして、東京とうきょう国税局こくぜいきょくがおよそ3億おく9000万まん円えんの申告しんこく漏もれを指摘してきし、およそ4億おく3000万まん円えんを追徴ついちょう課税かぜいしたことが関係かんけい者しゃへの取材しゅざいで分わかりました。

消費しょうひ税ぜいには外国がいこく人じん旅行りょこう者しゃなどに土産物みやげものや日にち用品ようひんなどを販売はんばいする場合ばあい、免税めんぜい販売はんばいを認みとめる制度せいどがありますが、転売てんばい目的もくてきや購入こうにゅう者しゃの本人ほんにん確認かくにんが不十分ふじゅうぶんな場合ばあいは認みとめられません。

しかし、関係かんけい者しゃによりますと、大丸おおまる松坂屋まつざかや百貨店ひゃっかてんが運営うんえいし、大阪おおさか市しにある「大丸だいまる心斎橋しんさいばし店てん」などで、本人ほんにん確認かくにんが不十分ふじゅうぶんなまま大量たいりょうの化粧けしょう品ひんを販売はんばいしたり7年間ねんかんの保存ほぞんが義務ぎむづけられている購入こうにゅう者しゃの誓約せいやく書しょが保管ほかんされていなかったりする不適切ふてきせつな事例じれいが、東京とうきょう国税局こくぜいきょくの税務ぜいむ調査ちょうさで相次あいついで確認かくにんされたということです。

中なかには、購入こうにゅう時じに提示ていじされたパスポートの人物じんぶつと実際じっさいの購入こうにゅう者しゃが異ことなるにもかかわらず、特定とくていの商品しょうひんを1人にんで数すう十じゅう万まん円えん分ぶん、大量たいりょうに免税めんぜいで購入こうにゅうし、「転売てんばい目的もくてき」が疑うたがわれるケースもあったということです。

このため東京とうきょう国税局こくぜいきょくは、大丸おおまる松坂屋まつざかや百貨店ひゃっかてんに対にたいし、去年きょねん2月つきまでの2年間ねんかんにおよそ3億おく9000万まん円えんの申告しんこく漏もれを指摘してきし、過少かしょう申告しんこく加算かさん税ぜいを含ふくめ、およそ4億おく3000万まん円えんを追徴ついちょう課税かぜいしたということです。

外国がいこく人じん旅行りょこう者しゃなどへの免税めんぜい制度せいどをめぐっては、制度せいどの不適切ふてきせつな運用うんようがあったとしてほかにもデパート大手おおてなどが追徴ついちょう課税かぜいされるケースが相次あいついでいて東京とうきょう国税局こくぜいきょくが都内とないのデパート各社かくしゃに制度せいどの適正てきせいな運用うんようを要請ようせいするなど対策たいさくを強化きょうかしています。

NHKの取材しゅざいに対にたいし、大丸おおまる松坂屋まつざかや百貨店ひゃっかてんは追徴ついちょう課税かぜいを受うけたことを認みとめた上うえで、「今回こんかいの税務ぜいむ調査ちょうさでの指摘してきを踏ふまえ、今後こんごより一層いっそう、適切てきせつな免税めんぜい処理しょりに努つとめてまいります」とコメントしています。

国内こくないの免税めんぜい店てん数すう急増きゅうぞう 10年ねん前まえの約やく11倍ばい

日本にっぽんを訪おとずれる外国がいこく人じん旅行りょこう者しゃは、20年ねん前まえには年間ねんかん520万まん人にん余あまりでしたが、円えん安やすや東南アジアとうなんあじあからのビザの発給はっきゅう要件ようけんの緩和かんわなどを背景はいけいに、10年ねん前まえの2013年ねんに初はじめて1000万まん人にんを突破とっぱし、新型しんがたコロナ前まえの2018年ねんと2019年ねんには3100万まん人にんを超こえました。

これに伴ともない、百貨店ひゃっかてんなどを含ふくめた国内こくないの免税めんぜい店てんの数かずも急増きゅうぞうしていて、観光かんこう庁ちょうによりますと去年きょねんは5万まん2200店てん余あまりと、4600店てん余あまりだった10年ねん前まえのおよそ11倍ばいに増ふえています。

ことし3月つきに閣議かくぎ決定けっていされた政府せいふの観光かんこう戦略せんりゃくの基本きほん計画けいかくでは、訪日ほうにち外国がいこく人じん旅行りょこう者しゃの数かずを再さい来年らいねんの2025年度ねんどにコロナ禍か前まえを上回うわまわる水準すいじゅんに回復かいふくさせるとともに、免税めんぜい店てんの利用りよう拡大かくだいなどを通をつうじてできるだけ早はやい時期じきに年間ねんかん5兆ちょう円えんのインバウンド消費しょうひを目指めざす方針ほうしんを目標もくひょうに掲かかげています。

一方いっぽう、免税めんぜい販売はんばいをめぐっては、訪日ほうにち外国がいこく人じん旅行りょこう者しゃが大阪おおさか市内しないの百貨店ひゃっかてんなどで、高級こうきゅうブランド品ひんなどを転売てんばい目的もくてきで大量たいりょうに免税めんぜいで購入こうにゅうし、横流よこながししていた疑うたがいが去年きょねん、明あきらかになったほか、免税めんぜい品ひんを販売はんばいする店舗てんぽ側がわも、制度せいどの不適切ふてきせつな運用うんようがあったとして、大手おおてデパートのそごう・西武せいぶや流通りゅうつう大手おおてイオンのグループ会社かいしゃ、それにアメリカのIT大手おおてアップルの日本にっぽん法人ほうじんなどがこれまでに国税こくぜい当局とうきょくから追徴ついちょう課税かぜいされています。

“罰則ばっそく強化きょうかや免税めんぜいの制度せいど自体じたいの見直みなおし検討けんとうを”

相次あいつぐ問題もんだいを受うけて専門せんもん家かからは罰則ばっそくの強化きょうかや、免税めんぜいの制度せいど自体じたいの見直みなおしを検討けんとうすべきだという声こえも出でています。

日本にっぽんの免税めんぜい制度せいどは、外国がいこく人じん旅行りょこう者しゃなどが免税めんぜい店てんで商品しょうひんを購入こうにゅうする際さい、パスポートを提示ていじするなどすれば消費しょうひ税ぜいを支払しはらわずに購入こうにゅうすることができます。

一方いっぽう、EUや韓国かんこくなど一部いちぶの国くにでは、店舗てんぽでは免税めんぜいせず、出国しゅっこく時じに国外こくがいに持ち出もちだす商品しょうひんを確認かくにんした上うえで、消費しょうひ税ぜいを還付かんぷする「リファンド方式ほうしき」と呼よばれる制度せいどが導入どうにゅうされているということです。

国税庁こくぜいちょうの元もと職員しょくいんで租税そぜいや税務ぜいむ行政ぎょうせいなどに詳くわしい中央ちゅうおう大学だいがく法科ほうか大学院だいがくいんの酒井さかい克彦かつひこ教授きょうじゅは「消費しょうひ税ぜいの免税めんぜい制度せいどはインバウンド誘致ゆうちのための制度せいどと説明せつめいされることも多おおいが、このまま問題もんだいを放置ほうちすると世界せかい各国かっこくから不正ふせいを許ゆるす国くにとみられ、日本にっぽん全体ぜんたいのイメージダウンにもつながる。政府せいふにはアクセルとブレーキを同時どうじに踏ふむようなバランス感覚かんかくが求もとめられる」と指摘してきしています。

その上うえで「問題もんだいが顕在けんざい化かする中なか、議論ぎろんを急いそぐことが求もとめられていて、中ちゅう長期ちょうき的てきには、リファンド方式ほうしきの導入どうにゅうを視野しやに制裁せいさいや罰則ばっそくの強化きょうかなど打うてる手てから打うっていく必要ひつようがある」と話はなしています。